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国連のIPCCとは、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)」のことだが、実際には多くの科学者が参加し、温暖化に関する最新のデータを分析する。そして、政策立案者への助言することを目的としている。政策の提案は行わない。

第3次報告書では増えると予想された海のCO2吸収量は、第4次報告書によると、逆に温暖化とともに低下すると予想されている。

通常空気中のCO2濃度が上昇すれば、海が吸収するCO2量も増加するはずであるがなぜだろうか?

「温暖化により表層域と深層域との水温差が広がり海水が混ざりにくくなり、深層域からの栄養分の供給が減ると、光合成のためにCO2を取り込む表層域の植物プランクトンが減少する。」というのがその理由だ。

実際に海はCO2をどのくらい吸収しているのか?海のCO2吸収量には何が影響するか?様々な方法で調査されている。

今日は海とCO2吸収の関係について調べる。

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◇IPCC予測「増加割合、低下へ」−−植物プランクトンで観測も

地球表面の7割を占める海は、毎年約20億トンの二酸化炭素(CO2)を吸収
している。これは、全世界の1年間の化石燃料燃焼によるCO2排出量の約3分の1海のCO2吸収量が今後どう推移するのかを探ることは、気候変動予測や温暖化対策に役立つため、国内でも船舶による観測やブイを使った自動観測装置などの研究が進んでいる。

◇大気の60倍含有

海は大気中の約60倍のCO2を海水中にとけ込ませており、一部は植物プランクトンの光合成に利用されている。大気中のCO2濃度(379ppm)より海洋の濃度が低くなると海洋はCO2を吸収、大気中より高くなると放出する。

CO2の排出が増えて大気中の濃度が増加すれば、理論的には海洋の吸収量も増えるが、東京大海洋研究所の植松光夫教授は「温暖化で海洋表面の水温が上昇すると、表層域と深層域との水温差が広がり海水が混ざりにくくなる。深層域からの栄養分の供給が減るので、光合成のためにCO2を取り込む表層域の植物プランクトンも減少し、CO2吸収量が減ることもある」と説明する。

国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が01年に出した第3次報告は、海洋によるCO2吸収量は21世紀中に40億〜60億トンに増えると予測した。

一方、今年2月の第4次報告では、地球温暖化によって、人為的な排出量に対する陸と海洋のCO2吸収比率が下がり、大気の残留比率が増えるとの見解が示された。吸収量は現在のペースでは増えないとしている。

国立環境研究所地球環境研究センターの野尻幸宏副センター長は「今後、CO2の吸収量がどうなるのかを探るには、より詳細な観測データが必要だ」と話す。

◇貨物船に観測器

特定の観測船を使う長期観測は予算面などで限界がある。同研究所は定期貨物船に機器を取り付けて、海洋表面のCO2観測を95年から続けている。表面のCO2濃度がわかれば、モデルにあてはめることで、その海域のCO2吸収量を導き出せるからだ。

現在も日本の船会社の協力を得て、北米と豪州の2航路で観測中。こうした取り組みは欧米にも広がり始め、北半球のデータは集まりつつあるが、南半球は乏しいのが現状という。

◇自動採水の成果

海洋研究開発機構むつ研究所(青森県むつ市)はCO2の吸収量が多いことで知られるカムチャツカ半島南方沖800キロの北太平洋海域(水深5200メートル)で、05年3月から1年以上連続して海水を自動採取することに成功した。研究グループの本多牧生サブリーダーは「一度設置すれば、1年後にサンプルを回収するまで放っておいても観測可能なのがメリット」と説明する。

観測装置は全長約5000メートル以上もあるワイヤロープの先端にブイが付いたもので、装置を海底に係留すると表層でブイが浮く仕組みだ。自動採水装置は水深40メートルに、植物プランクトンの殻などを集める装置は水深150メートルに取り付けられた。

同グループの研究は、海のCO2濃度を直接観測するわけではないが、CO2の吸収に大きな役割を果たしている植物プランクトンを通じて、CO2が海中で循環する過程を解明しようという狙いだ。海洋のCO2吸収量は風や水温などの影響を受けるため、海域や季節によって異なるが、一般的に海の表面に栄養分が多い海域では、植物プランクトンによる光合成が活発なため、吸収量が多い。

本多さんは「植物プランクトンが増殖した7月には、増殖後に死んだプランクトンの死骸(しがい)として有機炭素が速やかに深海部に運ばれたことが、1年間の観測で分かった。海外の研究機関と協力しさまざまな海域で観測を進め、地球温暖化研究にも役立てたい」と話す。(毎日新聞 2007年5月9日)


一番CO2を吸収するのは?


