
「環境保護団体ではない。エコテロリストだ。」日本鯨類研究所側がグリーンピースとシーシェパードを非難する。その行為を見ると確かにテロだ。異臭を放つ酪酸の入った瓶を投げつける。体当たりで調査船に当たってくる。スクリューにロープや網を絡ませようと近づいてくる。
エコテロリストとは環境問題や動物の権利擁護を口実に非合法の破壊、脅迫、暴行などのテロ活動を行う者。環境テロリストともいう。この言葉の定義については論争の的となっており、しばしば暴力的な行為を行う環境保護団体に対する蔑称として用いられる。
2006年1月8日、南極海において捕鯨問題をめぐって対立している日本鯨類研究所とグリーンピースとの間で問題が起こった。鯨類研究所の調査捕鯨の実施と、それに対するグリーンピースの抗議行動である。調査捕鯨母船「日新丸」とグリーンピースのキャンペーン船「アークティック・サンライズ」の接触事故?があった。
この接触事故に関しては、双方共にビデオ・写真を公開して事件の説明をしているが、双方が「相手にぶつけられた」と主張しており、見解は対立している(日本鯨類研究所は、日新丸は他船に貨物を移し替える為停船していたと主張している)。
グリーンピースについては米国の連邦捜査局(FBI)からは国内テロリズムの団体として監視されている団体であるという。グリーンピースは、本来は国際的な環境保護団体。オランダのアムステルダムに本部を置く。
シーシェパードは反捕鯨を掲げるアメリカの環境保護団体。今月15日、「第2勇新丸」にワイヤをからませ、不法に乗船してきたメンバー2人を、日本側が一時拘束。18日には「第3勇新丸」に対し、酪酸の入ったビンを投げつける妨害行為を行った。
双方の主張を見てみるとわけがわからなくなる。日本はクジラを食する分化を持ち、調査捕鯨においても致死的調査によって、鯨肉を持ち帰ることが、国際法で保証されていると主張。
ところが、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの環境保護団体は、南極海サンクチュアリやオ−ストラリアが領海権のある海域で、その国内法に基づき日本鯨類研究所が鯨肉を持ち帰る以上、商業捕鯨であると主張、致死的調査を認めようとしない。
日本鯨類研究所の主張する国際法の方が、おそらく優先するに違いない。米英豪の環境保護団体が国内法でのみ対抗するのは、その主張に多分に感情が含まれている。とにかく双方は歩み寄る気配がない。難しい国際問題である。
日本鯨類研究所の主張
→ http://www.icrwhale.org/05-A-d.htm
グリーンピースの主張
→ http://www.whalelove.org/raw/content/fun/1653364.pdf
関連するニュース
また日本捕鯨船に妨害行為 今度はグリーンピース
グリーンピースのゴムボートが補給船「オリエンタル・ブルーバード」側のフェンダーのワイヤーに絡まり、非常に危険な状態を発生させた=(財)日本鯨類研究所 提供 水産庁に入った連絡によると、22日午前9時半ごろ、南極海で日本の調査捕鯨母船「日新丸」が補給船から給油を受けようとしたところ、環境保護団体「グリーンピース」が両船の間に大型ゴムボートを割り込ませる妨害行為を行った。
日新丸はグリーンピースに対し、警告を行ったが、妨害を強行。ゴムボートが一時、補給船の緩衝用ブイのワイヤに絡まる危険な状態になった。ワイヤはまもなく補給船側の乗組員らがゴムボートから取り外し、両船ともけが人はなかった。この後、給油は継続された。
グリーンピースは大型ゴムボートのほかに、妨害行為を撮影するため、メンバーが乗り込んだ別のボートの計2隻約8人で、日新丸と補給船に近づいてきたという。
日本の調査捕鯨をめぐっては、反捕鯨を掲げるアメリカの環境保護団体「シーシェパード」が今月15日、「第2勇新丸」にワイヤをからませ、不法に乗船してきたメンバー2人を、日本側が一時拘束。18日には「第3勇新丸」に対し、酪酸の入ったビンを投げつける妨害行為を行った。
日本の調査捕鯨に対する一連の妨害行為の様子は、日本鯨類研究所のホームページで動画で公開されている。( 2008.1.22 産経新聞 )
ラッド豪首相:日本の「調査捕鯨」認めず 監視継続を強調
オーストラリアのラッド首相は10日、同国テレビのインタビューで「日本が商業捕鯨を『調査捕鯨』と称しているのは正しいことではない」と語り、国際法廷への提訴など法的手段を視野に、オーストラリア政府が南極海で日本の捕鯨活動の監視や撮影を続けるとの姿勢をあらためて強調した。
「証拠を集めた上で勝訴できるかどうか見極める」として提訴については検討中とした。首相は捕鯨問題で意見の相違があっても、両国がこれまで築いた「第一級の外交関係」は維持できると述べた。
オーストラリア政府は7日、同国の巡視船が南極海で撮影した日本のクジラ捕獲現場の写真やビデオを公開した。( 2008.2.8 毎日新聞 )
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コメント
コメント一覧 (6)
1頭が8〜30トンもあるクジラなら…日本人の食欲を満たせるでしょうか?<br>
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日本の主な食肉の消費量(2006年)は、合計414.6万トンです。<br>
・牛肉……80.2万トン(輸入 46.7万トン)<br>
・豚肉……163.6万トン(輸入 73.7万トン) <br>
・トリ肉…170.8万トン(輸入 34.7万トン)<br>
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2006年のクジラ肉類供給は、約3800トン(クジラの重量の約7割が肉になる)。クジラ肉の消費量は、日本の食肉の消費量のわずか0.09パーセント、国内の食肉生産量の0.15パーセント(国産鶏肉の0.3%)です。<br>
