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ドーピングはなぜいけないのだろうか?理由は3つある。「1.スポーツにおけるフェアプレー精神に反する行為であること 2.選手の健康を損ね、場合によっては生命をも奪う危険性を持つこと 3.薬物の習慣性や青少年への悪影響など社会的な害を及ぼすこと。」現代社会では、これを守らない選手がいる。

規制の緩かったアメリカのMLBやNFLでは、ようやくドーピングを厳しく規制する動きが出ている。禁止薬物の多くは選手の健康に対する脅威にもなりうる。禁止薬物の副作用である健康への害を起こす症状は、選手生命を短くする。現役を引退してから、心臓疾患などの症状で出ることもある。

こうした禁止薬物に関するドーピング以外に禁止行為にあたるドーピングがある。例えば、検尿のときに他人の尿とすり替える選手もいる。日本のトップアスリートである室伏広治選手や高橋尚子選手らの体験談によると、検査官は実際に選手といっしょにトイレに入り、実際に尿が出るところまで監察することが義務づけられているそうだ。

その他の禁止行為には「遺伝子ドーピング」や「血液ドーピング」などがある。

筋ジストロフィーは筋肉が減っていく病気である。ミオスタチンというタンパク質をつくる遺伝子が欠落すると、筋肉が2倍になる(上の写真参照)。この性質を利用して、筋ジストロフィーの「遺伝子治療」が研究されている。

これをスポーツ選手が悪用するおそれがある。自分の遺伝子を組換えて、筋力アップをはかるのだ。遺伝子を組換え、肉体改造することを「遺伝子ドーピング」という。

世界反ドーピング機関では、いかに「遺伝子ドーピング」を防ぐか、現代科学の英知を結集して取り組んでいる。

2005年12月5日、ストックホルムで行われた「遺伝子ドーピング」国際会議では、「遺伝子でも、薬物でも、外部から何かが入ってきた場合、人間の体は必ず、その効果を相殺して常態に戻ろうと反応する機能がある。遺伝子ドーピングが引き起こす特有の変化を、細胞内でDNA情報が転写されてたんぱく質が作られる過程に探す」としている。

現代のスポーツではフェアプレーの精神は通用しないのだろうか?一流アスリートにあこがれ、夢を持つ青少年のためにも正々堂々と戦ってほしいものだ。貧困な生活の中で育ち、メダルを取って賞金を稼ごうとする、ハングリーなアスリートも多く存在するだろう。しかし、それはその人だけではない。世界の多くの人が貧困の中で努力している。

「遺伝子ドーピング」のような方法がまかり通ってしまうと、もはやスポーツとはいえない。人造人間どうしによるゲームのひとつになる。

科学の進歩がこのような問題を起こすかと思うと複雑な心境だ。今日は「遺伝子ドーピング」と「血液ドーピング」について調べる。(参考HP Wikipedia)
 

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筋力回復の遺伝子治療、ドーピングに悪用される懸念


筋ジストロフィー患者などを救う研究に取り組んでいる科学者チームが、遺伝子治療によりラットの筋力を2倍に高めることに成功したと発表した。スポーツ関係者は、この技術が超人的なスポーツ選手を作るために「遺伝子ドーピング」として悪用された場合、検知が困難であることを懸念している。

ペンシルベニア大学のリー・スウィーニー氏は、研究室内の実験で、インシュリン様成長因子-1を組み込んだウイルスを実験用のラットに注射したところ、ラットの筋肉が太さ、筋力ともに15〜30%増加したと述べている。

また、被験ラットに運動プログラムも受けさせたところ、筋力が2倍に増加したという。

「われわれが病気を想定して開発している治療法が、将来的には遺伝子操作を利用した運動能力の強化に使われるかもしれない」とスウィーニー氏は米国科学振興協会(AAAS)全国会議の席上で述べた。

カナダのマギル大学と世界アンチ・ドーピング機構(WADA)に所属するリチャード・パウンド氏は、同機構がスポーツ選手に対する遺伝子的な操作を禁止する規則をすでに採択していると語った。WADAは、国際的なスポーツ競技で運動能力強化のために使われる薬品を取り締まっている。しかし、今回新たに発表された遺伝子を用いる筋肉増強の手法は、容易には検知できない可能性があると、パウンド氏は危惧している。

「(研究の)初期段階からわれわれが関与し、この手法を規制するために協力していきたいと考えている。規制の方法は見つかるはずだ」とパウンド氏。

血液と尿を検査すれば、ドーピング用の薬品の大部分は検出できる。しかし遺伝子ドーピングの検知は非常に困難なものになるだろう。スウィーニー氏によると、筋肉内に加えられた遺伝子を検出するには、現在のところ、筋肉の生検しか手段がないという。生検は、器具などを体に挿入しなければならず、非常にリスクが高い。

