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明治大などの研究チームがブタの4世代クローンに成功した。クローンとはふつうの細胞の核を卵細胞に移植する方法でなかまを増やすこと。

クローン動物から再び細胞を取り出し再び、卵細胞に移植してクローンを作ることをクローンの反復生産という。それが4回も成功したのは世界で初めてのこと。

クローンをつくると染色体の末端にある「テロメア」というところが短くなって、ヒツジやウシでは短命になるという報告がなされていた。ブタについては「テロメア」は短くなっていないようだ。

これまでのところ、哺乳類ではヒツジ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ブタ、ネコ、ラット、イヌなどのクローンに成功している。 

家畜のクローンは実用化されているが。人のクローンには倫理的な問題があり認められてはいない。(参考HP Wikipedia)


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クローン豚:第4世代誕生に成功 明大など糖尿病豚も作成


クローン豚の体細胞からクローンを作る反復生産で第4世代のクローン豚を世界で初めて作ることに明治大などの研究チームが成功し6日、発表した。

さらに、遺伝子組み換えにより糖尿病のクローン豚を作ることにも成功。豚は臓器の解剖学的な特徴や大きさがヒトに似ており実験動物に使われる。同じ遺伝子を持つクローンの反復生産が可能になったことで、糖尿病などの治療法開発や、再生医療の有効性や安全性の評価への利用が期待される。

同大の長嶋比呂志教授(発生工学)らは04年、豚の唾液(だえき)腺の細胞核を、核を抜いた未受精卵に移植してクローン卵子をつくり、雌豚の子宮に入れて出産させた。同じ方法で、このクローン豚から第2世代を、第2世代から第3世代を作り、今年7月に第4世代を誕生させた。

クローンの反復生産は、染色体の末端にあり細胞の老化の指標とされる「テロメア」の長さが短くなるために不可能とする見方もあった。これまで、マウスでは第6世代のクローンが、大型動物では牛で第2世代まで報告されている。今回のクローン豚の第2、第3世代のテロメアの長さに異常はなかった。

一方、同大とベンチャー企業「バイオス医科学研究所」(神奈川県平塚市)は共同で、ヒトの糖尿病の原因遺伝子を遺伝子組み換えにより豚の未受精卵に導入、成長した胎児の細胞からクローン豚を作成した。

胎児からは導入した遺伝子がつくるたんぱく質が確認され、生まれた13匹のうち3週間以上生きた3匹は、生後数日から高血糖などの重い糖尿病の症状を示した。

長嶋教授は「医療研究用の実験動物は、必要なときに必要な個数を確保しなければならず、クローンによる反復生産が可能になったことで利用価値が高まる。病気の集団と健康な集団を作ることで、移植の有効性などを評価する研究にも役立つ」と話している。(毎日新聞 2007年8月6日)


クローン動物とは?


動物体細胞クローン1962年にガードンによりアフリカツメガエルオタマジャクシからを移植することで作製されている。1996年7月にキャンベルらによってヒツジ乳腺細胞核由来のクローン(ドリー2003年 2月14日死亡)が作られ、これは哺乳類の体細胞から作られたという点で注目を集めた。

分化した体細胞からクローンを作製するには,分化した核を飢餓状態に置き、細胞周期を停止させる。その後核を除去した未受精卵と電気的刺激を与えることにより細胞融合を起こさせ,その後発生を促すことにより体細胞由来のクローンの胎子(胎子は生物学上の用語)を作ることができる。

この方法により,1998年,ウシにおいてもクローン個体の成功が報告された.その後、1998年 Wakayama らが、体細胞を直接核を除去した卵子に注入することにより、細胞融合を行わずクローン個体を作製できることをマウスで報告し、このホノルル法が現在、クローン作成法のスタンダードとなっている。

これらの方法を用いて、その後、ヒツジウマヤギウサギブタネコラットなど多くの哺乳動物で、体細胞由来のクローン作製の成功例が報告されている。さらに2005年には,哺乳類において最も生殖工学の適用が難しいとかんがえられていたイヌでのクローン作製が、韓国の研究者グループによって報告されたが、このイヌのクローンについて発表したソウル大学黄禹錫教授らが発表したクローン技術に関する論文についてねつ造疑惑が浮上し調査が行われ、結局イヌクローンのみ成功したと立証された。

テロメアとは?


テロメア (Telomere) は真核生物の染色体の末端部にある構造。染色体末端を保護する役目をもつ。Telomere はギリシア語で「末端」を意味するτέλος (telos) と「部分」を意味する μέρος (meros) から作られた語である。末端小粒(まったんしょうりゅう)とも訳される。

テロメアは特徴的な繰り返し配列をもつDNAと、様々なタンパク質からなる構造である。真核生物の染色体は線状であるため末端が存在し、この部位はDNA分解酵素や不適切なDNA修復から保護される必要がある。

テロメアはその特異な構造により、染色体の安定性を保つ働きをする。原核生物の染色体は環状で末端がないためテロメアも存在しない。また、テロメアは細胞分裂における染色体の正常な分配に必要とされる。

また老化した動物やクローン羊ドリーではテロメアが短かったことが報告されており、テロメア短縮による細胞の老化が、個体の老化の原因となることが示唆されているが、個体老化とテロメア短縮による細胞老化との関連性は明らかではない。 

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