薬品棚の古い薬品

 職場の薬品棚には、古くていつからあるのかわからない薬品がたくさん置いてある。名前も聞いたことのないものもある。何かの実験に使ったのだろう。しかし最近は使われていないようだ。

 今日はそんな薬品の中から「サッカロース」について調べる。

 「サッカロース」というと?の人も「ショ糖」というとわかるのではないだろうか?「ショ糖」といってわからない人も「砂糖」というとわかるだろう。砂糖の主成分がショ糖である。ショ糖(蔗糖、しょとう)は代表的な二糖類の一つで、単糖であるグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)から構成されている。

 ショ糖は脳が疲れたときによいといわれる。これは生物体内ですぐ分解されて生じるブドウ糖が、脳活動のエネルギー源としてすぐに供給されるためである。ショ糖を酵素的に分解してできる果糖とぶどう糖の混合物(転化糖)は、砂糖より甘みの強い甘味料として使われる。

 デザートやお菓子に人気のキャラメル味。これはカラメルともいうが、「カルメ焼き」というお菓子にも使われていて、理科の実験としてもよく出てくる。他にはコーラのような飲料の風味付けやプリンのシロップにも使用される。また、食品の着色料としても使われる。着色料の場合、カラメル(カラメル色素)という呼び方をされることが多い。

 キャラメルは砂糖を170度までゆっくりと加熱するとできる。砂糖が溶け、この温度に近づくと、分子が揮発性の化合物に破壊され、キャラメルの色と香りの特徴が生まれる。 

 サッカロースとは何か?

 サッカロースはスクロース (sucrose)やショ糖(蔗糖、しょとう)とも言われる代表的な二糖の一つで、単糖であるグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)から構成されている。実験式はC12H22O11。式量は342.30。

 スクロースは、グルコースとフルクトースがグリコシド結合した二糖類である。グルコースのアルデヒド基とフルクトースのケトン基が共にグリコシド結合のため酸化されず、糖類では例外的に還元性を持たない。

 スクロースは、共有結合性化合物である。一般にはサトウキビや、サトウダイコンから抽出し純度を高め、結晶化したものである。その他に商業上、比較的重要ではない原料として、ソルガムとサトウカエデがある。 純粋なスクロースは、先進国における主要な甘味料であり、砂糖の主成分である。

 ネコ科以外の哺乳類は、例え空腹でなくてもスクロースで甘みを付けた食物を喜んで摂取する。加工食品やジャンクフードにはたいていスクロースが添加されている。 スクロースは、小腸に存在する消化酵素(スクラーゼ、別名インベルターゼ)によりグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に加水分解され(転化糖)、小腸で吸収されて血流に入る。

 また約170度に加熱すると、カラメル(キャラメル)と呼ばれる褐色の物質に変化する。カラメル自体が食用になり、カスタードプディングなど調理にも有用である。

 砂糖が健康に悪い理由?

 スクロースは、健康に悪影響を及ぼすことがある。その代表的なものは虫歯である。口腔内の細菌がスクロースを材料としてエナメル質や象牙質といった歯質を破壊する酸を産生するためである。特に甘味を求め、スクロースの摂取量が増加し、なおかつ口腔内の清掃が比較的行き届いていない子供において問題となる。

 また、一般にスクロースはカロリーが高く、肥満の原因になり、糖尿病患者はスクロースの摂取を制限しなければならないという説があるが、食物中の炭水化物の総量のうちスクロースの占める割合はごく一部に過ぎないのでスクロースのみを制限しても意味は無い。

 逆にスクロースで180g程度以上を一度に摂取すると健常人であっても一過性の糖尿を生する。この量は、食品成分表のコーラ・缶コーヒー等に示される量を基にすると2.5リットル前後の量(約1100kcal)に相当する。

 上記のような健康への影響からスクロースを避けたいというニーズに応えるため、代用甘味料がいくつも開発されてきた。しかし、例えばアスパルテームは加熱することで甘みが低下するなど、調理用に砂糖の代替として利用するのが難しいものがある。また、他の健康上の問題をも引き起こすものもあり、その安全性が疑問視されている。

 そもそも「糖質」とは何か?

 身体のエネルギー源として不可欠な糖質。砂糖は正確にはショ糖と呼ばれる糖質のことだ。その最も小さい単位を単糖類と呼ぶ。ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)とガラクトースの3つがある。これらが2つつながったものが二糖類で、ショ糖(スクロース(またはサッカロース)=ブドウ糖+果糖)、乳糖(ラクトース=ブドウ糖+ガラクトース)、麦芽糖(マルトース=ブドウ糖+ブドウ糖)などがある。

 3つ以上がつながったものは多糖類。オリゴ糖やデンプンなどがある。

 食べた炭水化物は体内の酵素の働きで単糖類にまで分解されて、小腸から吸収される。そこから血液によって肝臓に運ばれ、ここで果糖やガラクトースはブドウ糖に変えられる。

 肝臓にグリコーゲンとして貯えられたり、脂肪やたんぱく質の素となるアミノ酸の合成材料になったり、血糖として体のあちこちに運ばれたりする。その後脂肪組織に取り込まれた血糖はそこで脂肪になる。また、筋肉組織に取り込まれた血糖はグリコーゲンとして貯えられ筋肉が活動するときのエネルギー源となる。グリコーゲンは貯えられる量が決まっているので、余分な糖質は脂肪となる。これが“食べ過ぎ”で人が太る仕組みだ。
 砂糖は絶対必要なものだろうか?
 じつはこの点が科学的に完全に明快になっているわけではない。言えることは、糖質は必須だが、現在の日本人の平均的な食事を考えると、いわゆる三大栄養素(炭水化物、脂肪、蛋白質)をむしろ多すぎるほど摂っているので(特に油脂)、最終的には炭水化物を適量とってさえいればブドウ糖が不足することはないので(それが不足すると体脂肪や体蛋白質を分解してエネルギー源に変える回路が作動する)、あえて砂糖で糖分をまかなう必要はないのではないだろうか。
 ブドウ糖をエネルギー源として必要とするのは、脳、副腎皮質、赤血球、精巣、骨格筋である。脳は体重の2%を占めるのみだが、エネルギーの約20%を使う。絶対安静を保っていると、ブドウ糖の70〜80%は脳で使われ、残りは主に赤血球で使われる。
 脳が使うエネルギー源のブドウ糖は1日当たり約120g。他の臓器なども含めて1日に必要なブドウ糖の量は約150gといわれている。体内でのブドウ糖の生成能力は(貯蔵したグリコーゲンや体蛋白質からの分をすべてあわせて)1日120〜130gが限度だという説があるが、これが本当だとして、150g−120g=30gほどのブドウ糖を補給しなかればいけなくなる計算だ。

 

甘さと権力―砂糖が語る近代史
シドニー・W. ミンツ,川北 稔,和田 光弘
平凡社

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砂糖の科学 (シリーズ 食品の科学)
橋本 仁,高田 明和
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