全国の新規感染者、初の2万人超え

 8月13日、国内の新型コロナウイルスの新規感染者が、2万240人に達したことが読売新聞のまとめでわかった。1日当たりの感染者が2万人を超えるのは初めて。

 新型コロナウイルス 東京都で5773人、神奈川県で2281人、埼玉県で1696人、千葉県で1089人、京都府で450人など10を超える都府県で最多を更新した。国内の重症者数も、13日午前0時時点で過去最多の1478人に上っている。

 現在、新型コロナ「デルタ株」が猛威を奮っているが、最近では「ラムダ株」という新しいタイプの変異株が増えている。

 デルタ株、ラムダ株とはどのようなものだろうか?また、新型コロナの変異株にはどのようなものがあるのだろうか?

 インド発「デルタ株」

 デルタ株(B1617.2)は、インド発の変異体(B1617)の3つの下位類型の一つで、2020年12月に初めて発見された。

 コロナウイルスの外皮に突出しているスパイクタンパク質の3カ所で変異を起こしたウイルスだ。

 スパイクタンパク質は、コロナウイルスが細胞に侵入する際に、その突破口を切り開く道具として使われる物質だ。デルタ株は今年に入ってインドの第2波中に急速に広がり、他の下位類型を抜いて3月からインドの優勢種となっている。

 デルタ株は初期の新型コロナウイルスに比べて増殖が速く、潜伏期間も短くなっていることが中国の研究者から報告されている。デルタ株の増殖スピードは1260倍、潜伏期は2日短いという。

 インド、英国をはじめとするいくつかの国では、すでに最大を占める優勢種となっている。韓国でもデルタ株が急速に広がり始めている。新規感染者に占めるデルタ株感染者の割合は、1週間で10%から23%台へと2倍以上になっている。

 ぺルーで猛威「ラムダ株」

 それぞれ英国とインドで最初に確認された新型コロナウイルスの変異株、「アルファ株」と「デルタ株」に世界中の注目が集まる中、「ラムダ株」にはこれまで、あまり強い警戒感が示されてこなかった。

 だが、すでにペルーで最も優勢な株となっているラムダ株は、人口10万人あたりの死者数が世界で最も多いほか、南米にとどまることなく、世界各地(少なくとも29カ国・地域)に感染を広げている。

 ラムダ株がペルーで最初に確認されたのは、2020年8月。同国では今年4月以降、感染の80%以上がこの変異株によるものとなっている。

 米ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、7月12現在の感染者数は約207万9000人、死者は19万3000人以上。感染者の致死率は9.3%、人口10万人あたりの死者数は596.5人で、世界最悪の状況となっている。

 また、世界保健機関(WHO)は6月15日、チリ、エクアドル、アルゼンチンなど南米のその他の国でも、ラムダ株の感染者の割合が増加していることを報告している。

 イギリス「アルファ株」

 イギリスで見つかった変異ウイルスの「アルファ株」は2020年12月上旬に初めて報告され、その後、世界中に広がった。 

 このウイルスには「スパイクたんぱく質」に「N501Y」と呼ばれる変異があることが分かっています。 これは「スパイクたんぱく質」の501番目のアミノ酸がアスパラギン(略号N)からチロシン(略号Y)に置き換わっているという意味。

 WHOがまとめた情報によると、この変異ウイルスは従来のウイルスに比べて感染力が強く、入院や重症それに亡くなるリスクも高くなっているという。

 一方で、ワクチンの効果についてファイザーやモデルナ、それにアストラゼネカのワクチンでは大きな影響はないとしている。 

 WHOによると、6月29日の時点で「アルファ株」の報告があった国や地域は前の週から2増えて172。

 “南アフリカ型”「ベータ株」 

 南アフリカで最初に見つかった変異ウイルスは「ベータ株」と呼ばれている。 2020年5月には発生していたとされ、11月中旬に南アフリカで行われた解析ではほとんどがこの変異ウイルスだったとみられている。

 「N501Y」の変異に加えて抗体の攻撃から逃れる「E484K」という変異もあることから、ワクチンの効果への影響が懸念されている。

 WHOのまとめによると、ファイザーのワクチンとモデルナのワクチンについては影響は最小限にとどまるとする研究から、相当程度低下するとした研究まで幅があるとしている。

 WHOによりますと、6月29日の時点で「ベータ株」の報告があった国や地域は前の週から1増えて120。

 “ブラジル型”「ガンマ株」 

 ブラジルで広がった変異ウイルスは「ガンマ株」と呼ばれている。2021年1月6日、ブラジルから日本に到着した人で最初に検出された。

 ブラジルでは2020年11月のサンプルで確認されていて、WHOによると2021年3月・4月の時点ではブラジルで遺伝子を詳しく調べた検体のうち83%に上ったとしている。

 南アフリカで確認された「ベータ株」と同様に「N501Y」に加えて抗体の攻撃から逃れる「E484K」の変異もあることが分かっている。

 WHOのまとめによると、ファイザーとモデルナ、アストラゼネカそれぞれのワクチンについては、影響は少なかったとする研究から中程度あったとする研究まで報告されているとしている。 

 WHOによりますと、6月29日の時点で「ガンマ株」の報告があった国や地域は前の週から1増えて72。 

 「注意すべき変異株=VOI」は7種類 

 また、WHOは感染力やワクチンの効果などに影響を与える可能性がある変異ウイルスや国や地域を越えて見つかっている変異ウイルスなどを 「注意すべき変異株=VOI」としていて、これに位置づけられる変異ウイルスは7種類ある。 

 「イプシロン株」 は、ことし3月にアメリカ・カリフォルニアで確認された。インドで確認された「デルタ株」などと同様に「L452R」の変異が起こっている。

  「ゼータ株」は2020年3月にブラジルで検出された変異ウイルス。

 「イータ株」は 2020年12月にイギリスで最初に確認された変異ウイルス。

  「シータ株」はフィリピンで見つかった変異ウイルスで日本でも検疫で7例が検出されている。

 「イオタ株」はアメリカ ニューヨークで見つかった変異ウイルス。

 「カッパ株」はインドで見つかった変異ウイルスで「デルタ株」と同様に「L452R」の変異が起こっている。