夏休みに「JAMSTEC(海洋研究開発機構)」を訪問した。JAMSTECでは「夏休み!JAMSTEC親子見学ツアー」を毎年開いていて今年は8月3日と8月24日に行われた。普段見ることのできない調査船に乗船したり、しんかい2000やしんかい6500の最新科学技術にふれることができた。

 潜水調査船は沈むために鉄のおもりを持っていき、浮上するときにおもりを全部捨てていくという、原始的な方法で潜水するのは以外だった。カップラーメンの容器を深海に持っていくとどんどん小さくなっていくのには驚いた。

 もし人が深海で活動するとしたら、水圧につぶされないよう、空気を圧縮して吸うことになる。普通の空気には窒素が含まれており、これが高圧になると人は窒素酔いを起こしてしまう。そこで窒素の代わりに使われるのがヘリウムである。このヘリウムは体に入っても無毒であるが、声がドナルドダックのように変わってしまう。



 JAMSTECは海をテーマに研究している。地球表面の70%は海であり、地球の海の平均水深は約3,800 m なので、深海は海全体の約95 % を占める広大な世界である。そのほとんどが知られていない。従って研究することも多種多様である。

 地球の気象に与える影響や温暖化に関すること、海流、深層海流、表層に住む魚類などの生物や深海に住む特殊な生物、地震の原因であるプレートの調査、海底火山、海底鉱物資源、海底ケーブル、海底通信、深海調査技術、超臨界流体、メタンハイドレートなどなど不思議なことがたくさん残されている。これらを解明していくのが科学の役割である。

 子供達と行って半日楽しんだ。ただし、場所が横須賀市夏島町にあり、近くに駐車場はない。バスで行くのだが本数が少ないので、下調べが必要だ。夏休み以外に個人でも申し込めば見学することができる。ホームペ−ジはこちら → http://www.jamstec.go.jp/j/


 今日は深海について調べてみよう。


 深海とは?

 深海(しんかい)とは、普通、海面下200 m 以深の海を指す。

 深海には太陽光がほとんど届かないため、表層とは環境や生態系が大きく異なる。高水圧・低水温・暗黒などの過酷な環境条件に適応するため、生物は独自の進化を遂げており、表層の生物からは想像できないほど特異な形態・生態を持つものも存在する。また、性質の相異から表層と深海の海水は混合せず、ほぼ独立した海水循環システムが存在する。


 海の平均水深は?

 地球の海の平均水深は約3,800 m であり、深海はその約95 % を占める広大な世界である。海の大部分は深海であると言っても過言ではない。それにもかかわらず、巨大な水圧のため、そのほとんどは未踏の領域であり、いまだ未知の部分が多い。深海を探索できる有人潜水艇は世界に数えるほどしかなく、人類が海の最深部に到達するのは宇宙に行くよりも困難とされている。深海が地球最後のフロンティアと呼ばれる所以である。


 深海の構造

 深海は鉛直方向に次のように区分される。
中深層 200 - 1,000 m、漸深層 1,000 - 3,000 m、上部漸深層 1,000 - 1,500 m、下部漸深層 1,500 - 3,000 m、深海層 3,000 - 6,000 m、超深海層 6,000 m 以深、水深4,000 〜6,000 m には地球の表面積のほぼ半分を占める広大な深海底が存在し、ここまでを深海帯としている。これより深い超深海帯は主に海溝と呼ばれる領域であり、深海全体に占める割合はわずかである。


 世界最深部は何m?

 世界最深の海底は、西太平洋のマリアナ海溝・チャレンジャー海淵で、海面下10,920±10 m である。


 深海の水温は?

 上部漸深海帯では水温が急激に降下し、下部漸深海帯ではさらにゆるやかに下降する。深海帯では水温はほとんど変化しない。海水は純水よりも凝固点が低いため、0 ℃ でも凍らず、深海帯では水温が-2 ℃ 程度で一定になる。


 深海の水圧は?

 水中の物体にはその上にある水の重さの分だけ圧力がかかる。これを水圧と呼んでいる。水深が深くなればなるほど大きな水圧がかかることになり、潜水艇など気体を含んだ物体は押し潰されやすくなる。10m潜るごとに1気圧増える。10000mでは1000気圧にもなる。


 太陽光はどこまで届く?

 太陽の光は水深200 m より深い所にはほとんど届かず、したがって植物プランクトンは光合成ができない。しかし水深1,000 m 程度まではわずかながら太陽光が届いており、深海の生物はそれを感覚できる大きな目をもつものが多い。


 深海に分布する海水

 深海には深層水と呼ばれる、表層とは違った物理的・化学的特徴を持つ海水が分布する。表層と違い風の影響を受けないが、地球上の2箇所(北大西洋のグリーンランド沖と南極海)で形成される深層水(北大西洋深層水と南極低層水)は熱塩循環によってゆっくりと世界中の海洋を移動している。

また、北太平洋には深度数百 m に北太平洋中層水と呼ばれる海水が分布することが分かっている。


 生物

 深海では、いわゆる深海魚など表層とは全く異なった形態や生態をもつ生物が多く生息する。しかし深海生物は現代では意外と身近な存在でもある。サクラエビ、ヒゲナガエビ、ホッコクアカエビ(アマエビ)、タカアシガニ、ズワイガニ、タラ、キンメダイ、アコウダイ、メルルーサなど、漁具や冷凍・運搬技術の発達により、食用として流通するようになった深海生物は枚挙にいとまがない。

