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2006年のノーベル医学生理学賞は、「RNA干渉」でした(くわしくはRNA干渉のページ参照)。2005年のノーベル医学生理学賞は何だったでしょう?  

正解は「ヘリコバクター・ピロリに関連する研究」です。オーストラリアのウォーレンとマーシャルの共同研究によるものです。  

ピロリ菌といえば聞いたことがあるのではないでしょうか?ではピロリ菌というと誰が保菌していてどんな菌なのでしょう?  

調べてみると、20代までは約16%40代では約40%70代では約74%と、年齢とともに感染率は高くなります。感染者には胃炎、胃潰瘍、胃ガンの原因になりますが、大部分の感染者には生涯症状はでません。
 

 ピロリ菌は5万8000年前に人類に感染? 

不思議なことはまだあります。なぜこれほど多くの人が感染しながら1982年まで発見されなかったのでしょう?またなぜ酸性の胃の中で死なないのでしょう?
 
ピロリ菌に感染しているからといって心配はありません。胃炎、胃潰瘍などの症状がなければ問題ありませんし、症状が出た場合は除菌できます。   今日はピロリ菌について調べます。(参考HP 武田薬品)


関連するニュース 
ピロリ菌:人類感染は5万8000年前 日米欧チーム研究


胃かいようなどの原因とされるピロリ菌に人類が感染したのは、人類がアフリカにいた約5万8000年前とする研究成果を、日米欧などの合同チームがまとめた。

また、地域や民族によってピロリ菌の遺伝子が違うことから、日本人の起源の解明など、人類の足跡を知る「証拠」にもなりうるという。7日付の英科学誌「ネイチャー」で発表した。

チームは6年がかりで世界51民族、769人の胃からピロリ菌を集め、菌の遺伝子の違いを分析した。その結果、遺伝子は民族ごとに異なり、アフリカや欧州、アジアなど地域ごとに6種類に大別されるほか、人類が最初に誕生したとされる東アフリカを起源に変化してきたと考えるのが最も合理的との結論を得た。

人類がアフリカから各地に移住し始めたのは約5万年前とされているが、遺伝子の変化を逆算し、最初の感染時期はさらに約8000年さかのぼるとみられる。

ピロリ菌の遺伝子を比べると、例えば北米の先住民と日本人が似ているほか、在米アジア人は2世までアジア人タイプのピロリ菌を持っており、ヒトの遺伝子を使った解析よりも詳しい移住の歴史が解き明かされる可能性もあるという。

チームの山岡吉生・米ベイラー医科大准教授(分子病原学)は「ピロリ菌は、人類史初期のアフリカ時代から人類を胃炎で悩まし、まるで遺伝のように受け継がれているらしいことが分かった。菌の感染経路や、国や地域によって胃がんの発生率が違う原因の解明などにもつながるはず」と話している。(毎日新聞 2007年2月8日)

ピロリ菌とは何か?


ピロリ菌は人間の胃の中に住んでいる細菌です。1980年代に発見されましたが、この菌が胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となっているということが、近年明らかになってきています。先進国の中で日本は感染率が高く、国民の約半数が感染しているとされています。しかし大部分の人は生涯症状が出ません。

ピロリ菌は長さは4ミクロン(4/1000mm)で、2〜3回ゆるやかに右巻きにねじれています。片側(両側の場合もあります)に4〜8本のべん毛がはえています。

ピロリ菌は胃の粘膜を好んで住みつき、粘液の下にもぐりこんで胃酸から逃れています。また、十二指腸の粘膜が胃と同じような粘膜に置き換わってしまった場所(胃酸から十二指腸を守るためにこのような変化をする場合があります)では、ピロリ菌が住みつくこともあります。

ピロリ菌に感染していたらどうしたらよいか?


慢性の胃炎患者などに対してはヘリコバクター・ピロリの除菌治療が実施され、著効を収めている。胃炎などの症状のある患者に対してのみ行われ、2006年現在、無症候の保菌者に対しては行われることはまれである。

除菌治療では抗生物質2剤と、一過性の胃酸過多による副作用を防止するためのプロトンポンプ阻害薬の併用が標準的である。

ピロリ菌は胃液の中でもなぜ死なないか?


胃の酸度はpH1〜2です。ピロリ菌が活動するのに最適なpHは6〜7で、4以下では、ピロリ菌は生きられません。ではなぜピロリ菌は胃の中で生きられるのでしょうか?

秘密はピロリ菌の持つウレアーゼという酵素です。この酵素によって胃の中の尿素という物質からアンモニアを作り出すのです。アンモニアはアルカリ性です。このアンモニアが胃酸を中和するのです。

そのようにしてピロリ菌は自分の周りに中性に近い環境を自分で作り出すことができるので、強酸性の胃の中でも生きていられるのです。

ピロリ菌はなぜ発見されなかったか?


胃は食べ物を消化するために強い酸性の胃液を出しています。そんな環境に住める細菌などあるはずがないという考え方が長い間伝統的にありました。

ところが1979年、オーストラリアのロイヤル・パース病院の病理専門医ウォーレンが、胃炎をおこしている胃粘膜にらせん菌が存在していることを発見しました。ウォーレンは同じ病院に研修医としてやってきたマーシャルと共に研究をすすめ、この菌が「胃に住みついている」ということを確信し、この菌によって胃炎がおこると考えました。

ここで、細菌学の父といわれるコッホの提唱した「コッホの四原則」を紹介します。ある細菌がある病気の原因であると決定するためには
 
1. その病気のすべての患者にその細菌がいる
2. その細菌は他の病気の患者にはみられない
3. 患者から分離したその細菌を投与すると別の個体に同じ症状が現れる
4. 病気を引き起こした別の個体から、同じ細菌が証明できる
 
というものです。このため、ウォーレンとマーシャルはこのらせん菌を分離・培養しなければなりませんでした。

二人は、このらせん菌の分離・培養にとりかかりました。通常の細菌の培養では、菌を培地に植え付けて、培養器に入れて48時間後に培養できたかどうか確認します。ふたりもそのようにしていましたが、なかなかうまく培養できません。

幸運が訪れたのは培養中にイースター(復活祭)の休日が入り、培養器に5日間いれたままにしてしまった35番目の検体でした。なんと、直径1mmの透明な菌の固まりができていたのです。1982年4月14日のことでした。(実はピロリ菌の培養には最低4日かかるのです)


培養に成功した菌は、これまでに見たこともない新しい菌であることがわかりました。このことは1983年に発表され、世界中の注目を集めました。

さらに1984年7月、マーシャルは培養したこのらせん菌の固まりを自ら飲み込むという人体実験を行いました。10日目に胃の組織を取って調べると、急性胃炎を起こしており、そこにはあのらせん菌が存在していました。これでコッホの4原則が立証されたのです。 
   

胃・十二指腸潰瘍はピロリ菌が原因だった

主婦の友社

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