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「遺伝子選びは宝くじを買うようなものでしたが、私はラッキーでした。当たりくじを買ったわけですから」京都大学の山中教授は言う。教授らのグループは驚異的な研究を続けている。どうやって皮膚細胞を万能細胞に変えてしまう、魔法の遺伝子を見つけられたのだろうか?

成人の皮膚などの細胞を万能細胞に変えるため、遺伝子を導入するアイデアを考えついたものの、遺伝子の選び方には無限に近い可能性があった。山中教授は24の候補を「とても科学的とはいえない経験に基づく勘」で選んだが、偶然にも必要な四つの遺伝子がすべて含まれていたと伝えている。

遺伝子を組み込んだヒト「iPS細胞」の万能性はマウスに細胞を移植することで確認された。マウスには2ヶ月後、こぶのような腫瘍ができた。そこには奇妙なことにヒトの神経、皮膚、筋肉、軟骨、腸管様組織、脂肪組織など、様々な組織の細胞が混在した。

 

たしかに細胞はどんな動物も、受精卵という1個の細胞から始まるのであるから、もとは万能細胞の遺伝子はそなわっている。発生・成長の過程で遺伝子は変化し、万能性は失われてしまう。この失われた遺伝子を探し当てることに成功したのである。

ところで遺伝子は皮膚細胞にどうやって組み込むのであろうか?この役割をするのがベクターである。今回の実験ではレトロウイルスベクターが使われた。(参考HPアイラブサイエンス・京都大学)


関連するニュース
万能細胞作った山中教授、NYタイムズが大きく掲載


米紙ニューヨーク・タイムズは、山中伸弥・京都大学再生医科学研究所教授の人物像を紹介する記事を11日付で掲載した。万能細胞(iPS細胞)を人の体細胞から作った「時の人」は、米国でも注目を集めている。
 
記事は、科学別刷りの1面から4面に続く長文で、「冒険する性格は、彼の遺伝子に組み込まれている」という見出し。

成人の皮膚などの細胞を万能細胞に変えるため、遺伝子を導入するアイデアを考えついたものの、遺伝子の選び方には無限に近い可能性がある。記事によると、山中教授は24の候補を「とても科学的とはいえない経験に基づく勘」で選んだが、結果的には必要な四つの遺伝子がすべて含まれていたと伝えている。

また、記事で「遺伝子選びは宝くじを買うようなものでしたが、私はラッキーでした。当たりくじを買ったわけですから」という山中教授のコメントを引用している。
( asahi.com 2007年12月13日 )

レトロウイルスベクターとは?


ベクターとは、細胞外から内部へ遺伝子を導入する際の「運び屋」を指します。ウィルス由来のベクターは、遺伝子導入効率の高さから盛んに開発されてきました。ここでは、目的遺伝子をウィルスに組み込み、細胞に感染させることにより遺伝子を導入します。レトロウイルスベクターは、このウイルスベクターの一種類として確立されたもので、宿主の細胞に感染したあと、宿主のDNAのなかに入り込む性質を利用するものです。 (出典:京都大学)

遺伝子組込えの方法「ベクター」とは?
遺伝子組換えの方法のひとつ。「ベクター」は遺伝子の宅配便である。遺伝子を組み換え、DNAを増幅・維持・導入させる核酸分子。

挿入するDNA断片の大きさや挿入の目的によって、それを挿入するために様々な特徴を付加されたプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、YAC、BACなどの媒体がベクターとして使い分けられる。

遺伝子治療を行うときにも「ベクター」を使う。遺伝子を細胞に入れて働かせることを、遺伝子導入とよぶが、遺伝子を細胞に導入し治療するには、ベクターは不可欠である。(出典:2007年9月28日アイラブサイエンス
 

バイテクの支配者―遺伝子組換えはなぜ悪者になったのか
ダニエル チャールズ,Daniel Charles,脇山 真木
東洋経済新報社

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よくわかる!研究者のためのカルタヘナ法解説―遺伝子組換え実験の前に知るべき基本ルール
遺伝子組換え実験安全対策研究会,吉倉 廣
ぎょうせい

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