第4の状態

 物質には固体・液体・気体の三つの状態があり、温度によって変化ます。これを何というでしょう?

 そう、「状態変化」ですね。この三つの状態を物質の三態といいます。

 さて、では固体のものと、液体のものを混ぜるとどうなるでしょうか?例えば水と土砂を混ぜると、ふつうは重たい土砂はしだいに下に沈んでいき2つに分かれます。

 固体は粒子の大きさが2mm以上が「れき」、2mm〜1/16mmだと「砂」、1/16mm以下だと「泥」といいますが、さらに分けると1/16mm〜4μmを「シルト」、4μm以下を「粘土」といいだんだん細かくなります。(1μmは1/1000mm)

 よくサラサラした砂といいますが、細かい「粘土」は乾いていればサラサラしていますが、水と混ざるともはや容易に動きません。どろどろとして高い粘性を持つので、粘土細工や陶器に利用されます。



 このように液体に粒子の細かい固体が混ざると、単なる固体、液体、気体に分けられない第4の状態?流体という、粘性の高い新しい性質が現れます。流体には液体と気体が混ざるとできる超臨界流体というものもあります。(参考アイラブサイエンス 超臨界流体

 さらに細かい、0.001〜1μm(1/100000mm〜1/1000mm)程度の粒子が、気体、液体あるいは固体に混ざった状態を分散系といいます。粒子の大きさが1μm以下の分散系では、重力よりも粒子どうしの力が大きくなり、独特の粘性を持つ不思議な現象が起きます。

 通常、物体は加えた力に比例して、変形が大きくなります。これをニュートン流体といいますが、分散系では、この粒子同士にはたらく力のため、力に比例しない変形がおきます。これを非ニュートン流体といいます。

 非ニュートン流体の例として「ダイラタンシー」や、「チキソトロピー」があります。

 「ダイラタンシー」では、物質にはたらく力が小さければ液体状に、力が大きければ固体状になります。

 また「チキソトロピー」では、逆に物体にはたらく力が小さければ固体状で、物質にはたらく力が大きいと液体状になります。


 ダイラタンシーとは何か?

 物体に応力(物体の中にかかる力)が発生して、液体(ゾル)の状態から固体(ゲル)に変化する現象です。この現象が起こる物体を「ダイラタンシー流体」といいます。

 ダイラタンシー流体は粒子が小さいため、力を加えて粒子が密集すると粒子の間の隙間が小さくなり、強度が増し、固体(ゲル)になります。しかし、力を加えるのを止めると再び粒子の間の隙間が広がり、元の液体(ゾル)に戻ります。

 例えば石川県の能登半島の南西側にある千里浜。普通の砂浜では自動車で走るとタイヤがめり込みますが、千里浜は自動車で走ることができます。自動車の力で砂浜が硬くなり「ダイラタンシー」になっています。


 チキソトロピーとは何か?

 チキソトロピー(thixotropy)は、分散系溶液の状態が力に対して液体(ゾル)と固体(ゲル)との間で入れ替わる現象で、固体(ゲル)化しやすい分散系溶液に見られます。

 力の無い状態においては固体(ゲル)の状態にあり流動性を示しません。しかし、外力が加わるとゲル構造の分子間力の一部あるいは全部が破壊される為、液体(ゾル)状態となるため流動性を復元します。また、外力が作用しなくなると再びゲル構造が再生される為に再び流動性を失います。

 例えばトマトケチャップを入れ、しばらく静かに置いていたコップを、素早く逆さにしてみましょう。流れ落ちてこないですね。でも、トマトケチャップをはしでかき混ぜた後、すぐにコップを傾けるとどうでしょうか? 流れ出してきます。かき混ぜた後には、粘り気が少なくなっているのです。「チキソトロピー」になっています。


 では、次の現象は「ダイラタンシー」「チキソトロピー」のどちらでしょうか?

1.人が入って、もがけばもがくほど、どんどん沈んでゆく底なし沼。

2.地震があると海岸近くで起きる、土地の液状現象。

3.先のボールが動くと流動化して出てくる、ボールペンのインク。

4.ブラシで塗るとき、軟らかい液状。しかし、塗り終えると流れ落ちないペンキ。

5.ケーキを飾り付ける、泡立てたホイップクリーム。

正解は 5.は「ダイラタンシー」、1〜4は「チキソトロピー」 です。(ドラッグで解答)


 参考HP アイラブサイエンス2008.1.18 
水面を走るバシリスクになろう「ダイラタンシー」効果とは何か?


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