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今回、「粘土団子」は、海を渡り砂漠化の深刻なケニアに行く。ケニアでは森林面積が国土の2%を切ったという。地球温暖化による砂漠化を団子で解決できるのだろうか?放っておくだけの農法で本当にうまくいくのだろうか?ケニアの緑を増やせるのだろうか?
植物の種を数種類、粘土に混ぜて直径2〜3センチの団子状にすることで動物の食害や乾燥から守る日本発の自然農法「粘土団子」が、ケニアで本格的にスタートした。深刻な干ばつで森林面積が国土の2%を切ったケニア。農村の女性たちは「森林をよみがえらせて、雨を降らせたい」との願いを込め、粘土団子をまいた。
粘土団子は農業研究家、福岡正信さん(93)=愛媛県伊予市在住=が考案。団子が地面と接した部分に昼夜の気温差で結露が生じ、根が出やすい。砂漠化防止の切り札として、インドやギリシャなどで広まっている。
環境教育に取り組む神奈川県鎌倉市のNPO法人「横浜アートプロジェクト」の榎田竜路理事長(42)がケニアの干ばつの深刻さを知り、粘土団子の普及を決意。今年3月、アカシアの木や野菜の種(計1キロ)を粘土に練り込み、首都ナイロビの東南30キロの半乾燥地域(約1ヘクタール)にまいた。水や肥料は与えていないのに、青々としたアカシアの幼木約40本が顔をのぞかせた。
9月に現地訪問した榎田理事長らは成功を確認。ケニア政府の要請で、ウガンダ国境に近い農村で70人に粘土団子の作り方を指導した。参加したジェーンローズ・ワンデラさん(47)は「雨も少なく、作物が育たない。緑を取り戻し、雨を降らせたい」と話した。問い合わせは同プロジェクト(0467・24・1740)。(毎日新聞 2006年10月5日) 粘土団子から発芽したアカシアの芽 ケニア
知っておきたい基本事項
発芽に必要な条件は何か?
たねは乾燥した状態では発芽できません。発芽するには、水分、酸素、一定の温度の3つの条件が揃うことが必要です。
まず、たねに水分がしみ込んで膨張します。そのあと、たねの中の細胞が働き始めて、胚が生長します。やがて、種皮を破って根や芽が出てくるのです。
粘土団子とは何か?
数種類の植物の種を1つの粘土団子に練り込んだもの。土にまいてからは水も肥料もやらない。粘土に包むことで外敵や乾燥から種子を守る農法です。
植物の種子は自分の環境にあった時期に芽を出し、たとえ枯れたとしても、他の植物の発芽、生育を相互に助け合うという。いわば自然の状態を一番と考えた農法。
自然農法とは何か?
化学肥料や農薬を使わない有機農法が話題になっているが、さらに耕しもしない、除草もしない。種をまいて取り入れるだけの農法。
ちょっとためになる発展事項
発芽に光が必要な種子とは?
好光性種子といって、発芽に光が必要な種子もあります。
種まき後に、土を厚くかけ過ぎないようにする注意が必要です。「微細種子」と呼ばれる、粒の細かい種(1グラムあたり千粒以上あるような種類)のほとんどがこれに該当します。
たとえば野菜では、カブ、パセリ、ミツバ、レタス、シュンギク、ニンジンなどがあり、草花だと、プリムラ類、オダマキ、サルビア、ペチュニア、キンギョソウ、パンジー、ビオラなどがあります。
スプラウトとは何か?
英語では発芽させることをスプロウト(Sprout) といい、様々な種子を発芽させたものスプラウトとして食用とする。スプラウトにするとビタミンなどの栄養素が大幅に上がることが判っており、アルファルファや緑豆(市販されているモヤシの大半)、貝割れ大根などはおなじみだが、近年ではブロッコリー、ソバなどの新顔も加わっている。
発芽した「もやし」はなぜ栄養価が高いの?
驚くべきことに植物は、乾燥した種子の状態では存在しなかった種類のビタミンや、その他の栄養成分を自分で合成するようになる。
例えば豆苗(とうみょう)を見てみよう。豆苗はエンドウ豆を発芽させたスプラウト。種の状態と比べると、カロテンは52倍、ビタミンEは3.5倍、ビタミンKは20倍、ビタミンB2は2倍、葉酸は6.3倍、となる。そして種のときにはまったく存在しなかったビタミンCが、豆苗には74mgも含まれている。(五訂食品成分表より抜粋)
これが「スプラウトは、天然のサプリメント」と言われる由縁だ。
粘土団子とは何か?
粘土団子は、百種類以上の種を粘土に混ぜて団子にしただけのもので、これを土地に撒いて放置すると、環境の変化を見て種自身が発芽の時期を決める。粘土に混ぜるのは、動物に食べられないように守る意味もある。
そのようにして種の持つ知恵にまかせると、種はより望ましい時期に発芽するため成育率が高くなる。多くの植物がバランスをお互いに取りながら育ち、環境が変化して来ると、別の種類の種が発芽して自然の状態を豊かにする。
自然農法(しぜんのうほう)とは?
化学肥料や農薬に頼らずに作物を栽培する方法。有機農業の一形態。
福岡正信は1913年愛媛県生まれで1937年に帰農。一時自然農法を始める。
- 1988年にデーシコッタム賞など受賞
- 1997年にアース・カウンシル賞受賞
- 1947年から完全に帰農。自然農法一筋に研究。栽培形態が最も自然に近い独創的な農法を実践、普及する。種を撒いて取り入れるだけの農法で、耕さず、肥料をやらず、除草もせずに作物を育てる。いろいろな種を百種類以上集めて混ぜ合わせ、それを粘土といっしょに混ぜて団子状にした粘土団子でも知られる。
- 1997年にアース・カウンシル賞受賞
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