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スギの花粉が終わったというのに、私のように春先まだ鼻がムズムズしたり、目がかゆくなっている人はいないだろうか?

そういう人は黄砂アレルギーを疑った方がよいかも知れない。中国は国土の18%が砂漠であり、年々砂漠は広がっている。それに伴い日本に黄砂の降る量が年々増えている。

黄砂は中国・モンゴル地区の砂嵐で舞い上がった砂が、偏西風に乗って飛来する。日本では2月から5月に特に多く見られる。

最近黄砂が化学物質を吸着し、アレルギーのもとになるという報告も聞かれる。アレルギーというと、抗原・抗体反応であり、本来、不要なタンパク質が体内に侵入したときに起こるはずである。

砂であり、無機物である黄砂が、どうして抗原になるのだろうか?

調べてみると金属やケイ素などの無機物でも体内に侵入したときにタンパク質と結びついて抗原になるしくみらしい。こういう物質をハプテンという。

今日は「黄砂」と「黄砂の影響」について調べる。(参考HP Wikipedia)


関連するニュース
黄砂、花粉症悪化の原因にも?


中国大陸から飛来する黄砂が、花粉症を悪化させる原因となっている可能性が出てきた。春になるとやってくる「嫌われ者」の黄砂に、また一つやっかいな面が浮かび上がった。

大分県立看護科学大の市瀬孝道教授(生体反応学)らは、アレルギー抗原として、卵のたんぱく質0.1ミリグラムと、その抗原に中国の黄砂発生地などで集めた砂ぼこり50〜100マイクログラムを混ぜたものを、モルモットの鼻に垂らした。1週間ごとに約1カ月、この実験を続けると、砂を混ぜた方が鼻づまりや鼻汁が増え、炎症を起こす好酸球が鼻の組織で増えていた。

アレルギー悪化の仕組みは完全には判明していないが、黄砂に含まれる二酸化ケイ素が炎症を起こすほか、黄砂にくっついた細菌やカビなどの毒素が影響する可能性もあるという。

韓国の研究では、黄砂の時期に目や呼吸器の疾患が増えることも確認されている。  (朝日新聞 2006年5月8日)

中国:30省で砂漠化 国土全体の18% 国家林業局発表

中国30省・自治区で砂漠化した地区が889カ所あり、国土全体の18%を占めることが中国国家林業局の発表でわかった。日本や朝鮮半島に大量の黄砂をもたらす中国の砂漠化は中国国内で約4億人の生活に影響を及ぼしているという。

日本なども協力し、国を挙げた植林活動が展開されているが、砂漠化は止まらず、90年代には年平均3436平方キロずつ砂漠が拡大。最近では年平均1283平方キロに縮小しているが、依然、深刻な状態が続いている。(毎日新聞 2007年4月9日)

 
黄砂とは何か?


黄砂(こうさ)とは中国大陸砂漠が砂嵐によって上空に巻き上げられ、偏西風に乗って飛来し、地上に降り注ぐ現象のことである。日本では2月から5月に特に多く見られる。エアロゾルの一種とされる。

黄砂の成分

粒子の種類によって度合いは異なるものの、黄砂は空気中のさまざまな粒子を吸着するため、その成分は発生する地域と通過する地域により異なると考えられている。工業地域を通過した黄砂は一酸化炭素を含んでいたという調査結果もある。

2001年に中国で行われた黄砂の成分分析では、シリコンが24〜32%、アルミニウムが5.9〜7.4%、カルシウムが6.2〜12%であったほか、微量の鉄などが検出された。

黄砂の粒の大きさは0.5µm(マイクロメートル)〜5µm(=0.0005mm〜0.005mm)くらいで、タバコの煙の粒子の直径 (0.2〜0.5µm) よりやや大きく、人間の赤血球の直径 (6〜8µm) よりやや小さいくらい。

中国で観測されるものは粒の大きいものが多く、日本で観測されるものは粒の小さいものが多い。韓国では、黄砂の中から硫酸塩などの化学物質や、病原菌なども検出されている。

黄砂によってどんなことが起きるか?


1.車や建物に降り注ぐ為の物理的被害
2.黄砂が降り注ぐために、農作物への被害や洗濯物を汚すなどの被害
3.農作物等のビニールハウスに黄砂が積もり、遮光障害を起こす等の被害
4.視界が悪くなるために航空機の飛行に障害を及ぼす
5.黄砂に大気汚染物質が吸着されて運ばれる被害
6.大気を覆うことによる気象観測を妨害する被害
7.黄砂は炭酸カルシウムを多く含むので、酸性雨を中和したり酸と塩基|アルカリ性化する
8.大気中にとどまり太陽放射を遮ることによる寒冷化
9.氷雪や氷河上に落下し、太陽光線を吸収することによる温暖化
10.呼吸器|呼吸器官への被害(咳、痰、喘鳴、ただれ、鼻水、痒み)
11.黄砂による土壌や海洋へのミネラル供給
12.海洋へのミネラル供給によるプランクトン発生量の増加(間接的なもの)
13.地上波放送などの電波が乱反射し、受信障害や異常伝播を引き起こす

黄砂が気候にもたらす影響は、上記のとおり寒冷化と温暖化の2種類があるが、砂粒の大きさ、高度(上下方向の分布)、散乱率、吸収率などによって複雑に変化するため、結果的にどう作用するかは現在はっきりと分かっていない。

黄砂がなぜアレルギーの原因になるのか?


分子量が小さいために新たにそれに対する抗体を作ることはないとされているが、既存の抗体と反応する物質がある。こうした物質をハプテンと呼ぶ。不完全抗原・部分抗原ともいう。

アレルギー発症にかかわるメカニズムとしては、タンパク質と結びつくことが考えられており、こうした働きをするタンパク質をキャリアと呼ぶ。一部の金属アレルギーにおいて、その金属とタンパク質とが結び付くことによってアレルゲンとなり、アレルギーを発症するメカニズムが考えられている。

 

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