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前回は半導体素材のn型半導体とp型半導体を、化学結合させることにより、トランジスタ、IC、有機EL、発光ダイオードなどの半導体デバイスは作られていることを学んだ。今日は半導体の素材について調べよう。半導体は何でできているのだろうか?

初期には半導体の素材としてゲルマニウム(Ge)を使用、続いてシリコン(Si)が使用された。最近では化合物半導体がよく使われている。また有機物半導体(C)も使われるようになった。

シリコン半導体はシリコン(Si)というひとつの元素を主原料にしており、これは単元素半導体という。では化合物半導体とは何だろうか?

化合物とは2種類の異なった元素が結びついたものである。化合物半導体は2種類以上の物質が結びついて半導体になったものである。その組み合わせは色々あるが、代表的なものとしては周期律表のIII族と�X族(GaAs、GaP、InP等)、或いはII族とVI族(CdTe、ZnSe等)、IV族同士(SiC)の組み合わせがあり、それぞれ異なった機能を発揮する。



集積回路(IC)には、ガリウム砒素(GaAs)が使われている。有名な「青色LED」開発者、中村修二氏は窒化ガリウム(GaN)を用いた。今話題の3mmの「有機ELディスプレイ」には有機半導体(OLED)が使われている。

化合物半導体の利点は、化合物によって電子移動度が速かったり、光を発したり、光を吸収したり、磁気に反応したり、熱に強いなど様々な特性が発見されており、優れた製品がつくられている。

今日は現代半導体電子技術の花形「化合物半導体」について調べる。(参考HP Wikipedia・住友電気工業・NEC・SONY)

半導体で使われる元素とは何か?



(出典:住友電工半導体事業部)

化合物半導体とは何か?


化合物半導体とは、2つ以上の原子がイオン結合により結合してできる半導体である。一般的に、イオン結合は陽イオンと陰イオンとの強い静電引力によって絶縁体となる。しかし、陽イオンと陰イオンの組み合わせによっては、静電引力が弱く、半導体となる。

化合物半導体となる元素の組み合わせは代表的なものにIII族とV族元素、II族とVI族元素があり、それぞれIII-V族半導体、II-VI族半導体と呼ばれている。

化合物半導体は2つの元素を組み合わせるため、組み合わせを変えることによりたくさんの種類の半導体を作製することができる。電子移動度が大きいGaAsやバンドギャップの大きいGaNなど、優れた特性をもつものも多い。

II-VI族半導体(にろくぞくはんどうたい)とは?
II-VI族半導体(にろくぞくはんどうたい)は、II族元素とVI族元素を用いた半導体である。II族元素としてはマグネシウム・亜鉛・カドミウム・水銀が、VI族元素としては酸素・硫黄・セレン・テルルがよく用いられている。

これらを組み合わせて、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛)などが作製される。

II-VI族半導体はイオン結晶性が強く、固いがもろいものが多い。 また、組成を変えることでバンドギャップを大きく変化させることができる。可視光や赤外線領域に相当するバンドギャップを持つものは、発光素子や受光素子の材料として用いられている。

III-V族半導体(さんごぞくはんどうたい)とは?
III-V族半導体(さんごぞくはんどうたい)は、III族元素とV族元素を用いた半導体である。III族(13族)元素としてはアルミニウム・ガリウム・インジウムが、V族(15族)元素としては窒素・リン・ヒ素・アンチモンがよく用いられている。

これらを組み合わせ、GaAs(ガリウム砒素)、InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs(ゲイナス)などが作製される。これらIII-V族半導体は、バンドギャップが可視光領域に近い位置にあることから、主に発光デバイス材料として用いられている。例えば現在の赤・緑・青色などの発光ダイオードは、その多くがIII-V族半導体を材料としている。

極超短波以上の増幅には、GaAsを用いた電界効果トランジスタ(FET)が広く使われている。またV族元素として窒素を用いたGaN(ガリウムナイトライド、窒化ガリウム)などを、特に窒化物半導体と呼ぶ。

有機半導体とは?


有機半導体(ゆうきはんどうたい)とは半導体としての性質を示す有機物のことで、有機EL (OLED) として応用されており、有機薄膜トランジスタや有機太陽電池などへの応用が期待されている。

代表的な有機半導体としては低分子では

テトラセンやペンタセンなどのアセン類 オリゴチオフェン誘導体 フタロシアニン類
ペリレン誘導体 ルブレン AlQ3 NPBなどのジアミン誘導体などがある。

高分子では

ポリ(3-アルキルチオフェン)に代表されるポリチオフェン ポリフルオレン ポリフェニレンビニレン ポリトリアリルアミンなどがある。

化合物半導体にはどんな特性があるか?


シリコン等の単体元素の半導体に比べて次のような4つの特性がある。

1.高速動作
電子移動度がシリコンに比べて高い。例えば、Siをスクーターとすると、GaAsは新幹線並に速い。GaAsの電子移動度はシリコンの5倍であり、高速演算処理が可能。
トランジスタ GaAs AlGaAs/GaAs AlGaAs/InGaAs
集積回路IC GaAs AlGaAs/GaAs

2.受発光機能
発光・・・可視光及び赤外光を出せる。
発光ダイオード GaP、GaAs、AlGaAs、GaAsP、InGaAlP、InGaN、ZnSe、SiC
レーザー発光 短波長 AlGaAs/GaAs InGaAlP/GaAs 長波長 InGaAsP/InP
受光・・・シリコンに比較し、高い光電変換効率を得ることができる。
光センサー InGaAs/InP

3.磁気反応性
磁気に敏感である特徴を有しており、モータの回転数の精密な検知等に利用されている。
ホール素子 InSb GaAs

4.耐熱性
シリコンに比較して耐放射線特性及び耐熱性に優れており、宇宙空間での太陽電池等に利用されている
太陽電池 GaAs InP 

参考HP:Wikipeda「半導体」・住友電工半導体事業部「化合物半導体」
 → 
http://www.sei.co.jp/sc/com_semi/index.html 

半導体デバイスの基礎 (上) 半導体物性
B.L.アンダーソン,R.L.アンダーソン
シュプリンガー・ジャパン

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化合物半導体デバイスの魅力―インターネット世界を支える (ケイ・ブックス)
福田 益美,平地 康剛
工業調査会

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