AIによる全自動運転

 2021年9月15日、民間人の観光客4人を乗せたスペースXの宇宙船が米フロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられた。

 宇宙飛行士が搭乗せずに民間人だけで滞在する史上初の地球軌道周回旅行となった。民間人だけでどうやって宇宙船は操作するのだろうか?

 もちろんAIによる全自動運転である。地上のクルマではいろいろな障害物も多く、まだ全自動運転実現には至らないが、宇宙では障害物も少なくこのようなことが可能である。

 AIであれば人為的なミスも少なくなる。こういう技術でAIを使うのはよいことだと思う。将来は交通事故が昔話になる時代が来るだろう。

 2泊3日 バスなしトイレ付

 スペースXのロケットは米東部時間午後8時過ぎ、米航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センターから打ち上げられ、時速1万7000マイル(約2万7000キロ)超の軌道速度に達すると、乗客4人を乗せた宇宙船「クルードラゴン」が切り離された。

 搭乗するのは料金を支払って参加した億万長者のジャレッド・アイザックマンさん(38)と、小児がんを克服した医療助手のヘイリー・アーセニューさん(29)、コミュニティーカレッジ教員のシアン・プロコトルさん(51)、抽選で選ばれたロッキード・マーティン従業員のクリス・セムブロスキさん(42)の4人。

 地球軌道を周回するクルードラゴンに3日間滞在し、90分ごとに地球を1周する宇宙船の船内で浮遊しながら、窓外に広がる光景を観覧する。

 滞在中は船内の上部にある無重力状態に優しいトイレを全員が共有する。シャワーはなく、睡眠にはリクライニングシートの座席を使用する。同船には約1週間分の食料などの物資が積まれている。

 スペースXはいずれ、旅客機に搭乗するのと同じような感覚で、気軽に宇宙旅行に出かけられるようになる未来を描く。クルードラゴンはその実現に向けた第一歩と位置付けている。

 インスピレーション4

 そして3日後、民間人4人を乗せたスペースXは無事、帰還した。アメリカ・フロリダ州沖の大西洋に着水し、帰還を果たした。

 「インスピレーション4」と名付けられた今回の飛行は、アメリカの決済処理会社の創業者ジャレド・アイザックマンさんが4席分を購入したもので、自身のほかに公募などで選ばれた3人を招待。乗員はこの4人だけで、宇宙飛行士は含まれておらず、民間人だけで地球を周回する宇宙飛行は、世界で初めてだ。

 宇宙船は高度585キロの軌道を周回し、乗員は特別に設置された大きな窓から地球を眺めるなどして、およそ3日間の宇宙旅行を楽しんだ。今回の成功によって、商業宇宙旅行は新たな時代の幕開けを迎えたことになる。

 スペースXのインターネット中継によると、大気圏に入ったクルードラゴンのパラシュートは午後7時3分に開き、約4分後に着水した。4人の搭乗者は50分ほどで下船し、ガッツポーズをするなど元気そうな様子をみせた。

 今回の宇宙飛行は「インスピレーション4」と名付けられ、4人の搭乗したクルードラゴンを15日夜にフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げた。クルードラゴンは高度約585キロメートルに到達し、90分に1度のペースで地球を周回した。

 費用の大半は米決済情報処理シフト・フォー・ペイメンツのジャレド・アイザックマン最高経営責任者(CEO)が拠出し、同氏が船長を務めた。10歳で「骨のがん」と呼ばれる骨肉腫を患ったヘイリー・アルセノー氏ら3人が同乗した。4人は約5カ月半の訓練を経て搭乗した。

 将来は月や火星へ

 スペースXは米テスラのイーロン・マスクCEOが率い、クルードラゴンは2020年に民間の宇宙船で初めて運用段階に入っている。これまでに国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を3回運んでおり、今回が4回目の有人飛行となった。スペースXは23年に月への周回旅行を計画し、将来は火星に人を送る構想を掲げている。