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もし日本人が、食肉(トリ・豚・牛肉)の代わりにクジラ肉だけを食べたら…<br>
『ザトウクジラなら1ヶ月半、ミンククジラでも1年3ヶ月ほどで食べ尽くし、1匹もいなくなってしまいます…!』<br>
(ザトウクジラが約42万トン(30トン、約2万頭)、ミンククジラが約537万トン(8トン、96万頭)として計算)<br>
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海の動物の生物量は、陸の生物量に比べて意外なほど少ないのです。海は生き物が豊かなようでも、広いわりに生産量が少なく、その大部分は生き物のいない砂漠のようなものなのです。タンパク源として、クジラ類の肉をあてにするのは無理があると思います。 <br>
牛肉の代わりにクジラを食べるとすると、ミンククジラなら毎年14万頭以上も捕らなければならないし、日本人は毎年、ザトウクジラの全生存重量よりもはるかに多くの牛肉を平らげているようなのです。
シーシェパードは以前、主に海賊捕鯨船やノルウェーの捕鯨船に攻撃をしかけていたようです。2005年頃から日本の捕鯨船に対して抗議行動をし始めています。日本の調査捕鯨はもっとずっと前から行われていたのに、なぜ2005年から攻撃し始め、2007〜2008年に攻撃が増えているのでしょうか…?<br>
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…日本の調査捕鯨……<br>
採集標本枠 第1期調査<br>
1987/88年 ミンククジラ300頭<br>
1988/89年〜1994/95年 ミンククジラ300頭<br>
1995/96年〜2004/05年 ミンククジラ400頭<br>
第2期調査<br>
2005/06年〜2010/11年 ミンククジラ850頭、ザトウクジラ50頭、ナガスクジラ50頭<br>
(最初の2年間は予備調査で、ザトウクジラ0頭、ナガスクジラ10頭の採集) <br>
注)2005/06 ←南極海の調査が冬に行われ年を越すため、このような表示になる。<br>
・第2期計画は2005年1月に発表され、本格調査は2007/08年から実施するとしている。その後国際的な非難が高まり、ザトウクジラの捕鯨は中止になった。<br>
・ノルウェーの商業捕鯨では、北大西洋のミンククジラを97年〜06年にかけて年間約500〜650頭程を捕っている。<br>
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日本の第2期調査ではミンククジラの捕獲量を2倍にした上に、絶滅が心配されているザトウクジラやナガスクジラの捕獲を計画しており、捕獲頭数がノルウェーの商業捕鯨を大きく上回ることになる。…これが攻撃の引き金になったのでしょう。<br>
今までは日本の「調査」という言葉を信じないまでも、調査も行っている…ということで目をつぶってきたのに、日本が「クジラが沢山いるから捕っても良い…」と大量捕鯨を始めようとして、「調査捕鯨」が実は「商業捕鯨」であったことを暴露してしまったためだと思います。<br>
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このまま、攻撃的な団体が陣取っている危険な海域に、調査船を行かせても大丈夫なのでしょうか?<br>
私は大量捕鯨に賛成ではありませんが、調査捕鯨を穏便に進めたいのなら、とりあえず「ザトウクジラとナガスクジラの捕鯨を中止する。」と発表して、様子をみては…と思います? ミンククジラの捕獲数も当面500頭程度にすると発表してしばらくは控えめに行動し、シーシェパードの攻撃の鉾先が他に向いたら、本格的にミンククジラの捕獲を再開すれば良いのでは…?<br>
一度目を付けられたら、簡単には引いてくれないかもしれません。でも妨害に強く抵抗して捕鯨を強行すれば、それだけ相手も必死になると思います。なにしろ自分達が正しいと信じ、クジラの保護活動に身を捧げたいと思っているのでしょうから…。自分達の行動が一定の成果を上げた…と思わせなければ引かないと思います。<br>
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いろいろありましたが、今年の南極海の捕鯨は3月で終わりですね。今回は何頭捕ったのでしょう…?<br>
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僕ら人間は地球上に多数生息しています。<br>
今の時代に生きれることに感謝します。<br>
鯨を保護できるほど余裕があることに感謝します。
私は日本の調査捕鯨は商業捕鯨だと思っています。<br>
政府が認めているから日本人は皆この捕鯨に賛成だ…などと思って貰いたくないです。日本人の多くはまだ、生物多様性や環境保全について知らなすぎます。日本人も地球人としての自覚をもって、地球生態系のために自国の文化を見直す勇気を持つべきだと思います。<br>
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1月の調査捕鯨の妨害についても、世界各国が環境保全の観点から中止を申し入れているのに、それを無視して捕鯨を続けている日本の姿勢が原因で起こったのではないでしょうか…。この日本の態度は、自国の利益のために世界各国の制止を無視して核開発をし続けている北朝鮮と何ら変わらないように思います。<br>
