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生物を学んでいく上で、不思議な現象はたくさんある。例えば生物の「変態」である。

イモムシが蝶になったり、オタマジャクシがカエルになったり、ウナギの仔魚がシラスウナギからウナギになる変化はかなり劇的である。

生物は今まであった自分の姿を、どのようにして変えることができるのだろう?今回その「変態」の謎が1つ解けた。
 
生物には細胞を、計画的に死なせる遺伝子や酵素(カスパーゼ)があり、これが関係しているという。これを自殺遺伝子、自殺酵素と呼ぶ。
 
「自殺」というと言葉は悪いが、生物が成長するときには必要不可欠な仕組みである。またガン細胞に応用できれば、癌を消滅させることもできる。
 
今日は生物の変態と、アポトーシス、自殺遺伝子、自殺酵素について調べてみる。
 
 
細胞の運命 ショウジョウバエで仕組み解明 東大チーム

計画的に細胞を死なせる遺伝子(カスパーゼ)を活性化させたり、その程度を調節する仕組みを、東京大のチームがショウジョウバエの実験で明らかにした。カスパーゼの活性化の程度によって、分化、増殖など細胞の幅広い生理機能が制御されていることも分かった。ほ乳類にも同様の仕組みがあり、ハンチントン病など神経変性疾患の解明につながると期待される。米科学誌「セル」電子版で4日発表した。

遺伝的にあらかじめ計画された細胞死は、オタマジャクシがカエルになるときに尾がなくなるなど、生物の形態変化などで重要な役割を果たす。

倉永英里奈講師、三浦正幸教授らはまず、カスパーゼの働きを促進する役割の酵素を突き止めた。ハエの複眼に成長する部分で、この酵素を段階的に増やすと、カスパーゼの活性が高まって死滅する細胞が増えた。外感覚器の剛毛になる細胞集団で酵素を減らすと、カスパーゼの活性が弱まり、剛毛の数が増えた。これらの結果から、カスパーゼの活性化の度合いが、細胞の運命を左右している、と結論付けた。

三浦教授は「神経変性疾患の原因となる神経細胞の変形などにカスパーゼがかかわっているという報告もある。今回の成果はそうした疾患の解明にも役立つのではないか」と話している。(須田桃子 毎日新聞 2006年8月4日)

 

生物の変態とは?

動物の生活史における、いちじるしい形態の変化をさす動物学の用語。

変態には完全変態と不完全変態、不変態がある。

完全変態とは昆虫の変態様式のうち、卵→幼虫→蛹→成虫と変化するもの。不変態、不完全変態に対する用語である。ヘビトンボやクサカゲロウ、シリアゲムシ、トビケラ、チョウやガ、カやハエ、甲虫類、ハチやアリなどの高等な種類にみられる。

不完全変態とは昆虫類においては、幼虫が脱皮をくりかえして成虫となるが、蛹の時期をへない変態の様式を不完全変態という。また、半変態ともいう。不完全変態は、バッタやトンボ、カゲロウ、シロアリ、セミなど原始的な昆虫類にみられる。

不変態とはシミやトビムシなど無翅(むしょう)類の昆虫にみられる変態様式で、幼虫は外部生殖器以外はほとんど変化せずに脱皮をくりかえして成長し、成虫となる。またこの仲間は、成虫になっても脱皮をおこなう。


アポトーシスとは何か?

体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺のことをアポトーシスという。

アポートシスは細胞が癌化しそうなときや動物の変態の時におきる。

発見! アポトーシス3つの経路

自殺酵素(カスパーゼ)とは?

細胞をアポトーシスさせる酵素のこと。

細胞の中にあるDNA上の遺伝子p53はDNAが傷つくと、特殊なタンパク質をつくる。これがDNA上のAP1遺伝子に働きかけて細胞をアポトーシス(自殺させる)。このためDNA上の遺伝子p53が傷つくと癌になる可能性が高くなる。

このp53のつくるタンパク質が自殺酵素と呼ばれるカスパーゼである。カスパーゼには数種類あり、多少役割が違う。

アポトーシスは、TNFなどのサイトカインやFasリガンドなど(デスリガンドによる)細胞外からのシグナル や 小胞体ストレス(小胞体で異常なタンパク質が生成するなど)によっても、起きることが知られている。


自殺遺伝子とは?

東京大学医科学研究所の中村祐輔教授、荒川博文助手、国立がんセンター研究所生物学部の田矢洋一室長らが、15日発行の米科学誌セルと、10月4日から横浜市で開かれる日本癌学会で発表する。

がんは、発がん物質などで正常な遺伝子に傷が付いて起きる。普通は、細胞分裂を止めたり、遺伝子の傷を修復したり、最悪の場合は細胞を自殺(アポトーシス)に導いたりして細胞ががん化するのが抑えられるが、その指令を出すp53遺伝子に異常が起きると、がんにつながるとみられている

中村教授らは、p53に関連する遺伝子を探すうちAIP1という新しい遺伝子を見つけた。

細胞の中でAIP1遺伝子を機能させなくする実験をすると、細胞の自殺が抑えられた。また、p53がつくるたんぱく質の端の部分に自殺を引き起こすスイッチがあることも分かった。

強い紫外線などで細胞の遺伝子がひどい損傷を受けるとこのスイッチが入り、AIP1遺伝子に働きかけて細胞の自殺を引き こす、という一連の流れが解明された。ネズミに人のがん細胞を移植し、AIP1を使った遺伝子治療の実験をすると、がん細胞の増殖を抑えられることも分かった。

中村教授は「AIP1を利用して抗がん剤を開発すれば、がん細胞を集中的に自殺させることも可能になる」と話している。(平成12年9月15日)
 

ハンチントン病とは?

ハンチントン病(はんちんとんびょう、英Huntington's disease)とは、大脳中心部にある線状体尾状核の神経細胞が変性・脱落することにより進行性の不規則運動(舞踏様運動、chorea (ギリシャ語で踊りの意))、認識力低下、情動障害等の症状が現れる常染色体優性遺伝病

一般にハンチントン舞踏病(Huntington's chorea)として知られている。

 

 

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