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 前回、「なぜ磁石では、N極・S極があるのか?」というと、「スピンという、個々の原子のもつ小さな磁石がすべて同一方向を向いているからである」ということを述べました。

 この性質を磁気双極子といいます。ところがふつうの物質ではN極・S極がありません。これはスピンが別々の方向を向いているからです。

 ある物質はスピンが2通りの方向に向いています。これを磁気四極子と言います。ある原子では4通りの方向を向いています。これを磁気八極子といいます。

 これまで、磁気八極子の存在はあまり知られていませんでしたが、NpO2(ネプツニウム酸化物)が磁気八極子だということが「独立行政法人日本原子力研究開発機構」の研究で発見されました。

 ネプツニウムというのは、超ウラン元素の一つ。アクチノイドという原子グループの一つです。超ウラン元素やアクチノイドというのは、放射線を出し他の物質に変化するので、取り扱いが難しく、研究が進んでいない分野です。

 今回の研究成果により物性物理の重要課題であるアクチノイド化合物(NpO2もその一つ)の電子状態の解明が大きく進展し、超伝導機構などが解明されることが期待されます。

 今日は強磁性を持つ「アクチノイド化合物」とは何か?「電気八極子」とは何か?学びます。(参考HP Wikipedia・日本原子力研究開発機構)

 
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ネプツニウム酸化物NpO2に新しい磁気秩序「磁気八極子秩序」を発見


 50年来の謎であったネプツニウム酸化物アクチノイド化合物の一種)の特異な磁気状態は、磁気八極子による新しい秩序状態であることを確認。「磁気秩序 = 磁気双極子の秩序」というこれまでの常識を覆す発見である。

 独立行政法人日本原子力研究開発機構は、東北大学金属材料研究所との共同研究により、50年来の謎であったネプツニウム酸化物NpO2アクチノイド化合物1)の一種)の特異な磁気状態を、核磁気共鳴法2)を用いて解明し、NpO2ではNp原子を    構成する5f電子3)が新しい磁気八極子秩序4)状態を形成していることを発見しました。

 これは、原子力機構先端基礎研究センターの徳永陽研究員、神戸振作研究主幹、東北大金研・放射線金属化学研究部門の青木大助手、本間佳哉助手、塩川佳伸教授らによる成果です。

 低温でNpO2に現れる磁気状態が、通常の磁性体で見られる磁気秩序でないことは1950年代には既に知られていました。しかしそれがどのような状態かは不明であり、物性物理の大きな難問でした。

 今回の研究成果により物性物理の重要課題であるアクチノイド化合物の電子状態の解明が大きく進展し、超伝導機構などが解明されることが期待されます。また、今回初めて観測された「磁気八極子秩序」は、多くの物理現象に普遍的な「自発的対称性の破れ」という現象の一つであることから、今後、電気十六極子などまだ見つかっていない新たな「自発的対称性の破れ」現象の探索が進むことも期待されます。

 本成果は、米国物理学会誌Physical Review Letters誌 12月22日号に掲載予定です。 (2006/12/19 JAEA)

ネプツニウムとは何か?


 原子番号93の元素。元素記号はNpアクチノイド元素の一つ。超ウラン元素でもある。銀白色の金属で、展性、延性に富んでいる。常温、常圧での安定な結晶構造は、斜方晶。摂氏280℃付近から正方晶となり、更に摂氏580℃付近より体心立方構造(BCC)が安定となる。比重は、20.45、融点は摂氏640℃、沸点は摂氏3900℃。原子価は、3価〜7価(5価が安定)。 

アクチノイド化合物1)とは何か?


 原子番号89のアクチニウム(Ac)から103番のローレンシウム(Lr)までのアクチノイド元素を含む化合物。5f電子という他の元素にはない独特の電子をもつため、複雑な磁性や超伝導など多彩な物理現象が出現する舞台となります。

 しかしほとんどのアクチノイド元素は天然では存在せず、また強い放射性のため取り扱いが難しい。このためアクチノイド化合物の電子物性の研究は天然に存在する原子番号92のウラン(U)の場合を除いてほとんど手が付けられておらず未踏の領域となっています。

 超ウラン元素
 ウランより重いネプツニウム以降の元素のことを超ウラン元素という。超ウラン元素のほとんどは自然界には存在せず人工的な環境で生み出されたものであり、半減期も短いものが多い。このため物理的、化学的性質の詳細はとりわけ不明な部分が多い。

核磁気共鳴法2)とは何か?


 核磁気共鳴法(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)は原子核の核スピンと電磁波との共鳴現象を利用して固体内の電子状態を探る手段で、その原理は核磁気共鳴断層診断装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging)として医療の分野でも広く応用されています。核磁気共鳴法の最大の利点は、物質内部の様子を微視的に観測できる点で、電子がつくる微小な磁場の変化を高感度で測定することができます。原子力機構は国内で唯一、アクチノイド化合物の測定が可能な核磁気共鳴装置を有しています。

5f電子3)とは何か?


 電子はその属する軌道の種類に応じて分類され呼称されます。軌道にはs、p、d、fの4種類があり、5f電子はそのうちの5f軌道上の電子です。比較的高い運動エネルギーを持つが、その軌道の空間的な広がりは大きくないという特徴を持つため、化合物を形成した際には、結晶中を動ける状態(遍歴)と、動けない状態(局在)の中間的な性質をもちます。

 また通常は別々の電子のスピンと軌道が、強い相互作用により結合し、両者が渾然一体となった多極子という新しい自由度を持つようになります。このような5f電子の特徴は固体電子物性における“局在”と“遍歴”という古くからの命題と“スピン”と“軌道”という今日的な課題に対し、格好の研究の場を提供しています。

磁気八極子秩序4)とは何か?


 固体の中の磁気モーメントが、自発的に整列している状態を磁気秩序と呼びます。もっともよく見られる磁気秩序は磁気双極子が一方向に整列した状態で、これを強磁性状態と呼びます。磁石は、その典型的な例です。今回の発見は、整列している磁気モーメントが磁気双極子ではなく、磁気八極子であることを実証したことが特徴です。


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