
先日、薬物乱用防止講演会があった。話してくれたのは、看護婦さん。実際に薬物中毒になった人の面倒を見る病院に勤めているようであった。
日本は法治国家であり、厳しく規制しているので、まともな生活をしていれば、私たちは麻薬や覚醒剤の危険に触れることはない。
話を聞いて怖いなと思ったのは、シンナーなどの有機溶剤。接着剤やマジックインキにも含まれていて、手に入りやすいからである。
一度シンナーなど薬物中毒になると、フラッシュバックといって、幻覚、妄想などの症状が、乱用を止めた後も日常生活の中の何気ないきっかけで自然再燃する。
せっかくやめた人が接着剤やマジックの臭いで再び中毒になり、廃人同然になってしまうケースがあるという。
ところで薬物乱用とは何だろう?薬物とは何か?
薬物乱用とは?
薬物乱用(Drug Abuse)とは、社会規範から外れた方法・目的で外来薬物を使用することである。法律で成人に限って合法とされる外来薬物であるアルコール・たばこを除く、麻薬・大麻・向精神薬・覚醒剤などの違法外来薬物は、1回の使用であっても薬物乱用であり、所持は犯罪として罰せられる。
麻酔・抗精神病薬・抗うつ薬等の向精神薬の一部は医療目的に限って使用される。合法・違法に限らず薬物依存症に陥れば、脳内麻薬乱用による神経伝達物質の多量分泌の快楽に染まって、薬物入手のためには反社会的行動も辞さなくなり、公衆衛生上の大きな課題となっている。
乱用される主な薬物とは? アヘン類
ヘロイン、モルヒネ、コデイン、ペンタゾシンなど。
容易に耐性が形成される。モルヒネ、コデイン、ペンタゾシンは鎮痛剤などとして医療目的で使用されている。
アルコール
日本酒・焼酎・ビール・ワイン・ウォッカなど
容易に身体依存性と耐性が形成され、アルコール依存症として脳を溶解させる症状があらわれる。
アメリカ合衆国で一度禁酒法で違法薬物指定されたが社会規範を外れた法律の為、廃案になった。
大麻
マリファナ、ハシッシュなど。
使用によって幻覚を発現する。脳内シナプス異常分泌を補助させるため判断がおかしくなりやすい。
覚せい剤
MDMA、アンフェタミン、メタンフェタミンなど。
覚せい剤は統合失調症に酷似する。乱用を続けることで、脳に不可逆な過敏性が残るため、いったん断薬しても、少量の再使用で以前と同様な精神病症状が再燃する(逆耐性現象)。身体依存性はないか、あってもわずか。
向精神薬として麻酔、精神安定剤、鎮静薬、睡眠薬
メチルフェニデート、ケタミン、フルオキセチン、睡眠導入剤、ベンゾジアゼピン、モルヒネ
抗精神病薬、抗不安薬の常用・乱用に誘発された精神病は、重篤になりやすい。
コカイン
身体依存性はないか、あってもわずか。以前はコカ・コーラに含まれていた。
幻覚薬
LSD、フェンシクリジンなど。
使用によって幻覚を発現する。脳内シナプス異常分泌を補助させるため判断がおかしくなりやすい。最近ではLSDが自閉症や注意欠陥・多動性障害の治療薬として研究されている。
ニコチン
容易に身体依存性と耐性が形成され、ニコチンの副作用として血管収縮作用があるため血管疾患の症状があらわれる。最近ではニコチンパッチの乱用も散見される。
中毒性があり、主にタバコによる癌を誘発する。通常量でも頭痛・心臓障害・不眠・苛立ちを感じるなどの症状、過量投与では嘔吐、振戦、痙攣、死亡を起こす。
揮発性溶剤
シンナー、ベンゼン、トルエン、キシレンなど。
容易に身体依存性と耐性が形成され、アルコール依存症と同一の脳を溶解させる症状があらわれる。
参考HP Wikipedia「麻薬」「MDMA」 「メチロン」・ 脱法ドラッグ「メチロン」、中枢興奮作用はMDMAの倍(共同 8月25日)
![]() | 薬物乱用の科学―乱用防止の知識 研成社 このアイテムの詳細を見る |
![]() | 精神活性物質の事典―LSDからレタスまで 青土社 このアイテムの詳細を見る |
![]() | ドラッグは世界をいかに変えたか?依存性物質の社会史 春秋社 このアイテムの詳細を見る |


コメント