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欧米では赤ん坊や幸福を運ぶ鳥として親しまれている「コウノトリ」。昔からアニメにも登場したおなじみの鳥であるが、現在数が減少、絶滅危惧種になっている。

高い屋根や塔の上に巣を作り、雌雄共同で抱卵、子育てをする。このことから欧米には「赤ん坊はコウノトリがくちばしに下げて運んでくる」または、「コウノトリが住み着く家には幸福が訪れる」といういい伝えがある。

ツルやサギとも姿が似ていて間違えられることもあるそうだが、ツルとは模様や色が違い、サギよりもひとまわり大きい。



現在は東アジアに推定2,000〜3,000羽しか確認されず。絶滅危惧種CR(ごく近い将来に野生絶滅の危険性が極めて高い)に指定されている。渡りのときには日本を通過することもある。

日本国内に留鳥としても存在したが1956年には20羽にまで減少。同年に国の特別天然記念物に指定された。1986年2月28日最後の一羽が死亡、国内絶滅種になった

その後、動物園などで人工飼育、人工繁殖に成功し、兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)では、2005年から野生復帰計画が開始していた。2007年7月31日、国内の自然界で43年ぶりに誕生した幼鳥が人工巣塔から巣立ちし、飛び立った。

この計画では絶滅の原因になったとされる「農薬」を使わない、「無農薬栽培」を周辺の農民が協力。地域ぐるみで野生絶滅種をよみがえらせる「世界初の成功例」になった。

「環境の悪化」が多く伝えられる中で、「環境が改善した」うれしいニュースになった。これからも地域の住民が協力しあい、「希望」をもって環境を改善するための、よい「お手本」にしたい。次は「トキ」を目標にしたいものである。

今日は国の特別天然記念物、絶滅危惧種「コウノトリ」について調べる。(参考HP Wikipedia・兵庫県立コウノトリの郷公園)


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「コウノトリ」野生復帰さらに前進 「育む農法」地域も後押し


自然界に放たれたコウノトリが、初めてひなを巣立たせた。昨年、別のペアが産卵したが、卵が巣から落下してふ化せず、抱卵の壁を突破できなかった。今回は産卵から抱卵、さらに子育て-と徐々に高くなるハードルを乗り越えた格好だ。

「コウノトリ野生復帰推進計画」は、国内の絶滅種をかつての生息地に再び定着させることを目指す。人の生活圏で共存を図る試みは、世界的に例がない。その試みが、着実に前進した。今後、別のペアも繁殖に成功し、さまざまな血統の二世、三世が続くことが期待される。

巣立ちには、地元住民の協力も欠かせなかった。かつて野生のコウノトリが絶滅した原因の一つとして、農薬の多量使用が指摘されている。農薬や化学肥料に頼らず、環境と米作りの両立を目指す「コウノトリ育(はぐく)む農法」の導入は豊岡市を中心に広がり、本年度の栽培面積は約百七十ヘクタール。収穫物はブランド米として人気を集め、地域活性化にも役立っている。

野生復帰事業の現段階は、二〇〇五年度に始まった「試験放鳥」(約五年間)の三年目。一〇年度ごろを目指す「本格的野生復帰」に向け、自然界へ返すノウハウの研究や環境整備を進めている。野外での自立や餌場作りなど課題は残るが、今回の巣立ちが大きな弾みになるのは間違いない。

県立コウノトリの郷(さと)公園の池田啓研究部長は「本格的な野生復帰に向けた大きな成果。四十六年間、途絶えていた歴史に新たな記録が加わり始めた」と強調。「世界の生息数は二千-二千五百羽に減っており、絶滅が危惧(きぐ)される。日本の生息数を増やせば、ロシアの主な個体群を支えることにもつながる」と話した。
(神戸新聞 07/31)

コウノトリとは?
コウノトリ(鸛、Ciconia boyciana)は、コウノトリ目コウノトリ科に属する鳥の一種である。全長約110cm、翼開長は約200cmにもなる非常に大型の水鳥である。

羽色は白と黒、クチバシは黒。遠くから見るとツルと似るため、度々ツルと混同されることもあるが、現在の日本では道東の留鳥であるタンチョウと冬鳥として山口県や熊本県に渡来するマナヅル、ナベヅルの他に野生のツルを見ることは殆どない。

ツル・サギとの違い

コウノトリは首と胴体前半が白色で、脚は赤い。一方、ツルの3種のうち、タンチョウとナベヅルは頭部が赤く、脚が黒い。また、ナベヅルとマナヅルは胴体や羽の大部分が黒色から灰色であり、タンチョウは首が黒色のため、区別は容易である。

サギ似も姿は似ている。水辺に生息し、水棲動物を食べる大型の首の長い鳥という特徴は共通する。しかしコウノトリの大きさは、サギの最大種のアオサギと比べても明らかに大きい。