CO2を吸収しているのは陸上の植物だけではありません。海水には、なんと約40兆トンのCO2が溶け込んでいます。これは大気中に存在するCO2の約60倍に相当します。陸上の植物もCO2を吸収していますが、海の吸収力に比べれば微々たるものです。

海水がこれだけ多くのCO2を吸収していられる理由のひとつに、植物プランクトンが行う光合成が挙げられます。またもう一つの理由として、貝やサンゴなどが石灰質の殻を作り、CO2を固定しているということが挙げられます

鉄粉をまくと、海のCO2吸収量増加?


微量の鉄分を散布することで海のCO2の吸収量を増大させることに、独立行政法人の水産総合研究センターなどが成功した。増加した植物プランクトンがCO2を吸収する「生物ポンプ」の作用で、地球温暖化の原因とされるCO2を吸収する新しい方法として注目される。

海の表層を浮遊する植物プランクトンは、植物と同じように光合成を行い、その際CO2を吸収する。植物プランクトンが増えれば大気から海に溶け込むCO2の量も増加する。 ただ、光合成を行うには欠かせない鉄分が少ない海域は多く、実験海域でも、窒素やリンを含んだ栄養塩が豊富なのに植物プランクトンが少なく、微量栄養素である鉄分が不足しているとみられている。(2002年7月29日 読売新聞)

サンゴの果たす大きな役割


地球環境の中で、海がはたしている役割は非常に大きく、その中で最も大きな役割のひとつがCO2を吸収することです。そして、このCO2の吸収に大きな役割をはたしているのがサンゴ礁です。

海水には38兆tのCO2が溶け込んでおり、これは大気中に含まれるCO2の約52倍の量に値するもので、年間およそ60億tのCO2が放出され、このうち約半分の30億tが海水中に吸収されています。

サンゴの体内には、褐虫藻と呼ばれる単細胞の藻類が共生していて、サンゴが排出したCO2を吸収し光合成を行っています。サンゴは、その褐虫藻が作り出した有機物の一部を栄養分として取り込み、石灰質の骨格を形成するのに利用しています。つまり、サンゴと褐虫藻が一体となりCO2を吸収していると言うわけです。

サンゴの白化現象

ところが、最近全世界の海でサンゴ礁の生態系がくずれはじめています。特に問題となっているのは海水温度が上昇していることで、夏場の海面温度がおよそ30℃を超えるとサンゴのポリプはその組織内に共生する藻類を追い出します。

その結果、サンゴが白く透けてしまう現象「白化現象」が起こりはじめています。サンゴが死滅したらCO2が吸収されなくなり、地球の温暖化はますます進むと考えられます。

海水のCO2吸収量の調べる方法は?


1.調査船やブイによる新型平衡器による観測

海洋のCO2吸収を定量化する方法の一つとして,大気と海洋のCO2交換を測定する方法を行っています。世界各国で主に調査船を用いたCO2分圧の測定が行われています。

2.定期貨物船による観測

地球環境モニタリングの一環として1995年3月より定期貨物船による大気/海洋間CO2交換収支の観測をしています。

3.生物化学過程の解析

CO2吸収量の変動は季節,風とともにプランクトンなど生物生産による影響もあります。これについてはプランクトンの栄養となる栄養塩(硝酸塩)から解析できます

4.CO2の同位体測定および酸素濃度測定による炭素循環の解明

CO2の炭素同位体比を用いてCO2の動態解明研究が行われてきました。これに加えて大気中の酸素濃度の変動からCO2収支を解こうとする試みがあります。

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