科学大好き!アイラブサイエンス!このブログでは、最新科学の?をなるべくわかりやすくコメントします。
私の好きな分野はライフサイエンスであるが、生物はただのタンパク質や、カルシウムなどの物質の集まりとはいえないところがあっておもしろい。

なぜすべての生物がDNAという共通の物質を持っているのだろうか?なぜこんなにも多様な生物がいるのだろうか?なぜすべての生物に命があるのだろうか?

私たちにはこの単純な質問に誰一人答えられない。



そして人は一番偉そうにしているが、食べ物のほとんどは他の生物であり、いろいろな生物の助けを借りなければ生きていけない。人だけでなく、すべての生物が互いに関係しあって生きている。

そんなあたり前のことを忘れた現代、環境破壊や環境汚染、地球温暖化の問題が起きてしまった。

そして、私たちは今、ようやく気づこうとしている。この世界は互いに支えあって成立している。生きるということは、環境から奪うことだけではなく、何か環境に与えていくことを考える必要があるのだ。

今日も生物の不思議にせまりたい。きっとどんな生物もいろいろな環境の中で何かの役割があるに違いない。

最近おもしろい微生物が続々と発見されている。以前、深海の熱水噴出口で炭化水素や硫化水素を利用している微生物がいることを話題にしたが、その中にピロリ菌と同じ仲間が発見されたという。

胃の中にいるピロリ菌と深海の微生物が同じ仲間とは意外である。今日はピロリ菌について調べる。(参考HP Wikipedia)

関連するニュース
胃炎を起こすピロリ菌の祖先は、深海の微生物?


胃炎を起こすピロリ菌の祖先は、深海にすむ微生物だった――。海洋研究開発機構の中川聡研究員が深海にすむ微生物のゲノムを解読し、こんな結果を得た。今週の米国科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。

中川さんは有人潜水艇しんかい2000で、水深千メートルの熱水孔から微生物を300株採取。水素ガスや硫化水素の濃度など、深海の環境を再現して培養することにも成功し、2株のゲノムが256万塩基対と187万塩基対であることを解読した。さらに詳しく分析すると、この微生物は、ピロリ菌や食中毒を起こすカンピロバクターの祖先であり、遺伝子レベルでは近縁と分かった。

この微生物に病原性はないが、感染を含む、他の生物との共生関係にかかわっている遺伝子群も共通していた。

中川さんは「人間に身近な病原体と深海底の微生物が似ていたのは予想外。病原体や微生物が大型生物と共生するまで、どう進化してきたのかを探る大きな手がかりだ」と話している。 ( asahi.com 2007年07月03日 )

ピロリ菌とは?


ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)はヒトなどの胃に生息するらせん型の細菌である。ピロリ菌とも呼ばれることがある。

1983年 オーストラリアのロビン・ウォレン(J. Robin Warren)とバリー・マーシャル(Barry J. Marshall)により発見された。

胃の内部は胃液に含まれる塩酸によって強酸性であるため、従来は細菌が生息できない環境だと考えられていたが、ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼと呼ばれる酵素を産生しており、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する。このとき生じたアンモニアで、局所的に胃酸を中和することによって胃へ定着(感染)している。この菌の発見により動物の胃に適応して生息する細菌が存在することが明らかにされた。

ヘリコバクター・ピロリの感染は、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のみならず、胃癌やMALTリンパ腫などの発生につながることが報告されている。細菌の中でヒト悪性腫瘍の原因となりうることが明らかになっている唯一の病原体である。

ピロリ菌の歴史


1875年、ドイツの研究者がヒトの胃に存在しているらせん状の細菌を発見し顕微鏡で観察したのがヘリコバクターの最初の報告であると言われているが、詳細な記録は残っていない。

1892年に、イタリアの研究者Giulio Bizzozeroがイヌの胃内の酸性環境で生息する細菌について著したものがある。

1899年、ポーランドの研究者Walery Jaworskiがヒトの胃からグラム陰性桿菌とともにらせん菌を見いだし、彼はこの菌をVibrio rugulaと名付け、胃疾患との関連について、ポーランド語で書かれた著書の中で提唱した。

1906年、Krienitzらが胃癌患者の胃粘膜にらせん菌がいることを発見。

1920年にはLuckらが胃粘膜に(ヘリコバクター・ピロリに由来する)ウレアーゼの酵素活性があることを発見。

1940年には、FreedbergとBarronが胃の切除標本の約3分の1にらせん菌が存在することを、相次いで報告し、「胃の中の細菌」の存在と胃疾患との関連に対する医学研究者らの関心が興味が徐々に高まっていった。

1954年、アメリカの病理学者で消化器病学の大家であった、エディ・パルマー(Eddy D Palmer)が、1000を超える胃の生検標本について検討した結果、らせん菌が発見できなかったと報告し、Freedbergらの報告は誤りであると主張した。

この報告によって、それまで報告されてきたらせん菌は、一種の雑菌混入(コンタミネーション)によるものだったのではないかという考えが主流になり、一部の医学研究者を除いて、「胃の中の細菌」に対する研究者の関心は薄れていった。

1983年、オーストラリアのロビン・ウォレンバリー・マーシャルがヒトの胃から、らせん状の菌を培養することに成功した。この発見には、Skirrowらが1977年に確立したカンピロバクターの微好気培養技術が基盤となっている。

カンピロバクターは感染性の下痢の原因となるらせん菌であり、微好気性(低濃度の酸素と、二酸化炭素を必要とする)かつ栄養要求性の厳しい細菌の一種であるため、特殊な培地と培養法が必要である。マーシャルらはその培養法を応用して、慢性活動性胃炎の患者の胃内、幽門付近かららせん菌を分離することに成功した。

1987年この菌はカンピロバクターの一種、Campylobacter pyloridis からCamplylobacter pyloriに改名された。

1989年この菌は微少構造の違いからカンピロバクターとは別のグループとして、新たにヘリコバクター属が設けられ、Helicobacter pylori(helico-; らせん状の)に名称変更された。ヒト以外にもフェレットサルネコチーターなどの動物の胃からも同様の菌が分離されてヘリコバクター属に分類された。

1997年にはゲノム解読が完了した。

2005年には、ヘリコバクター・ピロリの発見の功績によって、ロビン・ウォレンとバリー・マーシャルに対してノーベル生理学・医学賞が授与された。

ピロリ菌に効く食品


近年、食品によるヘリコバクター・ピロリの除菌効果が確認されている。 発芽3日目のブロッコリースプラウトを2ヶ月間継続して食べた感染者において、胃の中に住むヘリコバクターピロリが減少したとの報告がされている。これは、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンに殺菌効果があるためである。

また、に含まれるシリンガレシノールという梅リグナンの一種もピロリ菌の増殖抑制や胃粘膜への感染防御に有効であることが発見された。

このほか、ココアヨーグルトコーヒーなどでも抑制が確認されている。  

 

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