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私たちは毎日時間で動いています。そのため時計をいつも気にして動くように訓練されています。時計がない毎日はちょっと考えられませんね。
 
しかし、時計がなくても、私たちの体の中には時間がわかるしくみがそなわっているのだそうです。これを体内時計といいます。そしてこのたび体内時計の2つ目が発見されたのです。いったいどういうことでしょう?
 
ひとつ目は光によって時間を知る「光時計(主時計)」。朝の明るい日の光で目を覚ますしくみです。
 
もうひとつは今回確認された、食欲によって時間を知る「腹時計」です。おなかのすき具合で時間がわかる「腹時計」は誰でも使ったことがあるでしょう。今回その脳内のメカニズムがわかりました。
 
今日は体内時計と脳のしくみについて学びます。
  
 
腹時計 脳内のメカニズム解明 日米がマウス実験で

おなかのすき方でだいたいの時刻が予想できる「腹時計」のメカニズムを、米テキサス大の柳沢正史教授(分子遺伝学)と東京医科歯科大の三枝理博助手(神経科学)らがマウスを使った実験で明らかにした。脳内の時計遺伝子が餌の時間を記憶し、餌を食べるよう指令を出す体内時計。腹時計と食欲の関係を解明すれば、肥満予防策を編み出す一歩になるという。米科学アカデミー紀要オンライン版で31日に発表された。

マウスは夜行性で、夜に動き回って餌を食べるが、昼にだけ餌を与えると昼夜逆転する。柳沢教授らはこの時のマウスの脳を分析した結果、食欲に関係するとされる脳の背内側核(はいないそくかく)で、時計遺伝子が餌の時間に合わせて24時間周期で動いていることを突き止めた。

時計遺伝子は、多くの生物が持っており、一定周期で活性化して睡眠や血圧などのリズムの基になっている。特に光に連動し脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)にある「主時計」が主な役割を果たすが、昼夜逆転したマウスではこの情報は無視されていた。

肥満の人は1日のカロリーの半分以上を夜間に食べる「夜型」が、正常人の40倍多いとの報告がある。柳沢教授は「腹時計と主時計のせめぎ合いから解明してゆけば、肥満の予防策につながるだろう」と話している。(山田大輔 毎日新聞 2006年8月1日)


体内時計とは?

もともと体内に組み込まれた生きていくための時間割のようなもので、睡眠・食事・運動などの生活リズムをコントロールしている。人間が本来持っている1日の単位は25時間だが、朝起きて太陽の光を感じることで体内時計をリセットして1時間早め、1日24時間の周期に合わせている。この体内時計が狂った典型的な例が、時差ボケである。

生物時計(体内時計)の親時計は視床下部にあることがわかっている。親時計は体のほかの部分に化学的な手段で同期信号をおくりだしているらしい。こうした脳細胞の集合体は、視交叉上核(しこうさじょうかく)とよばれている。


腹時計

腹時計(はらどけい)は、間脳に存在する視床下部背内側核により、食事の周期に合わせ時計遺伝子が働き周期的に食欲がおこされる現象

以前より、お腹のすき具合で大体の現在の時刻を予想できることの時計への喩え或いは超能力的なものとして知られていたが、2006年、テキサス大学の柳沢正史らが実際にマウスに存在することを発見、同年7月31日にアメリカ科学アカデミー紀要に掲載した。

これは人間にも当てはまると考えられている。メタボリックシンドローム治療法開発へ向け、現在も研究が進められている。


時計遺伝子

睡眠など約1日周期の生活や行動のリズム(概日リズム)にかかわる体内の遺伝子。時計遺伝子はショウジョウバエやマウスなどでは見つかっていたが、1997年(平成9)10月、東京大医科学研究所ヒトゲノムセンターと神戸大医学部のグループが、初めてヒトで発見した。ピリオド(周期)と名付けられた時計遺伝子は17番染色体上に乗っている。ネズミではこの遺伝子の一部に変異があると概日リズムが長くなったり短くなったりするなど、その機能が盛んに研究されている。


体内時計に関わる脳のしくみ

脳全体図

背内側核(はいないそくかく)とは何か?

間脳視床下部にある。食欲の周期に合わせて時計遺伝子をはたらかせる。


視交叉上核(しこうさじょうかく)とは何か? 

間脳視床下部にある。太陽光の周期に合わせて時計遺伝子をはたらかせる。

 

 

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