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バイオマスとは生物由来の資源を指す。バイオマスを用いた燃料は、バイオ燃料またはエコ燃料と呼ばれている。

バイオマスの特徴はカーボンニュートラルである。バイオマスは有機物であるため、燃焼させると二酸化炭素が排出される。しかしこれに含まれる炭素は、そのバイオマスが成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素に由来する。そのため、バイオマスを使用しても全体として見れば大気中の二酸化炭素量を増加させていないと考えてよいとされる。

バイオマスはまた再生可能資源である。バイオマスは太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から生物が生成するものなので、持続的に再生可能な資源である。



デンプンからセルロースへ


温暖化対策として石油に代わるバイオエタノールに世界的な関心が集まっているが、はやくもブラジルや米国で、サトウキビやトウモロコシにふくまれるデンプンを用いたエタノール製造が急増し、食料や家畜用飼料の価格を押し上げるという大きな社会問題を引き起こしている。

これに変わる資源として、次に期待されているのは、セルロース系バイオマスによるエタノール生産である。セルロース系資源からのエタノール燃料転換技術としては、既に濃硫酸法や希硫酸二段糖化による発酵法が実証段階にあり、さらに希硫酸と酵素を用いた糖化と発酵の組み合わせについて試験が進められている。

しかし、これらの方法は硫酸を用いるため、硫酸廃棄物処理や環境負荷の低減に係るコストが必須であり、低コスト化およびエネルギー変換効率に限界があるといわれている。したがって、硫酸を使用しない、あるいはほとんど使用しないセルロース系バイオマスを用いたエタノール製造プラント技術の開発およびその実証が重要である。

セルロースとは?


セルロースはβ-グルコースが重合したものであり、分子は水素結合によってシート状になっている。これに対し、α-グルコース分子が重合したデンプンは水素結合によるらせん状になっている。

セルロースはヨウ素デンプン反応を示さない。デンプンと同じくグルコース分子を構成単位としながら、セルロースがヨウ素デンプン反応を示さないのは、この反応が分子の形状に由来する。

また、セルロースは非常に安定で、酸や塩基に対して強い抵抗を示す。セルロースの分解には硫酸や塩酸が用いられるほか、酵素のセルラーゼが用いられる。リグニンと結合したセルロースは単独状態よりもさらに化学的に安定であるため、分解は非常に困難であり、工業的な利用を妨げている。

硫酸によらずにセルロースを分解するには?


これらを踏まえ、産業技術総合研究所の「産業変革イニシアティブ」では、非硫酸方式による前処理・糖化・発酵などに係る現有要素技術をベストミックスすることによって、多種多様なセルロース系バイオマスを用いた中小規模のエタノール燃料一貫製造プラントを開発し、より環境に優しいエタノール製造を実証する。

低エネルギー型前処理技術では、産総研で開発した水熱処理技術と湿式メカノケミカル処理技術を組み合わせ、木材化学やセルロース化学の原理に基づいた効率的な前処理技術を適用する。この前処理では、セルロース等のバイオマス成分の組織構造をナノレベルで変化させることにより酵素糖化性を大きく向上させる。

また酵素糖化の経済性を向上させるために、糸状菌による糖化酵素のオンサイト(その場)生産技術を導入する。利用する糸状菌は産総研が単離・育種した高セルラーゼ生産菌(アクレモニウム・セルロリティカス)であり、エタノール発酵は遺伝子操作により野生型の酵母が利用できないキシロース代謝能を付与した酵母を使用し、バイオマスに含まれる糖を高効率でエタノールに変換する計画である。(参考HP 産総研) 

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農業と競合しないバイオエタノール生産技術実証へ


食料になるトウモロコシなどを原料としないバイオエタノール生産技術の実証を目指すプロジェクトを、産業技術総合研究所がスタートさせた。

木質系、草本系とも呼ばれるセルロース系バイオマスを原料にエタノールを生産する方法は、農業と競合せず、農作物価格のの高騰など特に途上国への打撃も少ないという利点がある。他方、技術的には多くの課題も残されている。

産総研の取り組みは、まず厄介な前処理法として、これまで同研究所で研究開発してきた水熱処理方式と湿式メカノケミカル処理を組み合わせた方式を採用するのが特徴。現在、開発が先行している硫酸を使用する処理法に比べ、環境への悪影響も少なく安いコストで、糖化―発酵というエタノール生産に必要な工程を可能にすると期待されている。

産総研は、まずセルロース系バイオマス原料200kg/バッチの処理能力(60リットルのエタノール)のミニプラントを建設し、その運転実績から実用化プラントへの展開を見据えた試験プラント2号機の設計、建設という3年半の開発スケジュールを立てている。

温暖化対策として石油に代わるバイオエタノールに世界的な関心が集まっているが、はやくもブラジルや米国で、サトウキビやトウモロコシなどを用いたエタノール製造が急増し食料や家畜用飼料の価格を押し上げるという大きな社会問題を引き起こしている。期待が高まっているセルロース系バイオマスによるエタノール生産に対しては、稲わらのように季節に集中して発生する材料も原料にすることから、多種多様なセルロース系バイオマスを原料とする生産技術の開発が急がれている。( 2008年2月1日 産総研・サイエンスポータル)
 

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天笠 啓祐
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