人工衛星の軌道には3通りあって低軌道衛星、中軌道衛星、静止軌道衛星の3つある。低軌道は通常、地球表面からの高度350 kmから1400 kmの場合が多い。これに対し、中軌道は1400 kmから36 000 km未満、静止軌道は36 000 km前後である。地球低軌道衛星は、約8 km/sで飛行し、1回の周回に約1.5時間を要する(高度約350 kmの例)。

 低軌道衛星の中には、偵察衛星がある。偵察衛星は光学機器や電波などを用いて地表を観察し、地上へ知らせる軍事目的の人工衛星である。軌道が低く、地上に近ければ近いほど、地表の様子がよくわかるしくみである。最新の技術では解像度が10cmであり、これは地表にいる人物がだれだか特定することも可能なほどの精度である。

 今回、日本のJAXAでは上空180kmというこれまでにない低い高度を回る新型の観測衛星の開発に乗り出すことになった。3年後の打ち上げを目指すという。開発の理由は「超低高度なら、高倍率のカメラを搭載しなくても、地表や気象の観測が可能になり、大幅なコスト削減につながる。」ということだそうだが、果たしてそれだけだろうか?



 3年後打ち上げ目標、上空180キロ「超低空衛星」開発へ

 上空180キロというこれまでにない低い高度を回る新型の観測衛星の開発に、宇宙航空研究開発機構(立川敬二理事長)が乗り出すことが27日わかった。超低高度なら、高倍率のカメラを搭載しなくても、地表や気象の観測が可能になり、大幅なコスト削減につながる。宇宙機構は既に特別チームを設置、3年後の打ち上げをめざしている。

 新衛星は、太陽電池を側面にはりつけた形で、長さ約3メートル、重さ400〜600キロの小型。衛星は通常、高度500〜1000キロを回り、推力は持たないのが一般的。ロケットで打ち上げた勢いで、慣性飛行を続ける。

 高度180キロでは、わずかな大気の抵抗があり、普通の衛星だと推力を失い、2〜3日で地球の大気圏(高度約100キロ内)に突入する。新衛星はこの課題に対し通常のロケットエンジンの10倍の性能を持つ「イオンエンジン」を搭載して高度を維持し、3年以上も周回できるという。

 イオンエンジンは、小惑星探査機「はやぶさ」でも高性能が実証された宇宙機構の独自技術。超低高度なら小型カメラでも十分機能する。また、レーダーを搭載すれば、少ない電力で高い解像度を持つ観測衛星になるという。

 費用は搭載機器にもよるが、コストは従来の衛星の3分の1〜5分の1に抑えられると宇宙機構ではみている。3種類の大型センサーを搭載した観測衛星「だいち」は550億円の開発費がかかっている。

 日本の衛星は高度600キロ以上を周回。国際宇宙ステーションでも330〜480キロ程度。来年、欧州宇宙機関が高度225キロを回る衛星を打ち上げる予定だが、宇宙機構の新衛星は、それをしのぐことになる。(2007年10月27日  読売新聞)


 人工衛星の軌道とは?

 低軌道(low orbit): 低軌道は、人工衛星などの物体のとる衛星軌道のうち、中軌道よりも高度が低いもの。地球を回る低軌道を地球低軌道 (low Earth orbit、LEO) と言う。通常は地球表面からの高度350 kmから1400 kmの場合が多い。これに対し、中軌道は1400 kmから36 000 km未満、静止軌道は36 000 km前後である。地球低軌道衛星は、約27400 km/h(約8 km/s)で飛行し、1回の周回に約1.5時間を要する(高度約350 kmの例)。

 大気のある天体では、低軌道より低い軌道は安定せず、大気との摩擦抵抗で急激に高度を下げ、やがては大気中で燃え尽きてしまう。低軌道は、これより高い軌道へ向かうための踏み石ではあるが、それ自身、地球に接近しているという点で非常に有益なものであり、次のような利点がある。

