科学大好き!アイラブサイエンス!このブログでは、最新科学の?をなるべくわかりやすくコメントします。
種子植物は美しい花を咲かせる。花びらの色や香りで虫を呼びよせ、虫の力で花粉を運ばせる。花粉がめしべの柱頭につくことによって受粉、受精し花の役目を終える。

したがって受粉しない間は、花は咲き続けることになる。花屋さんで百合の花の花粉の入った袋(やく)を取っているのは、長持ちさせる意味がある。

植物のDNA、遺伝子操作によって、「ペクチン」をつくらせないようにすると花粉のできない花ができた。筑波大大学院の佐藤忍教授らの研究チームが新しく開発した。

今日は種ができる有性生殖のしくみと、種ができないしくみについて学ぶ。 

関連するニュース
筑波大チーム、花粉ない植物を開発…種できず花長持ち


植物の遺伝子の働きを調節することで花粉ができないようにする手法を、筑波大大学院の佐藤忍教授らの研究チームが開発した。

様々な遺伝子組み換え植物の花粉の拡散防止に役立つほか、種ができないため、草花の花を長持ちさせることが出来るという。

研究チームは、植物の細胞同士を結びつける「ペクチン」という糖類に着目。タバコの仲間の植物を使って、特定の薬品を作用させると、ペクチン合成ができなくなるように遺伝子を操作した。ペクチンは花粉の合成などにもかかわっているため、これにより、花は咲くものの、花粉ができない状態を作り出すことが出来た。

種が出来ない点を除けば、植物の成長や開花には異常はなく、実際に花が長持ちする効果も確認されたという。(2006年10月23日  読売新聞) 

知っておきたい基本事項


有性生殖(ゆうせいせいしょく)
生物の生殖法の一種。卵と精子などの性細胞が合体して新しい個体をつくるふつうの生殖法。無性生殖に対する語。

種子植物の有性生殖
種子植物では,おしべのやくの中で花粉がつくられ,めしべの胚珠の中で卵細胞がつくられる。

花粉がめしべの柱頭につくことを受粉という。受粉すると花粉から花粉管がのびて,胚珠内の卵細胞に達し,花粉管の中の精細胞の核(精核)が卵細胞と合体して受精卵となる。これを受精という。

受精すると胚珠は発達して種子となり,受精卵は種子の中の胚となる。胚が発達して新個体となる。

動物の有性生殖
多くの動物は,雌の体の卵巣の中で卵がつくられ,雄の体の精巣の中で精子がつくられる。精子の核と卵の核が合体することを受精という。

魚類・両生類など,水中で生活する動物の多くは,体外受精が行われる。雌が水中にうんだ卵に雄が精子をかけ,精子は水中を泳ぎ,卵にたどりついて受精する。

は虫類・鳥類・ほ乳類など陸上で生活する動物の多くは,精子が乾燥しないように,交尾によって精子を雌の体内に送りこんで,体内で受精する。受精卵が細胞分裂してやがて胚となり,体のいろいろな部分の組織や器官がつくられて,新しい個体となる。

くわしく知りたい発展事項


ペクチン (Pectin) とは?
植物の細胞壁に含まれる複合多糖類。熟した果実の中につくられる炭水化物のひとつ。マツの形成層や柑橘類の皮にふくまれ、白い無定形質で、水にとかすと粘性の溶液になる。

牛乳などCa2+をふくむものと反応しゲル状の沈殿をつくる。糖や酸と適度な割合で混合するとゼラチン状の物質になり、ジャムの粘性増加剤となる。市販のペクチンは、リンゴやレモンからとり、ペクチンが不足している果物のジャムをつくるときに使用する。

種なしブドウのしくみ
種なしブドウは、ジベレリン処理によって作ります。ジベレリンは、植物自身が本来持っている成長ホルモンの1種です。ジベレリンには細胞の分裂を早めるはたらきがあります。農薬(植物成長調整剤)としても利用されています。

一般的に植物は、めしべの柱頭に花粉が付着して受精が起こると、花のある器官(子房など)が肥大し、種子の入った果実を作ります。

ところが、ブドウの開花前に、コップにジベレリンを入れ、花穂を浸すなどの処理をすると、開花後すぐに成長し結実。種なしの果実ができます。

そのままですと果実が著しく小さくなるため、満開後にもう一度ジベレリンで処理し、もとの大きさと同じくらいに肥大させます。こうすると、収穫期が3週間ぐらい早くなりますし、粒数が増えるので収量も多くなります。

日本で、この生産技術により栽培されているブドウは、「デラウエア」がほぼ100%、その他「ピオーネ」、「巨峰」、「マスカット」にも利用されています。

種なしスイカのしくみ
スイカの場合はブドウとは異なり、染色体数を変えて作る方法です。種のあるふつうのスイカは、染色体を基本数の2倍持つ2倍体です。この2倍体のスイカの成長点(苗の先端)に、コルヒチン(ユリ科植物に含まれるアルカロイドの1種)を作用させると、4倍体のスイカができます。

さらに、このスイカのめしべに2倍体スイカの花粉をつけると、3倍体のスイカの種ができます。3倍体スイカは、染色体の分裂が不規則になるために種を作る能力がありません。そのため3倍体スイカの種を植えると、種なしスイカになるのです。

しかし、種なしスイカは手間がかかるなどの理由から、現在ではあまり作られていません。バナナが種を持っていないのは、3倍体だからです。

受精しない果実(単為結実)
また、温州ミカンやカキ、パイナップルなどのように、受粉しないか、受粉しても受精しないで、子房が肥大し、種なし果実になるものがあります。このような現象を、「単為結実」といいます。
 

雄と雌の数をめぐる不思議

中央公論新社

このアイテムの詳細を見る
環境生殖学入門―毒か薬か 環境ホルモン

朝日出版社

このアイテムの詳細を見る
植物はなぜ5000年も生きるのか―寿命からみた動物と植物のちがい

講談社

このアイテムの詳細を見る

ランキングブログ検索 ブログランキングへ にほん
ブログ村 科学ブログへ ←参考になったらクリック してね