金や銀の埋蔵量世界一はどこだろう?

 南ア?ロシア?いいえ、実は「日本」と言ったら誰もが驚くに違いない。

 金は最近価格が上昇している。28年ぶりに最高値を更新した後も金相場は先高感がある。その背景にはアメリカのサブプライムローンによる損失や原油の高騰などが原因で株式相場の急落、ドル安があり、市場の不安感から金が安全資産として買われているという。

 は資産やアクセサリー以外にも、携帯電話やコンピュータの接点部品として需要が高く、よく使われてる貴重な金属だ。 日本は金や銀、白金などの金属資源に乏しく、鉱石の国内自給率は限りなくゼロに近い。将来的にも未調査の地質構造の中から新たな優良鉱床が発見される可能性は低く、日本は鉱物資源を海外に依存しなければならないといわれてきた。



 ところが、茨城県つくば市の物質・材料研究機構(物材研)の調査で危惧されている将来の金属資源の利用について調べてみたところ、「都市鉱山」と呼ばれる、国内に蓄積されリサイクルの対象となる金属の量が、世界有数の資源国に匹敵する規模になっていることが明らかになった。

 都市鉱山とは、都市で大量に廃棄される家電製品や携帯電話など電子機器の中に有用な金属資源が存在しており、それをひとつの大きな鉱山と考えて資源をそこから積極的にリサイクルすることをいう。

 例えば、鹿児島県にある菱刈鉱山は世界一優秀な金鉱山で、金鉱石1tから60gの金が採れる。ところが、携帯電話1t集めると280gの金が採集できる。つまり、私たちの身の回りには宝の山、豊富な鉱山がこの大都会に眠っている。

 国内の金属埋蔵量を計算すると、金は、約6,800トンで世界の現有埋蔵量42,000トンの約16%、銀は、60,000トンで22%におよび、他にもインジウム61%、錫11%、タンタル10%と世界埋蔵量の一割を超える金属が多数あることが分かった。また、他の金属でも、国別埋蔵量保有量と比較すると白金などベスト5に入る金属も多数あるという。

 資源が少ないと言われていた我が国が、いつのまにか資源大国になっていたというのは不思議な話である。そして、携帯電話などから金属を取り出す我が国の「リサイクル技術」もすばらしい。(参考HP 物質・材料研究機構 Wikipedia) 


 日本の「都市鉱山」は世界最大規模

 家電や電子機器類に含まれる金や銀などの金属資源の国内総量は、各国の天然資源量を上回る世界最大の規模に匹敵することが、茨城県つくば市の物質・材料研究機構(物材研)の調査でわかった。

 金属資源枯渇が懸念されるなか、有効利用を徹底すれば、鉱脈と同等になりえるという。こうした金属資源は「都市鉱山」と呼ばれているが、全体量を推定した研究はこれまでなかった。

 物材研の原田幸明(こうめい)・材料ラボ長らは、素材や製品として輸出入される金属20種についての貿易データなどを分析し、国内に蓄積されている金属資源量を割り出した。

 金は6800トンで世界の埋蔵量の16%に相当。延べ板に換算すると約20兆円分になる。銀は6万トン、インジウムは1700トンで、それぞれ世界の埋蔵量の23%、61%に及ぶことがわかった。各国の鉱山の埋蔵量と比べると、金は南アフリカを抜いてトップ。銀や鉛、インジウムも世界一になった。日本は「資源小国」と言われてきたが、これらの希少金属については資源国であることを示した。

研究チームは今後、廃棄物として処理されるなどで有効利用されていない資源量を割り出し、再資源化につなげていきたいとしている。(2008年1月12日  読売新聞)


 都市鉱山とは何か?

 都市鉱山(アーバンマイン Urban Mine)とは、東北大の南條道夫教授らによって1980年代にわが国で提唱されたリサイクル概念。家電製品など都市で大量に排気される使用済廃棄物の中に有用な資源が存在しておりそれをひとつの大きな鉱山と考えて資源をそこから積極的に取り出すことを提唱。

 最近、携帯電話からの金の回収などで希少資源対策としての有効性が再度評価され、東北大の中村崇教授らによって、都市鉱山開発のための人工鉱床計画などとして発展しつつある。


 鉄のリサイクル

 鉄のスクラップは、屑鉄(くずてつ)ともいう。鉄鉱石と同様、重要な製鉄原料である。鉄スクラップは、電気炉によって再び鋼鉄へとリサイクルされる。

 高炉を持たない電炉メーカーが鉄スクラップを原料とする。しかし、鉄スクラップを原料とした鋼鉄は不純物の量がやや多いため、鉄鉱石から生産された鋼鉄よりは品質が劣る。

 代表的な鉄スクラップとして廃車(プレス後のもの)、スチール缶(プレス後のブロック状)がある。鉄スクラップには大きく分けて「市中スクラップ」と「自家発生スクラップ」とがあり、このうちここで一般に鉄スクラップと言っているのは、市中から発生する「市中スクラップ」のことである。

 なお「自家発生スクラップ」は、製鋼メーカーで、製鋼や加工の工程から出てくるスクラップのことで、製鋼の工程の中で再利用が図られていて、市中にでることはない。


 アルミニウムのリサイクル

 日本で消費されるアルミニウムのうち、約70%は新地金であり、残りの約30%はリサイクルされたものである。アルミニウム(ボーキサイト)の精錬には大量の電力を使うため、日本国内では日本軽金属のみが製造している。

 ほとんどの会社は電気料金の安いブラジルや中東などで精錬している。アルミニウムのスクラップからリサイクルして地金を作る方が、ボーキサイトから精錬するよりも、消費電力がたったの3%で済む。そのため、空き缶の回収などでリサイクルされて、再生産されている。


 金のリサイクル

 携帯電話やコンピュータの接点部品として金が使われる。このような金を回収して、再利用している。なお、接点部品に使われる金を都市鉱山ともいう。 携帯電話(PHS)・IC・コンピュータ・アクセサリー等を廃棄後、粉砕された物を精錬し、再度、電子部品とする。(出典:Wikipedia)