 太陽光の届かない深海では、光合成をする生物は生存できない。水深400 m 以深では太陽光がほとんど届かなくなり、さらに水深600 〜1,000 m 付近では酸素極小層(溶存酸素量が極端に少ない層)ができる。これは上層から降下してくる有機物を細菌が分解する時に、水中の溶存酸素を使うため、この深度では酸素が使い果たされてしまうのである。酸素極小層ではさすがに生物の姿もまばらになるが、ここを過ぎると溶存酸素量がわずかながら増え、生物の密度もわずかに上がる。

 深海には光が到達しないため、光合成は行えない。したがって生物群集において生産者を欠くことになる。そのため、より浅い部分での物質生産に依存するものと考えられている。すなわち、浅海での生産物が深海生物に利用されている。その方法には大きく二つある。

 一つは深海生物が浅海に行って採餌を行うことで、ハダカイワシなど多くの深海魚が夜間により浅い水域に移動して採餌を行っていることが知られている。

 もう一つは浅海での生物遺体や排泄物がデトリタスなどの状態になって沈んでゆき、それが深海生物の餌となるものである。深海では水中に雪のように漂うマリンスノーが見られるが、これもその例である。また、まれにクジラの死体が深海底に沈み、多くの動物の餌となっていることも知られている。


 化学合成生態系

 深海での食物連鎖は、海の表層から降下してくる有機物に依存するところが大きいと思われていたが、1970年代から各国で進められている深海探査により、深海には太陽エネルギーに頼らない独立した生態系が存在することが明らかになった。この生態系を化学合成生態系という。

 海嶺や海底火山の周囲にある熱水噴出孔では、300℃以上もの熱水が噴き出している。その周囲には熱水中に含まれる硫化水素をエネルギー源にして生存する化学合成細菌が繁殖している。これらを体内に共生させるチューブワーム(ハオリムシ)やシロウリガイ、細菌を餌にするカイレイツノナシオハラエビ、さらにそれらの生物を餌にするイソギンチャク、シンカイコシオリエビ、ユノハナガニ、ゲンゲなどが世界各地の熱水噴出孔で次々と発見され、世界中を驚かせている。

 生物の生息密度は、ふつう沿岸から離れた深海ほど低くなるが、熱水噴出孔の周囲は浅い海もかくやというほどの高密度で生物が生息しており、まさに生命の神秘をうかがわせる。


 深海探査

 新たな水産資源や鉱物資源を深海に求める機運もあり、1970年頃から各国が深海探査に乗り出すようになった。これまでに新種の生物やメタンハイドレート、マンガン団塊などが次々と見つかっているが、まだまだ深海は人類にとって宇宙と同じく未知の世界といえる。


 各国の所有するおもな深海探査艇


 しんかい6500

 日本の所有する有人深海探査船は「しんかい2000」と「しんかい6500」である。「しんかい2000」は2003年に引退し、現在は「しんかい6500」だけが稼動している。

「しんかい6500」はその名のとおり水深6,500 m までの潜航が可能である。3名搭乗できるが、うち2名はパイロットで、オブザーバー(深海調査を行う学者)は1度に1名だけ搭乗する。およそ秒速0.7 m で潜水し、水深6,500 m まで2時間ほどで到達する。一度の深海探査は9時間程度である。


 かいこう

 同じく、日本の所有する無人深海探査機(直接の搭乗員はおらず、母船とはケーブルで繋がった状態で深海探査を行う)としては「かいこう」・「UROV7K」・「ディープ・トウ」・「ハイパー・ドルフィン」・「うらしま」などがある。このうち、もっとも深く潜航できるのが「かいこう」である。

 「かいこう」はもともと、「ランチャー」という親機と「ビークル」という子機からなっていた。これら二つが繋がった状態で水深7,000 m まで潜航し、さらにビークルを分離することで、世界のどの探査機より深い水深11,000 m まで潜航することができた。しかし2003年にケーブルが切れ、ビークルを失う事故が発生した。このため現在は別の無人探査機「UROV7K」を改造してビークルの代用に充てている。なお「UROV7K」の潜航深度が7,000 m であるため、現在は「かいこう7000」として運用中である(※)。また7,000 m であっても潜航深度としては世界のどの探査機よりも深い。

※「かいこう」ランチャー自体は現在も11,000 m まで潜航可能であるが、ランチャーには探査機能がないため。


 アルビン

 アメリカ合衆国が所有するアルビン号は、水深4,500 m まで潜航できる有人深海探査船である。3名搭乗できるのはしんかい6500と同じだが、内訳はパイロット1名、オブザーバー2名である。

1964年完成の古い探査船だが、いまだに現役で、これまでに数々の発見をしてきた。世界中の深海探査船の潜水時間を合わせてもアルビンの潜水時間に及ばない。


 ミール

 ミールといえばロシアがかつて所有していた宇宙ステーションが有名だが、ここで挙げるのは同名の有人深海探査船である。アルビンと同じく6,000 m まで潜航でき、深海に沈むタイタニック号を撮影したことでも知られる。



ジェームズ・キャメロン 深海への挑戦 (字幕版)
クリエーター情報なし
メーカー情報なし
深海 未知なる海の宇宙 [DVD]
クリエーター情報なし
竹緒

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please