科学大好き!アイラブサイエンス!このブログでは、最新科学の?をなるべくわかりやすくコメントします。
今年の夏の猛暑のため、高温障害を起こした農作物が問題になった。愛媛県では日焼けして変色、パサパサになったミカンができた。お米は、各地で白く変色し味の悪くなったお米ができた。 一方、北海道のお米はおいしくなったという。

このため高温に強い、農作物に品種改良しようと研究中である。ところで、品種改良というと、遺伝子の組換えがおきていることが最近になってわかった。また、紫外線や放射線を当てるなどして意図的に遺伝子を組換えることも、品種改良では行われてきた。

「品種改良」というと世間には受け入れられているが、「遺伝子組換え作物」というと、まだ否定的な人も多いのではないだろうか?同じような事をやっているのに不思議である。

お米のゲノムは2002年に解読されている。遺伝子組換えでは、例えばインディカ米など高温に強い性質を持つ米の遺伝子だけコピーし、ササニシキの遺伝子に組込むことができる。

これまでのように紫外線、放射線を当て続け、偶然性質が変わるのを待つ必要はないし、遺伝子の他の部分も同時に変えてしまうこともない。また地球温暖化の速度は速まっているという。今回の品種改良は急を要する。

ところで遺伝子はどうやって組込まれるのだろうか?

多くの場合「ベクター」という遺伝子の宅配便に運んでもらうことが多い。これは遺伝子治療の場合でも使われる。今日は「ベクター」について調べる。(参考HP Wikipedia)


ベクターとは何か?


ベクター (vector) とは、遺伝子組み換え技術に用いられる、組み換えDNAを増幅・維持・導入させる核酸分子。

挿入するDNA断片の大きさや挿入の目的によって、それを挿入するために様々な特徴を付加されたプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、YAC、BACなどの媒体がベクターとして使い分けられる。

遺伝子治療を行うときにも「ベクター」を使う。遺伝子を細胞に入れて働かせることを、遺伝子導入とよぶが、遺伝子を細胞に導入し治療するには、ベクターは不可欠である。

プラスミドとは何か?


プラスミドはもともと大腸菌などの菌類に見られる「天然のベクター」である。細菌や酵母の細胞質内に存在し、染色体のDNAとは独立して自律的に複製を行う。一般に環状構造をとる。 Fプラスミドなどの細菌の接合を起こすものや、抗生物質に対する耐性を宿主にもたらす物などが自然界にある。

現在ではプラスミドとしてよく呼ばれるものは、遺伝子組み換えの際に用いられるベクターとして様々な人工的な改変がされた数 Kbpの環状二本鎖DNAのものが多い。細菌のみではなく酵母や哺乳類の細胞内で複製・維持される物もある。

ファージとは?


ファージ (Phage) は細菌に感染するウイルスの総称。正式にはバクテリオファージと呼ばれるが、略称にあたるファージが定着しており一般にはこちらが用いられることが少なくない。

タンパク質の外殻に遺伝情報を担う核酸 (主に二本鎖DNA) を持っている。20世紀初頭に Twort と Herelle によって独立に発見された。ファージが感染し増殖すると細菌は溶菌という現象を起こし死ぬ。この現象によってまるで細菌が食べ尽くされるかのように消えてしまうため、これにちなんで「細菌(bacteria)を食べる(ラテン語のphagos)もの」を表す「バクテリオファージ(bacteriophage)」と言う名が付けられた。遺伝子組み換えの際に用いられるベクターとしても利用される。

ウイルスとは何か?


ウイルスは細胞を構成単位としないが、他の生物の細胞を利用して増殖できるという、非生物と生物の特徴を併せ持つ。現在でも自然科学は生物・生命の定義を行うことができておらず、便宜的に、細胞を構成単位とし、代謝、増殖できるものを生物と呼んでおり、細胞をもたないウイルスは、非細胞性生物または非生物として位置づけられる。

しかし、遺伝物質を持ち、生物の代謝系を利用して増殖するウイルスは生物と関連があることは明らかである。感染することで宿主の恒常性に影響を及ぼし、病原体としてふるまうことがある。遺伝子組み換えの際に用いられるベクターとしても利用される。

ウイルスベクターは、ウイルスの殻とウイルス遺伝子の一部を使い、ウイルスの病原性を司る遺伝子を切り取り、代わりに薬となる遺伝子をはめ込む。そのため原則として、ウイルスベクターには病原性はない

その他のベクター?


ベクターには、脂質のボール(リポソーム)に包まれたものがある。リポソームベクターは、主に人工的に作った、細胞膜に良く似た構造の脂質二重膜でできたミクロの球体に、遺伝子を入れたもの。

また、「核酸医薬」とも呼ばれて注目されているのが、「アンチセンスDNA」と「デコイDNA」。

これらは、正確にはベクターではない。 アンチセンスDNAやデコイDNAは、天然の遺伝子ではなく、人工的に合成した短いDNAだ

アンチセンスDNAは、その名の通り、DNAからmRNAへの遺伝子の転写を邪魔する。アンチセンスDNAは標的の遺伝子にちょうど結合する塩基配列で、標的の遺伝子に「ふた」をして転写できなくする。

デコイDNAは、「おとり」という意味で、遺伝子の転写を調節する「転写調節因子」とよばれるタンパク質に結合して遺伝子の転写を邪魔する

デコイDNAは転写調節因子が本来結合する遺伝子に似ているので、転写調節因子が「ひっかかって」結合する。
 

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