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ロボット研究が進んでいる。プログラムを組めば自由に体を動かすことができるロボットが登場している。ロボットはどこまで人に近づけるのだろうか?将来はきっと人そっくりの姿とふるまいをするアンドロイドも現れるのだろう。

生命はどうだろうか?今まで人は新しい生物というものをつくったことがない。しかしヒトゲノムが完全解読でき、次々と様々な生物のゲノムが解読されている今、人が将来ゲノムを自由に組み合わせ、思い通りの生物をつくることができるようになるかもしれない。

今までは聖書の中で神がつくったとされる生物。人類は神の領域に近づいたのだろうか?そんなことを感じさせる「ゲノム移植」がアメリカで成功した。

アメリカでヒトゲノム完全解読計画を進めたクレイグ・ベンター博士の研究所で、細菌の全遺伝情報(ゲノム)を別の種類の細菌のゲノムとそっくり入れ替えることに、成功した。

有用物質を作る遺伝子などを持つゲノムを合成し、それを組み込んだ役立つ「人工生命」を作る技術に道を開く可能性があるという。

その方法は青色に変わる目印の遺伝子を組み込んだ細菌を近縁種の細菌の近くにおいておくと、近縁種の細菌が青色になる細菌の遺伝子とそっくり入れ替わったという。細菌は基本的に分裂し、無性生殖で殖える生物だと考えられてきたが、場合によっては交雑することがあるのだろうか。

米チームはこれを「ゲノム移植」と名付けた。今日はこれまでの遺伝子組み換え技術について調べる。

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細菌の全遺伝情報(ゲノム)を別の種類の細菌のゲノムとそっくり入れ替えることに、米研究チームが成功した。

有用物質を作る遺伝子などを持つゲノムを合成し、それを組み込んだ役立つ「人工生命」を作る技術に道を開く可能性があるという。28日付の米科学誌サイエンス電子版に論文が掲載される。

ゲノムの入れ替えに成功したのは、ヒトゲノム解読の先駆者であるクレイグ・ベンター博士が代表を務める研究所のチーム。

チームは細菌の一種のゲノムに、細胞を青色に変える遺伝子などを「目印」として組み込んだ上で取り出し、近縁種の培養容器に入れた。

すると、数日後に青色を示す細菌が増殖。調べたところ、近縁種のゲノムが、細胞を青色に変える遺伝子などを入れた細菌のゲノムと、そっくり入れ替わったものが生まれていた。まず両方のゲノムを持つ細菌ができ、これが分裂した際、ゲノムを1組ずつ持ち運んだらしい。

この現象は「ゲノム移植」と名付けられた。ただ、ゲノムが入れ替わった仕組みや理由はわかっておらず、他の細菌で同じ現象が起こるかどうかも不明だという。

今回の研究には「人工生命創造への欠かせないステップ」との評価もあり、ベンター博士は「将来、極めて大きな応用が期待できる」と会見で成果の意義を強調した。 (asahi.com 2007年06月29日)
 

遺伝子組換え(遺伝子工学)とは何か?


遺伝子工学(いでんしこうがく)とは、遺伝子を人工的に操作する技術を指し、特に生物の自然な生育・増殖過程では起こらない型式で行うことを意味している。組換えDNA技術(くみかえ-ぎじゅつ)、遺伝子操作(いでんしそうさ)、遺伝子組換えなどの用語ももほぼ同じ意味で用いられる。

DNAを分離し、操作し、細胞もしくは生物に再導入して、そのDNAが増殖できるようにする過程からなる。有用なタンパク質を発現させることや、生物に新たな形質を導入することなどを目的とする。細胞融合やクローン技術などとともに、バイオテクノロジーと総称される。

なお、生物で自然に起こる過程としてのDNAの組換えについては、遺伝的組換えという。

遺伝子組換えの例


一部の例を挙げれば、細菌や培養細胞によるホルモン(インスリンやエリスロポエチンなど)の生産、除草剤耐性などの性質を与えた遺伝子組換え作物、遺伝子操作を施した研究用マウス(トランスジェニックマウス)、また人間を対象とした遺伝子治療の試みなどがある。このような遺伝子操作産物を目的とする応用のほかに、生物学・医学研究の一環(実験技術)としての遺伝子操作も盛んに行われている。

