北陸電力の臨界事故

 北陸電力で臨界事故が起きた。それも今から8年前のことである(1999年6月)。いったいどうしてこのようなことになったのだろう。

 私たちの使う電力の3分の1以上はすでに原子力によるものである(2004年で34%)。原子力の良い点は何だろう?

 少ない燃料で大きな熱エネルギーを出すこと。地球温暖化の原因となる二酸化炭素を出さないこと。などであろう。


原子炉のしくみ左がBWR 右がPWR


 原子力の問題点は何だろう?

 燃料であるU−235の量に限度があること。U−235による核分裂反応で、放射線を出すこと。放射線廃棄物の処理する場所が少ないことなどがあげられる。

 二酸化炭素を出さないのは良いが、人命に関わる放射線(γ線・中性子線)を出すからには完全に核分裂反応を制御せねばならない。

 核分裂反応を制御できなずに反応が進む状態を、臨界、臨界超過といい、これによる事故を臨界事故という。

 今日は「臨界事故」と今回の「臨界事故」の問題になった「制御棒」について調べる。
(参考HP 原子力百科辞典・中部電力) 


 北陸電力が志賀原発の臨界事故隠す、制御棒外れ15分

 北陸電力志賀原子力発電所1号機(石川県志賀町)で、1999年6月18日、定期検査のために停止していた原子炉から突然、出力を制御するため下方から炉心に挿入していた「制御棒」89本のうち3本が外れ、原子炉が再稼働状態に入る事故が起きていたことが、15日わかった。

 原子炉は緊急停止せず、この状態は15分続いたが、北陸電力は当時、十分な原因調査を行わなかったうえ、記録を残さず国にも報告していなかった。

 経済産業省原子力安全・保安院は、臨界事故にあたるとみており、原子炉等規制法に基づく報告義務違反にあたる可能性を含め事実関係を把握し、安全が確認できるまで1号機の運転を停止するよう15日午後、指示する。

 制御棒が外れたのは、99年6月18日午前2時17分ごろ。制御棒1本の急速挿入試験のため、残り88本を動かす水圧制御弁を閉じる作業を進めていたところ、誤操作で3本が炉心から抜けた。

 原子炉の制御システムは、核分裂反応が継続する「臨界」に陥ったことを感知し、緊急停止信号を出したが、この3本を再挿入するために必要な加圧用窒素タンクの準備が不十分だったことなどから、ただちには再挿入できなかった。

 結局、弁の操作などで3本が炉心に入り、臨界が終息したのは15分後だった。臨界時の出力は定格の1%未満だったが、原子炉の制御が事実上、15分間効かない状態が続いたことになる。

 さらに、定期検査のため、炉心を覆う圧力容器と格納容器の上ぶたが外されており、放射能を封じ込める機能が低下していた。ただ、原子炉建屋内の原子炉周辺には作業員がおらず、被曝(ひばく)事故は起きなかった。

 予期せぬ形で原子炉が起動し、臨界状態に陥ったことから、経済産業省原子力安全・保安院では「想定外の重大事象で臨界事故にあたる」としている。

 今回の事故は原子力発電所のデータ改ざん問題に関する社内調査で判明した。93年7月に運転を開始した志賀原発1号機は出力54万キロ・ワット。沸騰水型で制御棒は原子炉の下方から挿入するタイプ。制御棒が入らない場合、核分裂反応を終息させる働きのあるホウ酸水を炉心に注入するが、今回は注入していなかった。(2007年3月17日19時46分  読売新聞)


 臨界事故とは何か?

 臨界事故とは、「核分裂性物質が予期しない原因によって制御不能のまま臨界量を超えて、いわゆる臨界超過の状態になって事故を起こすこと」である。


臨界・超臨界超過とは?

 核分裂において、ある時点で発生する中性子と引き続く世代の中性子の割合がちょうど1:1、つまり核分裂による中性子の誕生数が中性子の消失数に等しい状態を臨界であるといい、この割合が1より大きければ臨界超過という。臨界超過では、中性子数が時間とともに増加、すなわち中性子連鎖反応が発散する状態となる。


 臨界事故における被ばく

 臨界事故による被ばくは、原子炉あるいは臨界集合体(CA)の建設時、あるいは定期点検時等に原子炉の炉心燃料体を組立(装荷)する作業において、誤って臨界近接が生じることにより発生する。< /p>

 また、再処理施設を含む核燃料施設では、通常は臨界状態を目的としていないので起こらないが、事故として臨界状態の発生はあり得る。


 被ばくの人体に及ぼす影響

 臨界事故による被ばくは、外部被ばくであるが、γ線と中性子線の被ばくが組合わさっている点にその特徴があり、大線量被ばく事故となる場合が多い。

被ばく事故に遭遇した場合の放射線障害は急性障害である。中枢神経系障害、胃腸管障害が生じる程の大線量を被ばくした場合の治療方法はなく、1−2時間から1−2週間で死亡する。被ばく線量が比較的少なく、骨髄障害のみの場合にも、緊急医療として、骨髄移植等の措置を含めた集中治療によって生存できる場合がある。


 制御棒とは何か?

 原子炉の出力制御のためには原子炉内の中性子数を調整して反応度を制御することが必要である。
 停止状態の原子炉には中性子を吸収する制御材(ホウ素)でできている制御棒が差しこまれており、核分裂反応に伴なう中性子を吸収して臨界状態にならない様にしている。
 原子炉の起動時、制御棒を徐々に引きぬく事で炉内の中性子数を増加させ、臨界から定格出力になるまで反応を上げてゆく。緊急時には全て挿入され、原子炉を停止(原子炉スクラム)させる。 


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