9月2日、JAXAは「宇宙花火」を打ち上げた。西日本では空の高いところで輝く赤い雲が観測され、新聞やテレビでも報道された。
「宇宙花火」の高さは150km〜250km(熱圏・電離圏)、ふつうの花火は120m〜600m(対流圏)だそうだから、約千倍の高さで輝いたことになる。
空の高いところでできる雲「夜光雲」ができる高さは50km〜80km(中間圏)だからそれよりも高い。今回の実験で夜光雲の謎が解けるかもしれない。
今回の「宇宙花火」は何のために打ち上げたのだろう?
目的は2つある。1つは高層の大気の動き、もう1つは高層からの雲や海の多波長撮影であった。2つも目的があったとは驚きである。
また今回の「宇宙花火」はなぜ赤い色に輝いたのだろう?
赤く輝いたのはリチウムの「炎色反応」の色である。「炎色反応」は花火の原理で金属が高温になったときのさまざまな色を発色する反応のことをいう。
今日は今回の「宇宙花火」の目的と「炎色反応」について調べる。(参考HP Wikipedia・JAXA)
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電離圏の「宇宙花火」、西日本各地で目撃
宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの国際チームは2日夜、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所からロケットを打ち上げ、宇宙と大気の境界領域である電離圏での大気の動きを探る実験をした。
高度150〜250キロでリチウムの高温蒸気が放出され、太陽光を受けて赤く輝く雲のように広がった。鹿児島、宮崎をはじめ、兵庫、和歌山、福井、鳥取など西日本の各地で、雲の切れ間から、この「宇宙花火」が目撃された。
観測ロケットは同日午後7時20分に打ち上げられ、高度250キロ、200キロ、150キロの3地点でリチウムを放出。和歌山県の潮岬や鹿児島県の奄美大島など地上4カ所から研究チームが観測した。チームの山本真行・高知工科大准教授は「高層でも意外にダイナミックな風があることが分かった」と話している。
(asahi.com 2007年09月03日 )
「宇宙花火」の目的は?
観測ロケットS-520-23号機を打ち上げ、高度300kmまでの中性・電離大気観測と気象・海洋現象の多波長撮影する。
具体的に何をするの?
本実験は内之浦宇宙空間観測所から打ち上げる観測ロケットS-520-23号機で行う。次に述べる大きな2つの研究テーマから成り立っている。
1.中緯度熱圏のの領域において中性大気と電離大気の運動を観測し、大気中の運動量輸送過程を解明する。
粒子間の衝突や電場を介した運動量の交換(輸送)は理論的には多くの研究がなされてきましたが、観測データに乏しく、検証がほとんど行われていません。また、中性−電離大気間のエネルギーのやり取りは多くの分野に関わる基本的かつ重要なテーマです。
中性・電離大気観測はロケットの上昇時下降時を通じて行います。ロケットが頂点高度を通過した後に中性リチウムを放出し、その発光雲の形状の変化を地上(複数地点)から撮像することで、中性風の速度ベクトルを得ます。
また、ロケット搭載計測器により直接得られるイオンドリフトや電子密度等の観測データを解析することで熱圏の大気・プラズマの相互作用によるダイナミクスを究明します。
2.高い高度(>100km)から液晶チューナブルフィルタを用いて積乱雲および海洋を多波長で撮影することによって、宇宙環境下での新しい観測手法の実証を行う。
液晶チューナブラルフィルタは、地球リモートセンシングあるいは惑星探査機用に実用化されれば今後の科学観測に大きな進展をもたらすと考えられます。例えば、異なる波長における雲映像の違いから水蒸気の分布や大気の流動について新たな知見が得られる事が期待できます。
液晶チューナブルフィルタを用いた積乱雲および海洋の特定領域の多波長撮影はCCDカメラがロケット打ち上げから約1分後に追尾ミラーの制御を開始し、約2分後に撮像を始めます。(以上:JAXA記事より引用)
炎色反応とは何か?
炎色反応(えんしょくはんのう)とは、アルカリ金属やアルカリ土類金属、銅などの塩を炎の中に入れると各金属元素特有の色を示す反応のこと。金属の定性分析や、花火の着色に利用されている。
高温の炎中にある種の金属粉末や金属化合物を置くと、試料が熱エネルギーによって解離し原子化される。それぞれの原子は熱エネルギーによって電子が励起し、外側の電子軌道に移動する。励起した電子はエネルギーを光として放出することで基底状態に戻り、この際に元素に特徴的な輝線スペクトルを示す。したがって、比較的低温で熱励起され、発光波長が可視領域にある元素が、微粉末や塩化物のような原子化されやすい状態になっているときにのみ、炎色反応が観察される。
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