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今年もノーベル賞の季節がやってきた。今年のノーベル医学生理学賞が発表された8日夕、受賞者の速報を掲載するノーベル財団のウェブサイトがダウンした。接続できない状態は2時間ほど続いた。ノーベル賞に世界中の多くの人が注目していることがよくわかる。

2007年度ノーベル医学・生理学賞は「胚性幹細胞(ES細胞)を利用し、マウスの特定の遺伝子を改変する基本原理の発見」した研究者に贈られた。受賞者は米ユタ大学のマリオ・R・カペッキ教授(70)、英カーディフ大学のマーティン・J・エバンス教授(66)、米ノースカロライナ大のオリバー・スミシーズ教授(82)の3人である。

マウスのES細胞を培養する方法を発見したのがエバンス教授。ES細胞の遺伝子組換えにより、「ノックアウトマウス」という特定の遺伝子を改変したマウスをつくり、様々な病気の解明に役立てたのがカペッキ教授とスミシーズ教授である。現在、ライフサイエンスの最先端をいく、再生医療や遺伝子組換え技術の両方に関係するすばらしい研究に贈られた。

本研究により、狙った遺伝子を改変する「ジーンターゲッティング法」が確立された。このような技術が確立しているために、現代の遺伝子組換え作物は安全性が高くなっている。

日本では、まだ「遺伝子組換え作物」というだけで嫌う人が多い。こういった面を見ても欧米に比べ、日本は遅れていると思う。ノーベル賞受賞者が日本人に少ないのもそうだし、昔、第二次世界大戦で負けたのもそうである。しっかり英語を勉強して、学びたいことは学び取る姿勢が大切だと思う。 

今回はノーベル賞から、「ES細胞」と「ノックアウトマウス」について学ぶ。
(参考HP Wikipedia)

米ユタ大・カペッキ教授ら3人にノーベル生理学・医学賞 スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2007年のノーベル生理学・医学賞を米ユタ大学のマリオ・R・カペッキ教授(70)、英カーディフ大学のマーティン・J・エバンス教授(66)、米ノースカロライナ大のオリバー・スミシーズ教授(82)の3人に授与すると発表した。

授賞理由は「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を利用し、マウスの特定の遺伝子を改変する基本原理の発見」。

この発見によって、狙った遺伝子を欠いたマウス(ノックアウトマウス)を作製し、遺伝子の機能を調べることが可能になった。

カペッキ教授には1996年に京都賞が贈られている。賞金は1000万スウェーデン・クローナ(約1億8000万円)で、3人の受賞者で均等に分ける。授賞式は、アルフレッド・ノーベルの命日にあたる12月10日にストックホルムで行われる。

生物の病気の発症などにかかわる遺伝子の働きを調べるには、その機能を失わせ、動物にどういう異常が現れるかを見るのが早道だ。3氏が開発した技術(ジーンターゲティング法)はこれを可能にした。

まずカペッキとスミシーズの両教授は、哺乳(ほにゅう)類で、調べたい遺伝子を狙い撃ちして、ほかの性質を持つ遺伝子に組み換えることに成功した。一方で、エバンス教授は、マウスの胚(受精卵)から、あらゆる種類の細胞に分化する可能性を秘めたES細胞を発見。

カペッキ教授が、ES細胞を使い、狙った遺伝子をつぶし、特定の性質を代々受け継ぐ「ノックアウトマウス」を作製する技術を確立した。

この成果によって、糖尿病やがん、心臓病など500種類以上の病気モデルマウスが作られ、病気の原因解明や新しい治療法の開発に大きな進歩をもたらした。
(2007年10月8日22時39分  読売新聞)

〈オリバー・スミシーズ氏〉 25年英国生まれ。51年英オックスフォード大で博士号取得。現在、米ノースカロライナ大教授。
〈マーチン・エバンス氏〉 41年英国生まれ。69年英ロンドン大で博士号取得。現在、英カーディフ大教授。
〈マリオ・カペッキ氏〉 37年イタリア生まれ。67年米ハーバード大で博士号取得。現在、米ユタ大教授。96年に京都賞

ES細胞とは?


ES細胞とは胚性幹細胞(Embryonic Stem cells: ES細胞)のこと。動物の発生初期段階である胚盤胞の一部に属する内部細胞塊より作られる幹細胞細胞株のこと。

理論上、血液や脳、骨などあらゆる臓器や器官を形成することから「万能細胞」とも呼ばれる。これらすべての組織に分化する全能性を保ちながら、自分も無限に増殖する事ができるため、再生医療への応用に注目されている。

またマウスなどの動物由来のES細胞は、培養細胞の遺伝子に様々な操作が可能であり、更にそれを胚に戻すことで、生殖細胞を含む個体に参加させることができる。このことを利用して特定遺伝子を相同的組み換えにより個体レベルで意図的に破壊したり(ノックアウトマウス)、マーカー遺伝子を自在に導入したりすることができるので、基礎医学研究では既に広く利用されている。

人間のES細胞研究は、脊髄(せきずい)損傷や糖尿病、アルツハイマー病など、さまざまな疾病の治療に役立つとの期待が寄せられる一方で、将来はヒトに成長する胚を壊すため、生命尊重の立場から研究に反対する声も根強い。

ノックアウトマウスとは何か?
特定の遺伝子を働かなくしたマウスのこと。特定の遺伝子をノックアウトしてあるので、ノックアウトマウスという。ノックアウトマウスは遺伝子の働きを調べたり、新薬の効果を調べたりするのに利用される。

例えば、機能のわからない遺伝子が見つかったとき、その遺伝子を働かなく(ノックアウト)したマウスを遺伝子操作でつくる。そこで、正常なマウスと比較すれば、“異常”が見つかる。その異常の起こった原因がその遺伝子にあることが推測され、遺伝子の機能を解明するヒントとなるのである。

また、生まれつき高血圧になるようなノックアウトマウスをつくっておき、新しく開発された薬が高血圧に効果があるかないかを判定するとき利用される。ノックアウトマウスはバイオ時代にはなくてはならないマウスである。 
 
人・資源化への危険な坂道―ヒトゲノム解析・クローン・ES細胞・遺伝子治療
福本 英子
現代書館

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ES細胞の最前線
クリストファー・T・スコット,矢野 真千子
河出書房新社

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