今までは、脳梗塞や心筋梗塞というと死を覚悟せねばならばい病気だった。ところが最近の医療技術では、神経細胞や心筋細胞を再生させる治療に成功している。
それは1つの発見であった。マウス実験で骨髄幹細胞を腰の骨髄から抜き出し、培養してから体内に戻すことで、神経細胞や心筋細胞が蘇ったのだ。
何と簡単なことか!今まで、再生医療というとES細胞を外で神経細胞や心筋細胞に育ててから移植するものとばかり思っていたが、制約のあるES細胞と違って、ほぼ無限に増やせる自分の骨髄幹細胞を使えば再生医療ができることになる。
今年1月、札幌医科大学附属病院脳神経外科で脳梗塞患者の脳神経を再生させる試みが始まった。骨髄幹細胞を増やして、体内に戻すと、傷ついた神経細胞を修復させることができた。当初まったく動かなかった左手が、しだいに動かせるようになり8ヶ月後退院することができた。
ドイツでは冠動脈が閉塞したため、心筋梗塞を起こした患者が、血管を広げてから骨髄幹細胞を濃縮して冠動脈に流すと、数ヶ月後壊れた血管を修復し、死にかけた心筋細胞が蘇った驚くべき発見と成果である。(参考HP NHKスペシャル)
関連する番組
「眠れる再生力を呼びさませ 〜脳梗塞(こうそく)・心筋梗塞(こうそく)治療への挑戦〜」(NHKスペシャル 2007.11.05)
両生類のイモリは、足を失っても再生できる驚異の力を持っている。一方、人は、進化の過程でこうした再生力を失ったと考えられてきた。しかし今世紀に入って急速に研究が進み、人にも秘められた再生力があることがわかってきた。
今年1月、札幌医科大学附属病院脳神経外科で、日本で初めての治療法の臨床試験が始まった。それは、脳梗塞で傷ついた脳の神経を、自らの細胞で再生させようという試みである。
その再生治療に使われるのは、患者本人の骨の中にある骨髄の細胞である。骨髄の幹細胞と呼ばれる細胞を体内から取り出し培養、患者の血管に注入すると、傷ついた脳の神経が再生するというのである。番組では、この臨床試験に挑んだ脳梗塞患者を8ヶ月に渡って取材。左半身に運動マヒを抱えた患者が、今までの治療では考えられない回復を続けている様子を描く。
また、自らの骨髄の細胞を使った再生治療は、脳だけでなく心臓でも始まっている。ドイツでは心筋梗塞患者が骨髄の細胞で治療を行い、傷ついた心筋細胞が復活し、スポーツが出来るまでに回復している。
医療を根本的に変えると言われる再生医療。札幌医科大学では、脳梗塞治療に挑む臨床試験を密着取材、ドイツでは心筋梗塞治療に挑む臨床試験を追い、人体に秘められている再生力の可能性に迫る。
再生医療とは?
再生医療とは、事故や病気で失われた自らの皮膚、臓器、骨、脳の神経、心臓の細胞などのあらゆる部分を、自分の体の細胞を使って増殖させ、再生や機能の回復を目的とした医療を意味します。
遺伝子には体をつくるあらゆる情報が記録されおり、自分自身の体の細胞をとりだして、特殊な条件で培養することにより、再び細胞増殖の指令が出され、皮膚、心臓や肝臓といった臓器、手や足などさまざまな組織、器官をつくることができます。自分の細胞を利用した場合には、拒絶反応も少なく、体への負担を最小化すると共に、より自然な元の状態へ修復出来る可能性があります。
脳を再生する有力な方法の一つと考えられているのが、骨の中にある骨髄液から「骨髄細胞」を取り出し、これを体内に再び入れるという方法。札幌医科大学のチームは、体内に入った骨髄細胞が神経幹細胞に変化し、脳を再生させる働きを持つことを明らかにした。動物実験では、記憶や運動能力も回復することが確かめられ、人間での臨床試験にも成功した。
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コメント一覧 (7)
「大和さんざん」さんへ<br>
お父様の具合はいかがですか?<br>
最近、脳梗塞は発症から3時間以内なら薬による有効な治療ができるはずですが…。<br>
