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ドラエモンの透明マントが実現に一歩近づいた。マントがある種の光を反射しない実験に成功した。

私たちが物体があると認識できるのは、物体に当たった光が反射して目にはいるからだ。もし光を反射しなかったらその物体は見ることができない。

果たしてそんなことができるのだろうか?

自然界にはある。ブラックホールがそうだ。存在は証明されているが、だれも見た人はいない。光が反射しないからだ。そればかりか光を曲げたり吸収したりする。

今日は光の基本的性質について学ぶ。 

関連するニュース


透明マント実現できる? 「見えなくする」理論確認 
かぶれば姿が見えなくなる「透明マント」実現の第一歩?――米デューク大など英米の研究グループが、特殊な微細構造の金属素材で物体を囲うことにより、物体に当てた電磁波を反射させずに裏側へ迂回(うかい)させる実験に成功した。ものが見えるのは、電磁波の一種である光が当たって反射し、目がその反射光をとらえるからだ。この反射がなければ何もないように見えるはず、という発想を確かめる試みだった。19日発行の米科学誌サイエンスに論文を発表する。

実験の基となった発想は、欧米の別の研究グループが今年5月、「理論的には物体を見えなくする素材は作れる」と同誌に発表した。物体から反射光が返らないと、目が物体の存在を認識できず、あたかも物体が透明になったようにみえる、との理屈だ。

今回のグループは、物体に当てた電磁波をねじまげて反射させずに、裏側へ迂回させるような特殊な構造の素材を考案。その素材で囲んだ直径約10センチの銅製の円筒に電磁波を当て、反射を大幅に抑えるのに成功した。

完全に見えなくするためには、反射する光のすべての波長を迂回させる必要があるため、今回の実験成果のままでは「透明マント」の実現は遠い。ただし、レーダーを無力化する技術に応用するため、米軍が研究しているとも言われている。 (asahi.com 2006年10月19日)

知っておきたい基本事項


光の直進
光は,空気や水,ガラスのような一様(密度が同様)な物質の中では直進します。


光の反射
鏡を見ると姿が映ります。私たちから出た「光」が鏡に反射して目に見えているからです。「光」は,光を通さないものにあたると,はね返されます。このことを「光の反射」といいます。


光の屈折
光は,空気中から水中などに進むとき,進む方向を変えます。光は,密度が違う物質の間を通るときに折れ曲がる性質があります。

このことを光の屈折といいます。プリズム,レンズ(望遠鏡や顕微鏡に使われていますね)などもこの光の屈折を利用しています。

くわしく知りたい発展事項


光が曲がる蜃気楼
光は密度の違う物質の中を通るときに曲がる性質がある。海水の温度が高く、そこに冷たい空気が流れ込んでくると、下が暖かく上が冷たい空気の層ができる。冷たい空気の方が密度が高いから、光はそこを通る時に、冷たい空気の方に少し曲がる。これが蜃気楼の原理だ。 

下の図では光はg-a、f-aとまっすぐ進むルートとg-b-a、f-d-aの屈折するルートの2通り通るために写真のような蜃気楼が現れる。



重力レンズの原理
光の湾曲が着目されたのは,Einsteinが一般相対性理論を発表した後のことであった。一般相対性理論によると物体が存在することで重力が生じ,その重力によって周りの時空が歪められる。光は時空に沿って道筋が最短になるように伝播するので,時空が曲がっていれば光路も湾曲することになる。 

 

重力の大きな天体が地球との間にあるために後方の天体の光が曲げられてリング状に見えている。

光が反射しないブラックホール
ブラックホールとは、重力が強いために光さえ脱出できない天体をいいます。太陽の8倍以上の質量をもった星では、その進化の最終段階で超新星爆発を起こし、星の外層部を吹き飛ばしますが、逆に中心核は重力収縮します。この中心核の質量が太陽の2〜3倍に達しない場合は中性子星になりますが、それ以上の場合、自分自身の強い重力のために星を支えることができなくなります。そして最後には重力崩壊し、物質が外に飛び出せない領域(ブラックホール)をつくるのです。



ブラックホール想像図 ブラックホール自体は見えないが重力レンズのためまわりの天体の光が曲がって見える。
 

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