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富士山が世界遺産の国内暫定リストに登録された。

前回、世界遺産の暫定リストに登録されたときは、ユネスコの現地調査のあとの審議で却下された。

その理由が「ごみやし尿汚染を解決しなければ、登録は困難」ということだった。

世界遺産になるような所は、美しい場所が多いので観光客が多い。これは富士山だけでなく、すでに世界遺産に登録されたところも同様で、カンボジアのアンコール遺跡では観光客の増加のためにトイレ不足になっている。し尿が処理しきれず、水質汚染が起こっているという

どうやって解決したらよいだろう?

くみ取り式ではとても全部回収しきれないし、臭いがすごい。水洗トイレでは水をひかなくてはならないし、水代がかかるし排水設備も必要になる。

     
丸山動物園のバイオトイレ        さわれるの? 最後は肥料に!

そこで出てきたのが、「バイオトイレ」である。このトイレ、水がいらないから、水代がかからなく安価である。しかも、臭いがしない。有機肥料ができる。など、いいとこばかりのトイレである。アンコール遺跡には、環境NPO法人のグラウンドワーク(GW)三島が「バイオトイレ」を寄贈することになった。富士山ではすでに運用されている。

「バイオトイレ」に必要なのは、「おがくず」と「撹拌装置」だけだという。いったいどうして臭いがしないのか?何で水がいらないか?なぜ大量のし尿を処理できるのか?

2005年、正和電工(株)のバイオトイレが第32回環境賞環境大臣賞・優秀賞を受賞した。2006年、東陽綱業(株)のバイオトイレが環境省平成18年度環境技術実証モデル事業で運用中である。

今日はバイオトイレについて調べる。(参考HP 正和電工(株) GW三島

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アンコール遺跡、微生物で守れ 水質悪化にバイオトイレ


トイレ不足に悩むカンボジアの世界遺産・アンコール遺跡群に、静岡県三島市の環境NPO法人のグラウンドワーク(GW)三島が汚水を出さないバイオトイレを贈ることになった。遺跡を管理する同国政府機関と合意し、5月の設置を目指す。遺跡群周辺では、観光客の急増でトイレが不足、地下水汚染などを引き起こしている。GW三島は「環境改善につなげたい」と話している。

アンコール地域遺跡保護管理機構(アプサラ機構)の説明では、遺跡群内のトイレは11カ所。水洗に使う水は井戸から発電機でくみあげているが、し尿はくみ取り式。業者がバキュームカーで郊外の処理場へ運搬しているが、運び切れていないという。今後トイレを7カ所増設予定だが、年間の観光客は約120万人で、毎年20〜25%ずつ増えているという。周辺はホテルの建設ラッシュが続き、生活排水の増加で近くの川やトンレサップ湖の水質悪化が進んでいる。

バイオトイレは「東陽綱業」(大阪府吹田市)が開発した1基(2人用)で、500万円。1日の処理能力は約400人分。杉チップに含まれるバクテリアの働きでし尿を水と窒素ガスに分解し、出た水を洗浄用に再利用する自己完結型で、においもない。

GW三島は環境省の委託で、富士宮市の白糸の滝にこのバイオトイレを設置し、し尿処理能力などを調べている。昨年10月、シンポジウムのために来日した同機構のクンニェイ第2遺跡局長がこれを知り、視察。効果に注目し、具体化した。

GW三島の渡辺豊博事務局長は「多くの人にカンボジアの現状を知ってもらうためにも、国内からボランティアを募って設置したい」と話している。(asahi.com 2007年02月26日)

バイオトイレとは何か?


近年ではバイオトイレと呼ばれる新たな仕組みのトイレが注目されている。 仕組みは単純で、便槽の中におがくずを詰め込んであり、攪拌することで排泄された糞尿をオガクズの中に住み込んでいる好気性のバクテリアが分解し、最終的には土と水のみが生成されるものである。

このトイレの利点は、汚物を蓄積しないことで悪臭が発生しない点、そして水洗式でないために、保温用、攪拌用の電源さえあれば、どんな場所にでも設置できるという点である。 現行の水洗トイレもおがくずやチップを用いたドライトイレも、水循環式トイレも、化学処理や燃焼処理に頼らずに、生物の力でし尿を処理しているという点で、すべてがバイオトイレの範躊にある。

富士山の頂上・8合目・5合目やサハリンの天然ガス開発現場、南極昭和基地、旭川の旭山動物園、各地の公園、工事現場などで活躍中である。正和電工(株)のバイオトイレは第32回環境賞環境大臣賞・優秀賞を受賞している。

バイオトイレの特色

バイオトイレの特色は、(1)水を使わない(省エネ・水環境の保全に貢献)、(2)臭わない(快適空間の創造)。(3)くみ取り不要(省エネ・無臭)、(4)し尿が資源化される(資源循環・バイオマス廃棄物の資源化)、(5)生ゴミを同時に処理できる(複合処理)、(6)水環境の保全に貢献(環境浄化)、(7)取り付け簡単(簡便性)、(8)移動可能(広域利用)、(9)イベント時や災害時に強い(備蓄・レンタル対象)、(10)ベッドの脇に置ける(介護用・高齢者社会への対応)、(11)水洗トイレ方式に比べ安価(省エネ・インフラ投資の軽減)、(12)病原菌などの死滅(安全性)などの諸特性を有する地球環境に優しい21世紀のトイレである。

なぜ水がいらないか?