今回発表された遺伝子治療は、高齢者の筋力増強や、筋肉が萎縮してしまう病気、筋ジストロフィーの治療を目的として開発されている。人は高齢になるにつれて筋肉が弱くなるが、スウィーニー氏の研究室では、遺伝子治療により衰えを緩やかにしたり筋力を回復させたりできるかどうか、検証しているという。

しかし、「健常者の筋肉の強化や修復能力の向上にも、同じ手法が使えるかもしれない」とスウィーニー氏は話す。また、この手法により、最盛期の筋肉の能力を長期間維持することも可能になるかもしれないという。

安全面での問題から、今回報告された治療法による臨床試験はまだ実施されていない。人間を対象とした臨床試験の準備が整うまでには何年もかかる可能性があると、スウィーニー氏は指摘している。

しかし、今回の研究に関する話題は、すでにスポーツ関係者の耳にも届いている。スウィーニー氏が現在受信する電子メールの半数は、遺伝子を使った筋肉増強について情報を知りたがっているスポーツ選手やコーチからのものだという。
( AP通信 2004年02月18日 ) 

遺伝子ドーピングとは?


遺伝子治療技術を応用したドーピング行為のこと。つまり「スポーツ選手が、自身の身体能力を人工的に高まる目的で、遺伝子治療を行う行為」を指す。

具体的には「赤血球やある種のたんぱく質を、効率よく作り出すような遺伝子を人体に組み込む」ような技術が考えられる。例えばマウスでは筋力を2倍に高める遺伝子組換えに成功している。

遺伝子ドーピングの方法

遺伝子を他人の体に植えつけるには、ウィルスを使う。ウィルスはそもそも遺伝子だけでできた殻のようなもので、自分たちだけでは増殖することができず、寄生する相手細胞にもぐりこんで自分の遺伝子を広める不気味な物体。このウィルスの特性を利用し、ウィルスに改変遺伝子を仕込んで、生体内にもぐりこませて相手の遺伝子を改造できる。改変遺伝子を運び込むウィルスはベクターと呼ばれる。

ヒトに応用可能かどうかはまだわかっていないが、次回の北京五輪では、遺伝子ドーピングの問題が顕在化する可能性が指摘されている。

生まれつき遺伝子に変異がある場合

スポーツ選手で生まれつき遺伝子変異がある人は結構いるようだ。記事でも、1964年にオリンピックのクロスカントリースキーで金メダルを二つ取ったフィンランドの選手の例が載っている。彼は赤血球量が普通の人より多いため、有酸素運動に非常に有利だった。ただ、あまり注目を集めたくないということで、遺伝子変異がわかってもそれを公表する人は少ない。

ツールドフランス6連覇を狙うLance Armstrongも、休息時の心拍数32-40(普通の人の平均が72)、肺活量83ml/kg/min (かなり運動している人で40台、50で相当高い)という、常人とはかけ離れた能力である。

遺伝子ドーピングで、遺伝子そのものを改変してしまったら、それを発見するのは難しいのではないだろうか。「生まれついての変異だ」と言われたら手も足も出ない。

遺伝子ドーピングの見分け方

「遺伝子ドーピングを試みる者はもういるのか?」という問いに、専門家たちの答えがここに来て、「いても驚かない」に変わった。遺伝子治療の研究が進み、動物実験の段階では、体内に注入した遺伝子の活動の制御方法がほぼ開発された。「効果も、安全性も、保証のないやり方でいいのなら、遺伝子ドーピングを行うのに大した技術はいらない」。世界反ドーピング機関(WADA)遺伝子ドーピング専門委員長で、カリフォルニア大の分子遺伝学の権威、フリードマン教授は言う。

最も有望な検査法は、外部遺伝子の注入で引き起こされる体内変化を、細胞レベルでチェックする方法だ。「遺伝子でも、薬物でも、外部から何かが入ってきた場合、人間の体は必ず、その効果を相殺して常態に戻ろうと反応する。遺伝子ドーピングが引き起こす特有の変化を、細胞内でDNA情報が転写されてたんぱく質が作られる過程に探す」と同教授。変化は、注入遺伝子の種類や挿入法が変わっても、血液や粘膜の細胞などを使って検出できるはずだという。
(2005年12月7日  読売新聞)

血液ドーピングとは?


競技に先立ち事前に血液を抜き取り、赤血球の不足した状態を人為的につくり、これに身体を順応させた上で、競技直前に輸血により赤血球を増やそうとする行為をいいます。酸素運搬の役割をする赤血球が増えれば、持久力が高まります。

いわゆる高地トレーニングと同様の効果を人為的に作るわけです。持久力を要するノルディスク、長距離走、自転車などの競技で利用されるようですが、本来のスポーツ精神から逸脱しているといわざるおえないでしょう。

他人血、自己血、赤血球製剤、および関連製剤が該当します。エリスロポエチンも同様の目的で使用されますが、こちらも禁止されています。

 

汚れた金メダル―中国ドーピング疑惑を追う
松瀬 学
文藝春秋

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禁断の肉体改造
ホゼ カンセコ,Jose Canseco,ナガオ 勝司
ベースボールマガジン社

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