地球を一周する雲

 もう北海道では、今朝氷点下を記録したところも...。暖かな1日でしたが冬は確実に近づいているようです。

 長い梅雨、集中豪雨、大型台風など今年もいろいろな異常気象が起ています。まだまだ気象現象にも不思議なことがいっぱいあります。

 はるかインド洋上で発生した積乱雲が次々に集まり、数千km規模になって地球を一周する現象があるそうです。これを何というでしょう?



中央を移動する雲がマッデン・ジュリアン振動(MJO)


 正解は「マッデン・ジュリアン振動」といいます。この現象が日本の台風や地球の裏側のエルニーニョ現象にまで影響をあたえるというのですから驚きます。

 今日は「マッデン・ジュリアン」振動について学びます。 


 巨大な雲の群れ誕生、インド洋で観測の試み

 東西6000キロにもわたる巨大な雲の群れが生まれる様子をインド洋上の船からとらえるプロジェクトを、海洋研究開発機構が16日から始める。エルニーニョやモンスーンなどの気象現象に影響を及ぼすと考えられている地球最大の雲群の「出生の謎」に迫る。

 同機構地球環境観測研究センターは、東部インド洋の赤道付近に研究船「みらい」を派遣し、16日から約2カ月間気象を観測する。モルディブの地上施設なども使い、気球や海中ブイで大気と海のデータを集める。

 この雲の群れは、10キロメートル規模の積乱雲などが集まり、1000キロ以上の規模で一団となって動く。自転車ほどの速度で東へ進み、1〜2カ月で地球を一周して消える。年に五つほど発生し、二つ同時には存在しないなどの特徴がある。

 30年前に見つかった現象で、発見者の名から「マッデン・ジュリアン振動」と呼ばれる。台風のもとになる熱帯低気圧の発生とも関係するが、世界最高性能のスーパーコンピューターを使った計算でも再現は難しい。

 吉崎正憲プロジェクトディレクターは「熱帯の気象の中で最も顕著な現象。小さな雲が巨大なシステムを作り上げるしくみがわかれば、地球全体の気候変動の理解にも役立つだろう」と話す。 (asahi.com 2006年10月14日) 


 雲のいろいろ

積雲 

主に暖かい空気が急上昇する場合にできる。綿雲ともいう。

積乱雲

積雲が何らかの原因で発生した強い上昇気流によって、発達したもの。積乱雲は他にも雷雲(らいうん)、入道雲(にゅうどうぐも)などともいう。

層雲

主に暖かい空気がゆっくりと上昇する場合にできる。霧雲とも呼ばれる。

乱層雲

層雲が発達したもの。雨や雪を降らせる代表的な雲で雨雲とも呼ばれる。

   
  積雲           積乱雲         乱層雲


 エルニーニョ

 ペルー沖の東太平洋で海水温が上昇する現象。平年値より0.5度以上の高い状態が数か月〜1年程度続くこと。


 ラニャーニャ

エルニーニョとは逆に平年値より0.5度以下の低い状態が続くことをラニャーニャという。


 マッデン・ジュリアン振動とはなにか?

 対流活動を伴い地球規模の東西スケールをもつ熱帯の大気波動で約30〜60日周期で東向きに伝播する。マッデンとジュリアン(Madden and Julian 1971,1972)によって発見された。


 マッデン・ジュリアン振動による気象現象

 環境庁国立環境研究所の高薮主任研究員を中心とする研究グループにより、TRMMの観測データや全球気象データを用いた解析によって、エル・ニーニョ現象の終息のタイミングに関する新しい知見を得たという趣旨の論文が、平成11年11月18日発行の『Nature』誌に掲載されました。

 今半世紀最大規模の1997−1998年エル・ニーニョが、マッデン・ジュリアン振動(熱帯域における対流活動を伴い赤道を一周する規模をもった大気の波動で、約30〜60日周期で東向きに伝播する)と呼ばれる、降水活動を伴った地球規模・数十日スケールの大気波動の影響で、急速に終息したというのが論文の内容です。

 マッデン・ジュリアン振動がエル・ニーニョの開始・発達を促進するという効果はこれまでにも示されてきましたが、終了との関係を示したのは今回が初めてです。この結果は、気候変動の様相を決定するメカニズムにおいて、マッデン・ジュリアン振動とエル・ニーニョのように時間スケールの異なる現象の間の、相互作用の重要性を再認識させるものです。


 
ペルー沖の高温水域がマッデン・ジュリアン振動により解消された!


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