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日本の土は酸性土といわれている。近年の酸性雨の影響もあり酸性が強くなっている。そのため、農作物を育てるときは石灰を畑にまいて、土壌を中和する。私たちの食卓にとどく野菜は手間暇かけられて育てられる。

それに対して、雑草はどうだろうか。元気なものである。酸性土?酸性雨?まったく関係ないようにどこにでも育ち、いつでも顔を出す。酸性に強い性質がある。

長年不思議に思った人も多いのではないだろうか。野菜と雑草、同じ植物でも何でこんなに違うのだろうか?
理化学研究所と岐阜大学小山博之教授らのグループが、ある植物について調べたところ、酸性に強いものは酸性に強い遺伝子「STOP1」があることが発見された。将来、この遺伝子を組み込んで「酸性土壌でも育つ作物の開発」が期待される。

上の資料は「理研バイオリソースセンター 実験植物開発室 井内聖専任研究員」よりお借りしました。

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耐性遺伝子:酸性土壌に強い植物開発に道 岐阜大など特定


岐阜大応用生物科学部の小山博之教授(44)と独立行政法人・理化学研究所の研究グループが、酸性土壌でも植物の生育を可能にしている遺伝子を特定した。

同グループによると、植物の酸耐性にかかわる遺伝子の特定は世界初という。酸性土壌は世界の農耕地の約30%を占めるといわれ、この遺伝子の解明を進めることにより、酸性土壌でも良好に生育する植物の開発につながる可能性がある。

米国科学アカデミー紀要「PNAS」の6月5日号の電子版に掲載される。  

この遺伝子「STOP1」は、pH4.3の酸性の寒天培地でも根を伸ばす実験用植物シロイヌナズナ(アブラナ科)から見つかった。

遺伝子を無作為に傷付けたシロイヌナズナの複数の種をpH4.3の寒天培地に植えたところ、一部の種は根が全く伸びなかった。

根が伸びなかった種の遺伝子と正常なシロイヌナズナの遺伝子を比較し、異常がある遺伝子を特定。正常な遺伝子と置き換えたところ、根が伸びるようになったため、この遺伝子「STOP1」が酸耐性の獲得に関与していることが分かった。  

ブラジルや南アフリカなど熱帯・亜熱帯地域をを中心に現在、世界の農耕地の約30%の土壌は酸性といわれる。酸性土壌で植物を育てるには、大量の石灰を混ぜ込むなどの土壌改良が必要。

同グループの研究で、トウモロコシやイネも「STOP1」と同種の遺伝子を持っていることが判明しており、「STOP1」の解明により酸性に強い植物を作り出すことが期待できるという。(毎日新聞 2007年5月29日)

世界の土壌


地球上には砂漠や険しい山岳地帯、北極圏や南極圏など、作物の生育に適さない土地があり、農林業に利用することができる耕作地は、全陸地の約50%とされています。

さらに、塩類土壌や砂漠土壌、泥炭土壌など耕作に適さないやせた土地もたくさんあります。酸性土壌もその一つで、農業可能な土壌の約30%を占めています。 

日本の土壌


世界的に見れば、土壌侵食や塩類集積、砂漠化により、多くの農耕地が失われています。これは、降雨量の少ないアルカリ土壌で起こりやすい現象ですが、日本は年間1500mm程度の降雨がある温暖な気候に恵まれているため、土壌のアルカリ化は認められません。むしろ、降雨によって塩類が失われ、土壌が酸性化する現象が認められています。

土壌には、その場で岩石が風化してできたものや、火山灰土のように風で運ばれたもの、河の流れで集積した沖積土など様々な物があります。火山灰土の多くは畑で、沖積土壌の多くは水田として利用されているなど、土壌の種類と土地利用は密接な関係があります。

畑利用されている火山灰土壌は、酸性化しやすく、リン酸が少ないなどの問題はありますが、リン酸資材や石灰資材を施用することで容易に改良できます。日本の火山灰土は塩基成分の多い玄武岩から構成されている物が多く、世界的に見れば優れた火山灰土に入ります。

また、黒い火山灰土が多く見られますが、これは腐植が集積してできた火山灰土で黒ボク土と呼ばれています。このように腐植が多い肥沃な火山灰土は世界的にも稀な物です。

日本では古くから水田が作られていましたが、水田は半年間は水に覆われているため、土壌侵食は起こらず、土壌の酸性化や連作障害が起きない優れた農耕地となっています。さらに、稲は灌漑水から養分を得るため、灌漑水の浄化にも役立ち、環境を守る機能もあります。

このように、日本の土壌は世界的にも恵まれた土壌ですが、農作物を作らないと土地は荒れてしまいます。適切な施肥と管理により、農作物を栽培することが、恵まれた日本の農耕地を守ることになります。

酸性土壌の問題点


酸性土壌は、温度条件や雨水に含まれる水素イオンHなどの影響でさらに酸性化が進み、毒性を持つアルミニウムイオンの溶出などが起こり、作物の生育に悪影響を与えます。

これを防ぐためには中和剤を使った土壌改良が欠かせませんが、膨大な資金が必要であるため、 「酸性土壌でも育つ作物の開発」が世界中で期待されています。

酸性に強い遺伝子の発見


植物実験でよく使われるシロイヌナズナ(アブラナ科)。酸性の強い培地(pH4.3)で育ててみると根を伸ばすものが見つかった。

この遺伝子を傷付けたシロイヌナズナの種をpH4.3の寒天培地に植えたところ、一部の種は根が全く伸びなかった。

根が伸びなかった種の遺伝子と正常なシロイヌナズナの遺伝子を比較し、異常がある遺伝子を特定

正常な遺伝子と置き換えたところ、根が伸びるようになったため、この遺伝子「STOP1」が酸耐性の獲得に関与していることが分かった。

このような遺伝子はコメやトウモロコシにも確認されており、将来酸性に強い作物の開発が期待されている。  

松印 粒の消石灰 1kg

松印

酸性土壌を改良するための石灰
松印 粒状苦土石灰 1kg

松印

酸性土のアルミニウムイオンを溶出による
作物の生育阻害を防ぐ
 

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