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今年の初めからよく話題になるES細胞。もうどんな細胞かわかっていただけたろうか。体の様々な組織や細胞になり得る万能細胞のことをES細胞という。ES細胞は再生医療の分野で期待されているが、さまざまな問題がある。

受精卵が分裂する過程でつくられるのがES細胞。赤ちゃんになることを予定されている受精卵を別の目的に使うというのは倫理的な問題があった。

そこで現在、様々な方法で受精卵をなるべく傷つけずにES細胞をつくる研究がなされている。

今日はES細胞とそれをつくろうとする科学者達の努力の成果について調べる。(参考HP Wikipedia)
 
 マウスES細胞
 

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受精卵使わずES細胞 国内で成功例相次ぐ


ES細胞作製の流れ
 
受精卵を全く、あるいはほとんど使わずに、再生医療で期待される「万能細胞」を作ろうという研究が、国内で盛んに進められている。政府の総合科学技術会議は受精卵やクローン胚(はい)を「生命の萌芽(ほうが)」と位置づけており、宗教界の一部には受精卵などの使用に強い抵抗がある。受精卵を使わなければ、こうした生命倫理問題が回避できると期待されている。

様々な組織や細胞になり得る万能細胞は、事故や病気で失われた機能を回復する再生医療の焦点だ。受精卵が分割を繰り返した「胚盤胞」を壊して作る胚性幹細胞(ES細胞)が代表格だ。

だが、理化学研究所(神戸市)の若山照彦チームリーダーらは、マウスの未受精卵に化学物質で刺激を与えて分裂を起こさせ、未受精卵からのES細胞を作った。さらに、その細胞核を別のマウスの未受精卵の核と置き換えて、再びES細胞を作る「2段階方式」を編み出した。

2段階目のES細胞が特定の神経などに分化する能力は、1段階目のES細胞の3〜4倍になった。未受精卵からのES細胞は、受精卵からのES細胞より分化能力が低いのが難点だったが、若山さんの2段階目は受精卵ES細胞の最大7割程度の分化能力を示した。

一方、京都大再生医科学研究所の多田高・助教授らのグループは年明けにも、受精卵ES細胞に体細胞を融合させて、万能細胞にする研究を始める。すでにマウスでは成功している。この手法なら、受精卵の破壊は最初にES細胞をつくる時だけで済む。

同じ再生研の中辻憲夫教授らは、未受精卵からのES細胞を別々に100株用意すれば、拒絶反応に影響するHLA型(人の白血球型)をほぼそろえることが可能だとする分析結果をまとめた。日本人の90%が、自分に合ったHLA型のES細胞からつくった細胞や組織を使うことで、拒絶反応の心配が少ない移植を受けられるという。

中辻さんは「未受精卵からES細胞を作る研究は、米国でも積極的に進められている。今後、ES細胞バンクの設置が重要な課題になるだろう」と言っている。 (asahi.com 2006年12月24日) 

ES細胞とは?


胚幹細胞または胚性幹細胞ともいう。多細胞動物の初期胚からとりだされた細胞で、あらゆる種類の体細胞になる能力、すなわち万能性をもったまま無限に増殖できる培養細胞株。成体内にある他の幹細胞が分化できる細胞の種類に制限があるのに対して、ES細胞はあらゆる種類の細胞に分化できるのが特徴である。

歴史
1981年にイギリスの生物学者M.エバンスとM.カウフマンがマウスで、哺乳類としてはじめてES細胞をつくることに成功した。つづいてアメリカの生物学者J.A.トムソンらが、95年にはアカゲザルで、そして98年にはヒトの胚でES細胞を確立した。

作り方
哺乳類の受精卵は32細胞まで分割すると、胚盤胞(はいばんほう)をつくり、胚になる内層と外層の栄養細胞にわかれる。この内層細胞をとりだし、ばらばらにわけて培養して、ES細胞がつくられる。

問題点
こういう性質をもつヒトES細胞は再生医療において多様な用途がみこめるため、医学界だけでなく産業界からも注目をあつめている。しかし、ヒトの胚をばらばらにすることが前提になるので、倫理的な議論の対象になる。さらに、本人の細胞クローンからES細胞をつくれば、移植における免疫問題が解決され、臓器移植を不要のものにする可能性があるが、これもまた、ヒトのクローンをみとめるかどうかという倫理的問題がたちはだかる。

新しいES細胞作製と最近の研究
1.未受精卵に化学物質で刺激を与えて分裂を起こさせ、未受精卵からのES細胞を作る方法。さらに、その細胞核を別の未受精卵の核と置き換えて、再びES細胞を作る「2段階方式」により細胞分化能力が高まる。マウスでは成功している。

2.受精卵ES細胞に体細胞を融合させて、万能細胞にする研究。すでにマウスでは成功している。この手法なら、受精卵の破壊は最初にES細胞をつくる時だけで済む。

3.未受精卵からのES細胞でも、数を用意すれば、多数の人の血液型に合った細胞ができる研究結果もある。拒絶反応に影響するのはHLA型(人の白血球型)で、ほぼ対応できる。


細胞融合とは?


複数の細胞がくっついて、細胞と細胞をしきっている隔壁がなくなり、単一の細胞になること。自然界では、受精のときに精子と卵子が細胞融合をするのが代表的な例である。

体細胞でも細胞融合がおこる。筋肉の元になる筋芽細胞が融合して、多核細胞(シンシチウム)の骨格筋となるのである。現代では、人工的にも細胞融合をさせられるようになった。

人工的に異種の生物の細胞を融合させ、雑種細胞をつくる細胞融合技術は、現在のバイオテクノロジーにおける基礎となる技術のひとつである。

この技術は、1957年(昭和32)に大阪大学の岡田善雄がHVJウイルス(Hemagglutinin Virus of Japan。通称センダイウイルス)をもちいて癌細胞の融合に成功したことが、突破口となった。

同じ方法が体細胞でも、さらに、異種の細胞間でも可能だと明らかになり、異種の細胞融合は、遺伝子発現の制御機構の解明などにとって、重要な基礎生物学の手法となった。


 

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