分布域は東アジアに限られる。また、総数も推定2,000〜3,000羽と少なく、絶滅の危機にある。中国東北部(満州)地域で繁殖し、中国南部で越冬する。渡りの途中に少数が日本を通過することもある。

ヨーロッパでは赤ん坊や幸福を運ぶ鳥として親しまれている。高い屋根や塔の上に巣を作り、雌雄共同で抱卵、子育てをする。このことから欧米には「赤ん坊はコウノトリがくちばしに下げて運んでくる」または、「コウノトリが住み着く家には幸福が訪れる」という言い伝えが広く伝えられている。

日本列島繁殖個体群の絶滅
日本列島にはかつて留鳥としてコウノトリが普通に棲息していたが、明治期以後の乱獲や巣を架ける木の伐採などにより棲息環境が悪化し、1956年には20羽にまで減少してしまった。そのため、コウノトリは同年に国の特別天然記念物に指定された。

ちなみにこのコウノトリの減少の原因には化学農薬の使用や減反政策がよく取り上げられるが、本邦で農薬の使用が一般的に行われるようになったのは1950年代以降、減反政策は1970年代以降の出来事であるため時間的にはどちらも主因と断定しにくく、複合的な原因により生活環境が失われたと考えられる。

その後、1962年に「特別天然記念物コウノトリ管理団体」の指定を受けた兵庫県は1965年5月14日に豊岡市で一つがいを捕獲し、「コウノトリ飼育場」(現在の「兵庫県立コウノトリの郷公園附属飼育施設コウノトリ保護増殖センター」)で人工飼育を開始。

また、同年には同県の県鳥に指定された。しかし、個体数は減り続け、1971年5月25日には豊岡市に残った国内最後の一羽である野生個体を保護するが、その後死亡。このため人工飼育以外のコウノトリは国内には皆無となり、さらには1986年2月28日に飼育していた最後の個体が死亡し、国内繁殖野生個体群は絶滅した。

しかし、これ以降も不定期に渡来する複数のコウノトリが観察され続けており、なかには平成14年に飛来して平成19年に死亡するまで、豊岡市にとどまり続けた「ハチゴロウ」のような例もある。

人工繁殖の成功


コウノトリの郷公園で人工繁殖され飼育されているコウノトリ達。公開ケージには給餌目当てにアオサギ、ダイサギ、チュウサギ、そして放鳥・野生コウノトリ達が集まってくることがある。

多摩動物公園では、中国から譲り受けて人工飼育を続けていた結果、1988年4月6日に国内初の人工繁殖に成功した。コウノトリ飼育場でも、この国内繁殖野生個体群の絶滅の約7ヶ月前である1985年7月27日に当時の旧ソ連から幼鳥6羽を貰い受けており、多摩動物公園の人工繁殖初成功の翌年5月16日に、人工繁殖に成功している。

これ以後、毎年の繁殖に成功している。また、大阪市天王寺動植物公園、豊橋総合動植物公園でも繁殖が成功し、国内飼育数を増やしている。

兵庫県では繁殖成功後の1992年4月22日には野生復帰計画が開始される。その後、コウノトリ飼育場では、近親交配を避けるため、何度か動物園やロシアからコウノトリをもらい受け、2002年5月5日には生育したものとあわせて飼育100羽を達成した。

再野生化の開始


野生化のため豊岡の空に放されたコウノトリ(J0362, 第一回放鳥)は、背中に追跡用発信機を付けている。

2005年現在では周辺地域にコウノトリの生息可能な環境が整備されつつあり、周辺の農民も農薬の散布を控え、無農薬栽培に切り替える等の協力をしている。

そして、2005年9月24日には世界初の放鳥(餌をとるなどの訓練をつんだ8羽の中から選ばれた、2〜7歳の雄2羽と雌3羽の計5羽)が行われ、34年ぶりにコウノトリが大空に羽ばたくこととなった。この放鳥式典には山階鳥類研究所総裁等を務める秋篠宮文仁親王・紀子夫妻も参加し、約3500人もの参加者とともに見送った。

放鳥にあたっては、飼育生活が長いので餌を求めるためか、2羽が30分程で戻ってきてしまうというハプニングも見受けられた。

2005年12月24日には放鳥記念碑の除幕式が行われた。その後2006年4月14日には自然放鳥したコウノトリの産卵が確認され、続けて18日にも2卵目が発見された。

そして、2007年7月31日についに43年ぶりの野生のコウノトリの巣立ちに成功した。

放鳥したコウノトリは背中に発信機をつけているため、人工衛星から行動範囲を監視できるが、他にも他県での目撃情報の収集を求めている。このコウノトリが自然界に定着すれば、トキの野生復帰への参考にもなるため、これからの動向が期待されている。

 

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