 低軌道に衛星を投入するほうが少ないエネルギーで済むため、小型のロケットで打ち上げ可能である。リモートセンシングでは、地表との距離が近いので画像などの分解能が向上する。

 通信衛星では、送受信機の発生電力がより少なくてすむ。 反面、衛星が常に移動しているため、通信衛星は連続的な通信を提供するため複数衛星からなるネットワークが必要とされる。(衛星コンステレーション)

 低軌道の環境は、少なからぬ数のごみ(スペース・デブリ)で混雑が進みつつあり、北アメリカ航空宇宙防衛司令部 (NORAD) では、直径10 cm以上ある低軌道上の物体を8000以上も追跡している。

 低軌道の高度においては、重力そのものは地球表面よりさほど小さいわけではないが、軌道上にある物体や人間は無重量状態にある。


 中軌道(Medium Earth Orbit)とは?: 中軌道とは、低軌道(高度約1,400km以下)と静止軌道(高度約36,000km)の中間に位置する人工衛星の軌道の総称である。ICO(Intermediate circular orbit)という言い方もあるが、これは後述の企業名でもある)。

 GPS衛星は高度26,561km(周期は恒星時で12時間)の中軌道の衛星コンステレーションを使用する。

 中軌道を使った通信システム
 中軌道では、地表との距離が長くなるため、リモートセンシングには不利であるが、全地球でのカバレージを確保するための衛星個数が低軌道より削減できるため、中軌道衛星コンステレーションを使った衛星電話および通信システムが提案されている。

 静止衛星(せいしえいせい)とは?
 静止衛星は、人工衛星の一種。赤道上空の高度約35,786kmの円軌道を、地球の自転と同じ周期(角速度)で公転している衛星のことを指す。このため地上からは、空のある一点に静止しているかのように見える。このような性質から、放送衛星・通信衛星・気象衛星などに用いられる。1963年7月にアメリカ合衆国が打ち上げた通信衛星・シンコム2号(Syncom-2)が世界初の静止衛星である。

 静止衛星の軌道を静止軌道とよぶ。実際には、地球の重力場が一様ではない事と、太陽や月の引力の影響があるため、静止衛星の位置は少しずつずれてゆく。それを補正するために静止衛星は定期的に軌道制御をする必要がある。軌道制御には東西方向の制御と南北方向の制御がある。軌道制御を怠ると、傾斜軌道となる。東西方向には、アジア付近の場合、インド洋方向に力が働いている。

 衛星の実際の寿命は概ね燃料で定まり、寿命末期には静止軌道からさらに高度の軌道に上昇させ廃棄し、軌道を空けることが国際条約により定められており従前のように、廃棄された衛星が大気圏で燃え尽きたり、地上に落下することは稀有となった。

 静止軌道衛星を使ったアイデア
 静止軌道上は、静止衛星が世界各国で打ち上げられて同じ軌道上に並ぶ為、人工衛星の過密地帯になっている。以前は衛星ごとに経度2度分の間隔を空けることになっていたが、現在は同一経度に複数の衛星が投入されて運用されるようになっている。軌道投入時には特に注意を要する。衛星の軌道割り当てに関しては国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)が調整を行なうことになっている。二つの国が同一経度に静止衛星を投入した場合、最初にITU-Rに通報した国の衛星が優先される。通信衛星の場合、電波干渉の問題が調整できれば、同一軌道にて複数国の衛星が運用されることもありうる。

静止衛星とそれを利用した衛星通信のアイデアは、SF作家のアーサー・C・クラークが1947年に最初に着想した、と言われている。彼は後に、この件で特許を取らなかったことを「失敗だった」と語った。またクラークは1979年に、静止衛星から地球上にケーブルを垂らして荷物を持ち上げる軌道エレベーターを題材にした(アイデア自体は彼の物では無いが)SF小説『楽園の泉』を発表している。
 

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