タンパク質はDNA上の特別な配列である遺伝子によって決定されるから、遺伝子DNAの操作によってタンパク質に変更を加えることができる。その一つの方法として、遺伝子を含むDNA断片を分離し、遺伝子を切り出して、他のDNAの部分に導入するものがある。

1970年代初頭までに、DNAを特定の位置で切断する制限酵素、DNA断片をつなぎ合わせるDNAリガーゼ、DNAを細胞に導入する形質転換の技術が開発され、これらが組換えDNA技術の基礎となった。さらに1980年代にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって目的とする遺伝子の複製が容易に行えるようになり、遺伝子工学はますます利用範囲を広げた。


遺伝的組換えとは何か?


遺伝的組換え(いでんてきくみかえ)は、親の持っていた複数の遺伝子における対立遺伝子の組み合わせ(ハプロタイプ)が、子においては混ぜ合わされて変化している遺伝学的な現象である。

染色体レベルの組換え

広い意味では、独立した染色体の間のランダムな混ぜ合わせ(メンデルの独立の法則に従う;インフルエンザウイルスの"組換え"も同じ)も組換えという。しかし、普通は染色体内での乗換えの結果生じるものを指していう。乗換えと同義語のように使うこともあるが、正確には乗換えとは染色体の変化として直接観察される現象をいう。

DNAレベルの組換え

分子生物学では、連続したDNA分子の中のある部分が切断と再結合により他のDNA分子の一部と混ぜ合わされることを組換えという。上記の染色体内での組換えはこのDNAの組換えによるものであるが、DNAの組換えには、他にもいろいろなタイプがある。

なお分子生物学あるいはバイオテクノロジーの基礎技術である人工的なDNA組換え(遺伝子組換えあるいは遺伝子工学)も組換えと呼ばれるが、仕組みは異なる。

相同組換え

染色体の組換えは普通、相同性のあるDNAの間で行われる。これを相同組換えという。

減数分裂の過程で染色体の乗換えに伴うのが普通であるが、体細胞分裂での乗換えに伴うものもある。

相同組換えであっても、染色体の別の位置(染色体レベルでは相同でない)の間で組換えが起これば、座位の数が変化する。その範囲に遺伝子が含まれていれば、遺伝子の重複または欠失につながる。これを不等組換えといい、不等乗換えに当たる。

これらの相同性があるDNA配列の間での組換え反応(相同組換え)を触媒するのは、組換え酵素(リコンビナーゼ)と呼ばれる酵素であり、この反応は損傷したDNA分子の修復にも必要である。

いろいろな遺伝子組換え


部位特異的組換え

バクテリオファージ(ファージ)による部位特異的組換えでは、ファージのDNAが乗換えと似た方法で、宿主である細菌の染色体DNAに組み込まれる。ファージDNAの部分配列が標的DNAのそれと完全に一致すると、インテグラーゼと呼ばれる特殊な組換え酵素がファージDNAを標的に組み込む。このようにファージDNAが染色体に組み込まれた状態をプロファージという。

非相同組換え

以上と異なり、相同性のないDNA配列の間での組換え(非相同組換え)もある。プロファージDNAが染色体から抜け出す(切り出されて新しいファージを作る)際にこれが起きることがあり、この場合には宿主の遺伝子を含んだファージ(形質導入ファージ)ができる。

転位組換え

これは、トランスポゾンの転位(トランスポジション、染色体の別の座位に移動すること)に伴う組換えである。部位特異的組換えではあるが、非相同組換えである。すなわちトランスポゾンのDNAに標的DNAと合う配列が必要ない。代わりにインテグラーゼが両方のDNAに切れ目を入れ、トランスポゾンDNAを標的に入れる。その後切れ目はDNAリガーゼにより修復される。

レトロウイルスがこのような過程で宿主の遺伝子を取り込むことがあり、がん遺伝子はこの現象によって発見された。

体細胞における組換え

体細胞では、染色体の乗換えに伴う組換えとして、無性生殖する生物におけるものがある。

またDNA損傷が完全に修復されないまま細胞分裂を経た場合に起きる姉妹染色分体交換(Sister chromatid exchange:SCE)なども知られる。
 

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