浮沈子

 「浮沈子」という不思議なおもちゃがある。水で満たしたペットボトルの中に重さを調節して、ぎりぎり浮く「ウキ」をつくり、ペットボトルのフタをして密閉する。

 外部から、ペットボトルを強く手で圧迫すると、不思議なことにその「ウキ」は沈む。そして手を離すと「ウキ」は浮上する。このように浮いたり沈んだりするので「浮沈子」という。

 「浮沈子」はなぜ浮いたり沈んだりするのだろうか?

 水の中では空気の中とは違って不思議な現象が見られる。この「浮沈子」もそのうちのひとつである。浮沈子が浮いたり沈んだりする理由は、アルキメデスの原理とパスカルの原理が関係する。



 浮沈子の原理
 物体が水中に入ると、その物体が押しのけた水の重さと同じ力を浮力として受ける(アルキメデスの原理)。そして、物体の重さ(重力)とその物体の浮力がつり合っていれば水中で止まる。もし浮力の方が大きければ浮き、重力の方が大きければ沈むわけである。

 では浮沈子はなぜ浮いたり沈んだりするか?重力が変わるか浮力が変わるかどちらだろう?正解は浮力が変わるからである。その物体にはたらく、地球の重力が変わるはずはない。浮力の方が変わるのである。

 浮力はその物体の押しのけた、水の重さ(重力)と同じ大きさであるから(アルキメデスの原理)、物体が大きくなれば浮力は大きくなり、物体が小さくなれば浮力は小さくなる。

 「ウキ」をペットボトルに入れて密閉し、手で圧力を加える。水に圧力を加えるとこの圧力はどこにでも同じ大きさで伝わる(パスカルの原理)。「ウキ」にはまわりから同じ大きさで圧力がかかる。このため「ウキ」は押し縮められる。このため浮力は小さくなるのである。

 これはカップヌードルの容器を深い海に沈めると、カップヌードルが小さくなる実験を思い出すとよくわかる。圧力により物体は押し縮められるのだ。これが浮沈子が浮いたり沈んだりする理由である。

 今日は水の中の不思議な法則「パスカルの原理」と「アルキメデスの原理」について調べる。 (参考HP Wikipedia)


アルキメデスの原理とは?

 アルキメデスの原理は、アルキメデスが発見した物理学の法則。水中の物体は、その物体がおしのけた水の重量だけ軽くなる、というものである。


 アルキメデスの原理発見のエピソード

 この法則が発見されるまでの故事が、古代ギリシャでは伝説として残っている。 シラクサの僭主ヒエロンが金細工師に金を渡し、純金の王冠を作らせた。

 ところが、金細工師は金に混ぜ物をし、王から預かった金の一部を盗んだ、といううわさが広まった。そこでヒエロンはアルキメデスに、王冠を壊さずに混ぜ物がしてあるかどうか調べるように命じた。

 アルキメデスは困り果てたが、ある日、風呂に入ったところ、水が湯船からあふれるのを見て、その瞬間、アルキメデスの原理のヒントを発見したと言われる。このとき浴場から飛び出たアルキメデスは「ヘウレーカ(ΕΥΡΗΚΑ)、ヘウレーカ」(分かったぞ)と叫びながら裸で走っていったという伝説も残っている。(もっとも、この時代のギリシアでは奴隷が裸で労働していたため、男性が裸でいるのは別に珍しくなかった。)


 アルキメデスは金細工師に渡したのと同じ重量の金塊を用意し、金塊と王冠のそれぞれを、ぎりぎりまで水を張った容器に入れた。すると、王冠を入れると、金塊を入れたときよりも多くの水があふれ、金細工師の不正が明らかになった。金細工師の名は知られていないが、その後死刑になったと伝えられる。


 パスカルの原理とは?

 パスカルの原理(Pascal's principle)とは、一定の容器内部に非圧縮性流体を満たしてある面に圧力をかけたとき、重力の影響が無ければ、つまり液面から同じ深さの地点同士ならばそれらの点には等しい圧力が加わるという原理。

 たとえば、下図のようなU字型の管を用意して水を注ぐと2つの水面ができる。一方の水面に押し下げるように圧力を加えると、もう一方の水面にも同等の圧力が加わる。この例では水面を固定していないので、圧力にしたがって水面が押し上げられる。



 均等な圧力がかかることを応用して、小さな力を増幅する装置を作ることができる。上図の装置で、左側の広い水面の面積は右側の水面の2倍であるとする。右側のピストンに大きさNの力を加えると、水面に圧力Pが及ぼされるとする。パスカルの原理に従い、圧力は液体全体に均等にかかるので、左側の水面にも圧力Pがかかる。ただし、左側の水面は2倍の広さなので、ピストンが受ける力(圧力×面積)も2倍で2Nとなる。つまり右側のピストンに加えた力を2倍に増幅できたことになる。 



「浮力」のふしぎ―うく・しずむ (ひとりできる楽しい実験―たしかめようかがくのふしぎ)
ジャック チャロナー,佐々木 勝浩
鈴木出版

このアイテムの詳細を見る
みんなで実験楽しく科学あそび〈8〉うかせてあそぼう
牧 衷,関戸 勇
偕成社

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please