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残念ながら、私はご希望の医療機関についてはよく分かりません。骨髄幹細胞治療は始まったばかりの治療ですから、直ぐに全国の病院で治療を始めるのは難しいのでは…と思います。でも、脳梗塞になっても早期にリハビリを始めれば、かなりの回復が期待できるはずです。希望の病院が見つかるのが一番ですが、もしなかなか見つからなかったら、とりあえず積極的にリハビリを行っている病院を探しましょう。<br>
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NHKでつい最近「闘うリハビリ」という特集がありました。ごらんになりましたか?(NHKのホームページに少しは情報があるかもしれません。)<br>
全国には300万人も脳卒中の患者さんがいるそうです。そして、リハビリで回復する可能性も高くなっているようです。<br>
実は、私の子供は生後まもなくに3回くも膜下出血発作を起こして、半年ほど生きるか死ぬかの大騒ぎをしました。3回目は脳梗塞と水痘症も併発し、病変が脳の真ん中にあったため1ヶ月間殆ど治療もできず、頭がパンパンに腫れてモウロウとした状態のまま寝かされていました。<br>
普通の大人だったら殆ど助かりませんが、大手術をしてなんとか生き残りました。命を救ってくれる医師を見つけるまでは、まるで地獄に突き落とされたような怖ろしい戦いの日々でした。<br>
そして‥‥退院後はずっとリハビリ生活が続いています。多分一生続けるのです。<br>
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リハビリというのは、「これだけやったら、これだけの効果がある」というものではありません。(効果のほどが、一人一人違うからです。)真っ暗なトンネルの中を、明るい出口があることを信じて、ひたすら前へ前へと進んで行かなければならない孤独な旅のようなものです。<br>
でも大人の場合は沢山の症例がありますから、専門家の言うとおりにリハビリを進めていけば必ず結果がでてくると思います。その意味では、おおいに希望がもてる旅路です。<br>
しかし発作の直後の患者さんは、体が不自由になってしまったショックで、きっと真っ暗闇の中にいるように感じているでしょう。リハビリの効果が多少出てくるまでは、家族の方が皆で暖かく見守り、支えてあげることが必要だと思います。<br>
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たいしてお役に立たない情報で申し訳ありません。<br>
でもリハビリ科の医師の話では、骨髄幹細胞による治療が行われたとしても、その後には必ずリハビリをやるのだそうです。<br>
「大和さんざん」さんのお父様が、ご家族の方々の納得できる治療をうけて、1日も早く回復されることを祈っています。<br>
2月20日 父親が脳梗塞で倒れました。<br>
年齢は60歳で、これから第2の人生を楽しむ筈が・・・<br>
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治らない病気と思い家族みんなが落ち込んでおりました。しかし、なんとか病状回復出来ないかものかと、ネットで検索していました。<br>
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掲題のとおり、骨髄幹細胞で脳梗塞回復と見出しを発見しました。 <br>
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現在、奈良在住です。出来れば関西で、骨髄幹細胞治療可能な医療機関ご存じの方いらっしゃいませんでしょうか。<br>
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宜しくお願い申し上げます。<br>
今日は前1度コメントしましたが長崎市内の脳外科に2,3回尋ねしましたが今の所開発中だから申し込みは出来ないとの事ですが京都大学万脳細胞再生研究チームに診察して頂きたいのです直接申し込みして下さいとのことですが、お願いします
オシム監督もこの治療を受けているのでしょうか???
