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ソニーから液晶でもプラズマでもない次世代テレビ「有機EL」が発売される。

「有機EL」はもうすでに携帯電話、デジカメなどには使われているが、テレビでは今回世界初である。

画面の大きさは11型、消費電力は45W、重さ2kgで値段は20万円である。通常のテレビが25型で100Wなのでこれは省エネタイプだ。値段はまだ高い。なんといっても驚くのはその薄さでわずか3mmのテレビの登場である。

これだけ薄くできたのもその発光方式。発光がライトではなく、有機物質である。有機物質にわずかな電気を流すと発光する。これはホタルの光と同じで熱の出ない冷光という現象だ。英語でエレクトリック・ルミネッセンスという。だから「有機ELテレビ」と呼ばれている。

ここ最近、電気製品を買うと故障が多く、ビデオデッキ、パソコン、デジカメと3回連続ソニー製品だった。どこでつくられたか見てみるとたいてい「Made in China」であった。ソニーはセンスが良いので好きだったが、もう買えないと思っていた。

テレビや新聞では「久々に技術のソニー復活か?」と期待を寄せている。私も期待したい。今日は「有機ELテレビ」について調べる。(参考HP Wikipedia・SONY) 

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技術のソニー復活に期待感、有機ELテレビで人気化


次世代ディスプレーの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を中核的な技術とした超薄型テレビを発表したソニーが人気だ。世界初となる有機ELテレビは「技術のソニー」を復活させるきっかけになるとの期待を膨らませている。

ただ、激戦が続く薄型テレビ市場で不可欠な大型化や、コストダウンなどが現段階では明確ではないとの指摘もあり、本格的に評価されるのは、もう少し先になるとの見方も出ている。

今回発表のテレビは、最も薄い部分で厚さ約3ミリ。これまでシャープが約2センチ、日立製作所が約1.9センチの液晶テレビをそれぞれ試作していたが、新商品はこれらを薄さで圧倒する。

発表会においてソニーの中鉢良治社長は「技術のソニー復活の象徴として、反転攻勢のきっかけにしたい」と語ったが、市場では「戦略的な技術を商品化するという意味において、有機ELテレビは久々に存在感を示した材料。「久しく忘れられていた技術のソニーの復活を象徴する製品として評価できる」との指摘があった。

しかし、井原勝美副社長が発表会で「短期的に液晶を置き換えるようなものではない」との認識を示しように、業績インパクトは08年度まで大きくはならない。「液晶テレビのどれだけの比率が有機ELに変わるかの議論も、27型商品化が未定の現段階では時期尚早」と分析されている。

「大型化やコストダウンなどの具体的なスケジュールは必ずしも明確ではない。薄型テレビ市場におけるポスト・サバイバルゲームに向けたブランド・ポジショニング作りといった色彩が強く、液晶テレビを一足飛びに置き換える流れにならないと予想する」という指摘もある。

新製品は11型で、小型ノートパソコンのディスプレーとほぼ同じ大きさ。「大型化が実現されれば、また高く評価されるのでは」との見方が支配的となっている。
(10月2日 ロイター)
 

「有機EL」とは何か?


「有機EL」の"EL"はElectroluminescence(エレクトロ・ルミネンス)の略

まず、エレクトロ・ルミネンスとは、電気的な刺激によって光が出る冷光現象の総称で、白熱電球のように、熱の副産物として得る光と区別される。 ホタルの光をイメージすると良い。

有機エレクトロルミネッセンスは有機物中に注入された電子と正孔の再結合によって生じた励起子(エキシトン)によって発光する現象である。

発光原理は無機EL(エレクトロルミネセンス)よりむしろLED(light-emitting diode)によく似ており、各国では一般的に有機LED(OLED。オーレッドもしくはオーエルイーディーと読む)と呼ばれるが、日本のメディアでは歴史的に有機ELと呼ばれることが多い(OLEDもしくはOELと略される事もある)。

基本的な構造と発光原理 
有機ELディスプレイの構造カソード(陰極)とアノード(陽極)に電圧をかけ、電子と正孔を注入する。電子と正孔がそれぞれ電子輸送層・正孔輸送層を通過し、発光層で結合する。

結合が起こった際のエネルギーで周りの分子が励起される。励起状態から再び基底状態に戻るその際に光を発生する。電極の一方は銀やアルミニウム等の金属を使い、他方はインジウム−スズ酸化物(ITO)などの透明な物質を使い、金属電極をバックミラーとしながら透明電極と基板(ガラス板やプラスチック板など)を透過して光を得る。

発光層に高分子と低分子のどちらを利用する方法でも原理はほぼ同じである。こうしたサンドイッチ状の構造はヘテロ構造と呼ばれ、電子と正孔をそれぞれ別の層に閉じ込めることによって効率的な反応を起こすことができる。正孔輸送層、発光層にはそれぞれジアミン、アントラセンなどの有機物が使われる。

駆動方式
液晶ディスプレイと同様、ドットマトリクス表示の多数の画素にそれぞれ電極の配線をしようとしても基板周縁部にすべての端子が取り出せなくなることから、TFT(薄膜トランジスタ)などのアクティブ素子を各画素に配置して駆動するか(アクティブマトリクス駆動)、直交させたストライプ電極にタイミングを合わせて電流を流すことでその交点の各画素を順次駆動するか(パッシブマトリクス駆動)のどちらかの駆動方式が使われる。

パッシブマトリクス駆動は構造は単純だが瞬間的に光らせるのは1ラインであるため、その瞬間の発光輝度を大きくしている。よって素子の寿命が短くなってしまう欠点がある。また、パッシブ方式では(単純マトリクス駆動の液晶ディスプレイと同様)クロストークによる画質低下が問題になる。これらの欠点は大型化でより深刻になるため、大型パネルにはアクティブマトリクス駆動が採用される傾向にある。しかし、同様の事情がある液晶ディスプレイより複雑な回路を組み込む必要がある。