希釈廃棄から濃縮資源化へ

水洗トイレでは、多量の水でし尿を薄めて、分解しやすくするのがねらいである。しかし、し尿の大部分は水分であるから、これを有効利用する方がよい。バクテリアで分解すべき対象の固形分は、たかだか4〜5%に過ぎない。

もともと水っぽいし尿を、その50倍以上の水道水で下水処理場に運搬する水洗トイレは、希釈・排棄気型トイレであると言え、水資源が不足気味な昨今では問題があった。

地球規模での水資源の保全を考えるとき、水を使わないトイレは、時代の要請でもある。この点、おがくずは、臭気を発生させずにし尿から水分を蒸発除去するのに優れた資材であり、バイオトイレの主役である。21世紀はバイオトイレの需要度、重要度が高まるであろう。

なぜ臭いがしないのか?


くみ取り式のトイレの臭さには閉口するが、この臭さは、糞と尿とが同じ容器で混合・貯蔵され、十分に空気に触れていないことに原因がある。嫌気状態では、糞に含まれていた嫌気性バクテリアが増殖し酵素ウリアーゼを生産する。このウリアーゼが尿中に含まれていた尿素を効率的に分解して、炭酸ガスとアンモニアを生成する。

糞と尿とを別々に集めると臭気の発生は少ない。また、糞と尿とを混合しても、おがくず中であれば臭わない。おがくずがあると空気をたくさん含むようになるので好気的な状態になる。

おがくずの好気的条件下では、嫌気性の腐敗菌は繁殖できず、通性嫌気性菌や好気性菌の増殖が促進され、尿素の分解によるアンモニアの生成が大幅に抑制されるのである

なぜ、おがくずを使うのか?


おがくずが臭気を発生させずにし尿から水分を蒸発除去するのに優れた資材であると述べた。その理由を解明するために、おがくずの特性を検証する。

好気性条件の保持

おがくずを使用すると、臭気なしにし尿の処理が可能となる。おがくずは、構成粒了自身が多孔質であるとともに、一定容積の入れ物に入れられた場合にその粒子と粒子との間に多大な空隙ができる。

大きい比表面積

おがくずの第2の特性は、その比表面積の大きさである。おがくずの表面からは水分が発し易い。バイオトイレは、間歇的におがくずをゆっくりと攪拌しており、攪拌されると底の方にあった水分の多い部分のおがくずが表面に現れて来る。表面に出てきた水分は、おがくずの表面から蒸散する。

リグニンの存在

第3に、リグニンの存在が、おがくずの物理的磨耗抵抗性を付与している。また、リグニンは難分解性の天然高分子で、化学反応に強く抵抗し、また、天然界にあっては、バクテリアはほとんどリグニンを分解することか出来ない。抗バクテリア性能が高い。

そのため、おがくずに混ぜられた易分解性の有機物は、好気性バクテリアによって効率よく分解・消滅されて行くが、マトリックスとしてのおがくずはいつまでもその形状を変えることがない。このように、おがくずは、リグニンの存在によって、マトリックス材料としてバクテリアに抵抗し、かつ攪拌下での摩耗にも耐えるので、長期間使用することが可能となる。

生分解性

おがくずはリグニンも含めて、生分解性の天然高分子材料である。バクテリアにはめっぽう強いおがくずであるが、キノコの仲間である担子菌類の攻撃には弱い。バイオトイレで使用したあとのおがくずは、土壌に戻すことで、蓄積したミネラル類は肥料となり、おがくずは担子菌やミミズなどの上壌生物の餌となる。

ミミズの糞は最高の土壌改良剤である。このようにおがくずは植物の生育に適した土壌環境を作る資材として最終的に環境に戻すことが可能である。ここに物質循環が完了する。

おがくずを畑に人れると良くないと言われるのには理由がある。それは、おがくずそれ自身には窒素、隣、カリなどの無機栄養素がほとんどないことが原因である。新しいおがくずを土壌中に人れると、これを分解するために担子菌やバクテリアが、周囲の土壌から窒素、隣、カリなどの栄養素をかき集める。

そのため、植物が、栄養不足となって育たないような状況が生まれる。しかしながら、バイオトイレから出た使用済みのおがくずには、窒素、隣、カリなどの栄養素がたっぷり蓄積しているので心配はない。むしろ、栄養分が濃すぎないように希釈して施肥する必要があるくらいである。

将来のバイオエネルギー、林業活性化?


おがくずの能力が広く認識され、生ゴミ、屎尿、家畜糞尿が資源化処理に各地で利用されると、おがくずが大量に必要になる時期が来る。それに備えて、地域ごとにおがくずや使用済みのおがくずの集積地を作って、状況に対応する必要が出るであろう。

農林水畜産関係のバイオマス廃棄物は、個々に処理を考えると困難さが先に立つが、これら厄介者同士を複合処理することで、ともに有用な資源に変換する事が可能となる。おがくずを地域ごとに集積する事は、間伐木利用の促進につながり、各地域の山林の整備による林業の活性化が期待される。  

 

バイオマスで拓く循環型システム―循環バイオ産業の創生

工業調査会

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