番組を見ました。 正直言って 「 簡単・すごい 」の一言(二言か・・)です。一回の治療で これだけの効果があるのなら 2回、3回やればうまくいけば 殆ど元通りにまで回復する事も 期待出来そうです。<br>
骨髄を採取する事自体は 簡単な手技で 問題は培養して増やすのに掛かる費用でしょうが ベンチャー企業が乗り出して 効率的にやりだして 百万円程度で一回の治療が 可能になれば たとえ保険が利かず 自己負担となっても希望者は 多数居るでしょう。<br>
寝たきり状態になって 一年間で 3〜400万円の医療費が 死ぬまで掛かり続ける事を考えれば 安いものです。<br>
今、小生は老人病院に勤務していますが 長期入院の患者の5割か それ以上は 脳梗塞で 寝たきりか 半身麻痺かが占めています。もし アルツハイマーの脳萎縮にも 効果があるなら・・・長期入院の 大半が一掃される時代がくるかも・・・
こんにちは、NHKスペシャル、私も見ました。<br>
骨髄幹細胞による再生医療で、脳梗塞で傷ついた脳の神経の再生・心筋梗塞の治療に良い結果が出たようだ。<br>
ところで、生後まもなく受けた脳障害により、未発達の脳神経が傷ついた場合は、どうだろうか?<br>
現在の医療では、脳性麻痺に対しては、症状を軽くできるものの根本的な治療法はない。<br>
脳性麻痺は、たぶん脳全体の神経回路が変な形で繋がってたり、正常な働きをしないわけで、上記の脳梗塞や心筋梗塞とは状況が全く異なるのだろう。<br>
しかし、もしかしたら、ダメージを受けた直後や早い段階でこの骨髄幹細胞による治療を受けたら、正常な発達が期待できるかもしれない。<br>
未熟児で生まれ脳性麻痺となる子供は、毎年生まれてくるし、新生児仮死、低酸素状態で生まれたり、脳血管障害の後遺障害で脳性麻痺や発達障害となる子供もいる。<br>
もし可能性があるのなら、なるべく早く、研究をしてほしい。<br>
ところで・・・骨髄幹細胞を送り込まなくても乳児にはある程度の再生能力がある。大人なら死んでしまうような脳のダメージを受けても、脳の他の部分が代わりに働いたり、血管を新生したりして、生きていくのだ。<br>
要するに、脳や脳細胞全体の再生能力が高い。<br>
けれどもその効果は骨髄幹細胞よりも緩慢であるだろう。<br>
骨髄幹細胞は万能なのか? <br>
送り込まれた場所で異常な働きをしている神経細胞に対して何かをしてくれるのだろうか?<br>
脳性麻痺の根本的な治療については、誰も研究をしていない。脳性麻痺は「治らない病気」なのだ。<br>
(脳外科的な神経縮小術、整形外科的な手術により、症状を軽くする治療は最近始まっている。)<br>
私は、誰も研究してくれない脳性麻痺の根本的な治療法を探し求めて、孤独な旅(学習)をしている。乏しい知識の中で、「脳神経の移植」になんとなくわずかな希望をもっていたが、骨髄幹細胞に、また少し新しい希望が膨らんでいる。<br>
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●脳性麻痺とは‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥<br>
脳性麻痺とは児がお腹にいるときから出生直後(4週まで)の間に起きた脳の病変による運動の異常と定義されています。<br>
脳性麻痺は「赤ちゃんに起きた脳卒中」と考えても大きな間違いではありません。ほとんどの脳性麻痺は脳血管性のものです。このような脳性麻痺では脳室周囲の白質と呼ばれる部分が壊されますが、ここは運動神経が通過する場所であることから、運動麻痺をきたします。脳性麻痺が脳卒中と異なる点は、それが発達途上にある赤ちゃんに起こったことにあります。(宮城県拓桃医療療育センター ホームページより)<br>
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脳の一部が壊れ、手足やからだの一部または全体が麻痺した状態を脳性麻痺と言います。からだ全体が麻痺し、ものを食べたり、飲み込んだり、息をしたり、声を出したりする、生きていくために最も大事な機能がおかされる時もあります。足や膝や股関節が障害され、這ったり、寝返りをしたり、起き上がったり、歩いたりする人の移動の機能が障害される時もあります。また手を含めた上肢が麻痺し、日々の生活が出来にくく事もあります。その麻痺の程度や症状は脳の損傷の程度や範囲に大きく関連します。体が動かない分、学習の機会が減り、知的な学習能力でハンデイを負わされます。小さい時から訓練訓練とせかされ、のんびりする生き方の機会を奪われ、人格形成にもハンデイを負わされる可能性もあります。<br>
しかし本当の苦痛や問題は大人になってからさらにはっきりした形でおこってきます。成長して大人になるまでに、筋の麻痺や過緊張が原因になり、全身の関節が変形しさらに機能が下がり、運動能力が低下し、生きていく能<br>
力が奪い去られていく、と言う恐ろしい、辛い病気でもあります。(南多摩整形外科病院院長 松尾隆医師のホームページより)<br>
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医学の発達にみを見張る物がありますね。<br>
やっぱりこのコーナーで取り上げて下さったと嬉しくなりコメントしました。<br>
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こうした医療の発達は嬉しい事ですね?