有機ELディスプレイの特徴
有機ELのディスプレイとしての特徴は実用化が進んでいる液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどとの対比で語られることが多い。現時点では可能性や試作段階を含んだ原理的な特徴や技術的な動向であり、最終製品同士の比較ではない。

応答速度
液晶ディスプレイでは液晶の分子の方向を変えることで輝度を変えているため、応答速度が鈍く動画再生などで問題になる。有機ELは励起子の発光時間は非常に早く、電流を変化させれば輝度が瞬時に変化するので、非常に応答速度が早い。また、液晶ディスプレイでは応答速度が環境温度に依存し、低温では応答速度がさらに鈍くなる。しかし有機ELディスプレイでは低温でも応答が変わらない。

視野角
液晶のように見る方向によって階調が変わってしまうことがなく、また、コントラストの低下も低く、視野角は180度に近い。プリズムシートで集光して表面輝度を向上させている液晶ディスプレイとは異なり、ランバート分布に近い発光分布を持つが、マイクロキャビティー効果を用いることで集光させる事も可能である。

解像度
現在の有機ELディスプレイは解像度がシャドウマスクの精度およびそのプロセスで制限されている。現在、シャドウマスク以外の手法、ホワイト+カラーフィルター方式、レーザー熱転写方式(LITI法:3M)、レーザー再蒸着方式(RIST法:コダック、LIPS法:ソニー。違いはドナーシートの材質。)と言ったシャドウマスクの制限を伴わない技術が開発されている。

また、画素には液晶の場合1個以上、有機ELの場合2個以上のTFTが必要な為、高解像度ディスプレイの場合制約となりうるが、トップエミッション方式の開発により、制約は無くなりつつある。これらの進歩の結果、すでに300ppiの試作品も現れている。 また、三色の発光層を縦に重ねることによって解像度を高くできる可能性もあるとされている。

発色
有機ELは原理的に共役結合の実効長を分子構造設計によって変化させられる為、任意のエネルギーのエキシトン、すなわち任意の波長の光を取り出せる。これにより、色再現域が広いフルカラーディスプレイが可能である。

また、特定の色のみを発光する素子も作れる。液晶同様、視野角によって色が変わる問題(色シフト)が存在するが、液晶と同程度に抑える事が可能になってきている。
駆動電圧・消費電力・発光効率
液晶ディスプレイのようにバックライトをカラーフィルタに通して色を出すのではなく、色の付いた光を直接出せるためエネルギーの変換効率が高い

また、プラズマディスプレイのような放電発光ではなく有機半導体内の励起子により発光するので、発光そのものに必要な電圧も数V程度と低い

また有機ELの発光効率も近年飛躍的に向上している。さらに発光材料として蛍光材料が広く用いられているが原理的に効率の高いりん光材料の開発が進んでおり、さらなる高効率化が期待できる。

磁気の影響
ブラウン管とは異なり磁気の影響を受けない

サイズ
ガラス基板2枚で挟み込む構造の液晶と違い基板は1枚であり、加えてバックライトが不要であるため薄型化が可能とされる。発光層の保護のための封止層が課題であるが、無機および有機の薄膜を用いたべた封止方式が開発されており、これによって将来は封止層が必要無くなるともいわれている。

フレキシブル
プラスチックなどの基板を使った、柔らかくて折り曲げることができるディスプレイの試作品が発表されている。しかし、プラスチックシートを基板に使用すると酸素などを透過して発光体を劣化させ、寿命を短くしてしまうため、製品化には、フレキシブルな封止層、あるいは封止が不要な技術が必要となる。

寿命
発光体の有機物は通電及び酸素や湿気の影響により徐々に劣化して輝度が低下する。この問題は発光体の研究と空気から遮断する封止技術により急速に改善されてきており、最新の各社製品では10000時間〜30000時間といったモバイル機器には十分な寿命を確保できる水準に達してきている。

コスト
原理的には液晶ディスプレイより単純な構造が可能であるため、液晶ディスプレイより製造コストが下がる事が期待されている。発光層の膜厚はTFT薄膜デバイスより薄い為、パーティクルの削減が重要な課題となるであろう。

大型化
大型化するとドット落ちや全体の均質化などの問題により、歩留まりが悪化する。また、大型化で課題の多いパッシブ駆動を避けてアクティブ駆動を採用するためには、多数の製造技術と大きな設備投資が必要になる。液晶の大型化と同様、着実な不良原因の解析と対策が必要になると思われる。

主な製品化
原理的に発光効率や画質や薄型化、消費電力に関して、液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイを凌ぐ製品が可能な技術であるため、主にディスプレイ用としての活用を期待されている。

また、面発光に適している事から蛍光灯に代わる照明用や液晶ディスプレイのバックライト用としての研究も進められている。小型ディスプレイとしての製品化は進んでおり、デジタルオーディオプレーヤー、携帯電話、パチスロなど、従来液晶ディスプレイが使われていた用途への採用が増えている。テレビやパソコン用などの大型ディスプレイについては、2007年10月1日にSONYが表示装置に有機ELパネルを採用した薄型テレビ「XEL-1」を12月1日に世界で初めて発売すると発表をした。11V型のサイズで、希望小売価格は20万円。今後、SHARPをはじめ他メーカーもこれに追随していくものと思われる。
 

よくわかる有機ELディスプレイ―携帯電話からテレビまで
河村 正行
電波新聞社

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西久保 靖彦
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