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国の特別天然記念物で絶滅危惧種のアホウドリが今春、2500羽を回復する見込みであることが、東邦大学の長谷川博教授の調査で分かった。長年の保護活動の成果が現れてきた。

1945年には、乱獲のため絶滅したと考えられていたアホウドリが、その後鳥島で再発見される。その数が保護活動により回復し、1000羽を超えたのが1999年。このペースなら2017年ころに4000羽に達する。ただ、鳥島は噴火の恐れがあるので、今年から5か年計画で、火山のない小笠原諸島・聟(むこ)島に約50羽のひなを移住させ、新たな繁殖地を作る。

長谷川教授は「現在の営巣地、鳥島尖閣諸島と併せて、3か所で繁殖し、5000羽を超せば絶滅の心配はなくなるだろう」と話す。

小笠原諸島・聟(むこ)島への「アホウドリ移住作戦」は、山階鳥類研究所、環境省、米国魚類野生生物局が共同で計画。鳥島で年に200羽ほど誕生するひなのうち約10羽を船で聟島に運び、研究者が3カ月ほどえさを与えて育てる。これを5年ほど続け、新しい繁殖地をつくる。

また、ひなが新天地を故郷と思い、新たな繁殖地になるよう絶壁の上の平地にデコイと呼ばれる親鳥、若鳥にそっくりのFRP(繊維強化プラスチック)製模型(高さ約70センチ)が30体が並べられる。

しかし、アホウドリなどの鳥類を取り巻く環境には、まだまだ危機的な状況が存在する。 (参考 アイラブサイエンス2006.11.02

アホウドリを取り巻く環境


羽毛布団の原料
開国明治維新の後、八丈島出身の実業家玉置半右衛門は、西洋に大きな需要がある羽毛布団の原料となるアホウドリが鳥島に多数生息することを聞くと、1887年、東京府から鳥島無料拝借の許可を得て、数十人の人足とともに島に渡る。

これがアホウドリ乱獲の始まりとなり、年間20万羽、15年間で推定約500万羽が殺されたとされる。1902年8月9日に鳥島硫黄山が大噴火、当時の島民125名全員が死亡する惨事となり、「アホウドリの祟り」と恐れられた。

1927年には再び開拓団が入植、アホウドリ採取禁止となる1933年まで捕獲が続いた。1949年にはアホウドリ絶滅が宣言された。1951年、鳥島にごく少数が生存しているところを再発見され、その後は保護団体による手厚い保護活動が続けられている。2003年には1840羽(うち尖閣列島300羽)まで生息数が回復した。

延縄(はえなわ)漁業による混獲
しかし現在、別の理由で絶滅が心配されている。その一つはマグロ・カジキ類などを対象とした「浮延縄漁業」やマゼランアイナメ(ギンムツ)やメルル−サ(ヘイク)、タラ類、オヒョウなどを対象とした「底延縄漁業」による「混獲」である。

例えば、マグロ延縄では幹縄(main line)の長さが1回に100 km 以上の長さに及び、それに数1000本の釣針(hook)がつけられる。それを1隻が1日に何回も投縄・揚縄する。したがって、1隻が1日に万単位の釣針を投入することになる。たとえ1回の投縄による混獲の頻度がわずかだとしても、1日の投縄回数や操業日数、操業船舶数が掛け合わされ、年間に数万羽のアホウドリ類が犠牲になる。

少産少死の生活史特性をもつアホウドリ類は、成鳥の死亡率が増加すると潜在的繁殖能力が失われ、個体数が急速に減少。死亡率が在る限度を超えると、個体数の回復が不可能になり、致命的打撃と受けることになる。

海洋汚染による影響
もう一つは海洋汚染による影響。アホウドリ類はおもに海面近くの魚類、イカ類、動物プランクトンなどを食べており、ヒナにも同様のものを与える。ところが、アホウドリとともに鳥島で繁殖しているクロアシアホウドリのヒナの餌の中に、海上に浮遊するたくさんのプラスチックのゴミが入っていることがわかった。

クロアシアホウドリのヒナは、調査のために捕獲すると威嚇のために胃内容物を吐き出す。クロアシアホウドリのヒナには標識調査といって渡り経路や寿命を調べるために捕獲して足環を装着する。捕獲の時に1回程度、胃内容物の吐き戻しがあるがヒナの成長に影響はない。

この胃内容20個体分から人工物を取り出して集めると、発泡スチレン(発泡スチロール)、ゴム状プラスチック、梱包用テープ、シート状プラスチック、テグス、繊維、綿状物、輪ゴム等のプラスチック類が見つかった。(参考HP 山階鳥類研究所・Wikipedia)

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特別天然記念物アホウドリ、春には2500羽に


特別天然記念物アホウドリの保護が進み、今春の巣立ち後には2500羽を回復する見込みであることが、東邦大学の長谷川博教授の調査で分かった。

15日からは、伊豆諸島・鳥島(東京都)で生まれたひなの一部を小笠原諸島・聟(むこ)島(同)に移して、新しい繁殖地作りも始まる。

長谷川教授の昨年末の調査では、鳥島の2か所の営巣地で計382つがいの産卵が確認された。順調なら5〜6月に約240羽程度が巣立ち、鳥島のアホウドリは約2100羽になる。もうひとつの繁殖地の尖閣諸島でも今春の巣立ち後に約400羽に達すると推定され、両方を合わせて約2500羽になる計算だ。

鳥島のアホウドリが1000羽を超えたのが1999年。同じペースなら2017年ころに4000羽に達する。ただ、鳥島は噴火の恐れがあり、山階鳥類研究所が今年から5か年計画で、火山のない聟島に約50羽のひなを移住させ、新たな繁殖地を作る。

長谷川教授は「鳥島での増殖は極めて順調。将来、3か所で繁殖し、5000羽を超せば絶滅の心配はなくなるだろう」と話す。(2008年2月2日 読売新聞)

参考ホームページ

東邦大学メディアネットセンター
 → http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/index.html

山階鳥類研究所アホウドリ復活への展望
 → http://www.yamashina.or.jp/albatross/ahou_mokuji.html


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