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私はクジラの専門家ではなく、生態については最近調べ始めたので詳細は分かりません。確かに日本の学者達の中にも、日本の商業捕鯨に賛成しているような意見もあります。しかし、クジラの数の制御とクジラを食べることとは全く別の話です。<br>
レッドデータで絶滅危惧種であるナガスクジラや危急種であるザトウクジラを捕るのは以ての外ですが、ミンククジラの捕鯨についてもこれを食べることは道理に合わないと思います。<br>
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ミンククジラの数は確かに以前より増えています。<br>
このクジラは、人間の食する魚を食べてしまうため、日本人の食を脅かすそうです。環境保全の上からも、ミンククジラが増えすぎてしまってシロナガスクジラ等の絶滅危惧種が増えない…という意見も、もっとものようです。<br>
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確かにミンククジラが増えたために、海の生態系の構造は昔とは変わってしまっているでしょう。しかし、魚が減ったのはミンククジラのせいだけではありません。もともと海にはクジラが沢山いて、そのクジラ達を満足させるエサも十分あったし魚も大量にいたのです。<br>
そのバランスを崩し、海洋生態系に負担をかけているのは人間です。今さらに、自分達の食料(魚)の競合者であるミンククジラを捕ろうとしています。<br>
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さてここで、ミンククジラは他のくじらの生存を脅かしているから、数を減らすのだとしましましょう。<br>
捕鯨賛成者は、捕ったクジラをそのまま捨てておくのはもったいないから食べるのだと言っています。しかし環境保全を考えるなら、殺したミンククジラは海に返すべきではないでしょうか…。確かに何百頭ものクジラを放置したら良くないかもしれないので、その方法については考えなければなりませんが…。<br>
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海洋生態系は、陸上の生態系に比べて純生産量は半分程ですが、生産者の大部分が植物プランクトンであるため生物量は陸に比べて非常に少なくなっています。(植物プランクトンは栄養塩類元素を長期間維持蓄積することができないため)<br>
少し古い文献ですが「生態学学説(ホイッタカー)」によると、海の生物量は陸上の生物量の500分の1程度…となっています。<br>
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これは私的な思いつきで、幼稚かもしれませんが…<br>
樹木が陸上では生産者であり栄養塩類や炭素の蓄積に大きく寄与しているのに対して、海の中のクジラはその生存そのものがある意味で栄養塩類や炭素の蓄積に寄与しているのではないか…と考えています。<br>
大きなクジラを大量にとることが海の生態系や地球環境にとって何を意味するのかを、真剣に考えなければならないと思います。<br>
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以前にも述べましたが、西欧人は、生態系の保全目的で増えすぎた鳥を減らすために、鳥の止まっている木を丸ごと焼き払うことで何百羽も一度に駆除したりします。もしミンククジラの捕鯨が環境保全上で正当であるなら、必ず理解を示すはずです。日本の捕鯨委員会は、きちんと諸国の環境保護団体又はWWC等と話し合うべきです。<br>
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以上、ミンククジラについては論争の余地があると思いますが、とにかく、ザトウクジラだけでなくナガスクジラも直ぐに捕鯨をやめるべきだと思います。<br>
日本が調査捕鯨を続けることで、私は同じ日本人として、道理の分からぬ野蛮人だとは思われたくないです。<br>
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追伸)申し訳ありません。間違いがあったので再送信させていただきました。最初のは破棄してください。お手数をかけてすみませんでした。<br>
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政治的な意図の反捕鯨活動があるので<br>
堪ったもんじゃありません<br>
堂々と調査結果を公表し<br>
堂々と正当性を主張し<br>
堂々と捕鯨を再開すべきなのでは<br>
[594]
こんにちは。ピザテンフォーのyutakarlsonです。反捕鯨に関して、水産庁の人などが説明した動画などが YouTubeに掲載されています。しかし、この問題にはもっと大きくて、深い背景があると思います。その背景に関して、ここでは短いコメントしかできませんので、私のブログで解説しました。是非ご覧になってください。<br>
この内容いろいろなところでお知らせしましたので、もうお読みになっているかもしれません。もし読まれていないのなら、是非ご覧になって下さい。<br>
なお、最近日本の調査捕鯨が詭弁だなどとのコメントを良くみかけますが、このあたりも誤解があるようです。日本は、日本近海の捕鯨をしたいとしていたのですが、反捕鯨国が反対したため、国際的にも認められた調査捕鯨をしているという背景を知らない人が多いようです。<br>
このへんも近々私のブログの方で、明らかにしていきたいと思います。<br>
しかし、この背景を知った上で、反捕鯨活動を考えると、理不尽としかいいようがありません。<br>
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