最近十分に睡眠をとっていない。 やることが次から次へと思い浮かび、なかなか寝つけない。しかし、眠れなくて死んだ人はいないというから、あまり気にしないようにしていた。ところがちょっと気になるニュースを目にした。何と睡眠不足が続くと脳の一部である「脳下垂体」の細胞が死滅するというのだ。
大阪市立大の木山博資(ひろし)教授(解剖学)らは、睡眠をとらないネズミを観察し続けると、5日目頃から脳下垂体の細胞が死滅し始めることがわかった。ネズミに睡眠をとらせると、回復したが、脳下垂体が元の状態に戻るには数日間かかった。やはり、早めの休養は大切である。
脳下垂体とは脳の中央下部に垂れ下がっている、小指の先ほどの大きさの、わずか1gもない小さい組織である。しかし、その働きはすごい。多くのホルモンを分泌している場所である。最近ここから分泌する、女性ホルモンの一種「オキシトシン」に、記憶増強、精神安定作用のあることが発見された。
脳にはまだまだわからないことがたくさんある。「脳」は自然科学に残された最大のフロンティアであり、21世紀は「脳の世紀」といわれている。脳は重さわずか1,400グラム足らずの組織だが、私たちの「生」に必要不可欠な器官であり、脳なくしては、生命活動が停止する。
NHKのテレビ番組「プロフェッショナル仕事の流儀」でパーソナリティーを務め、広くお茶の間にもその顔を知られる存在となった、茂木健一郎氏は「アハ体験」など脳と心の関係を楽しく、わかりやすく説明している。「脳」はこれからも楽しみな研究分野である。
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過労になると脳下垂体細胞が次々と死滅 大阪市大実験
極度の過労によって、脳の中心部にある内分泌器官、脳下垂体の細胞が次々と死滅していることを、大阪市立大の研究チームがラットによる実験でつかんだ。これまでは過労は生体の機能が落ちるだけとみられていたが、実際は生命維持の中心器官の一つが破壊されていることを初めて立証した。熊本市で15日から始まった日本疲労学会で報告した。
厚生労働省によると06年度の脳・心疾患で死亡した「過労死者」は147人。研究チームは過労を早く見つける「過労マーカー」の開発に役立つと期待している。
大阪市立大の木山博資(ひろし)教授(解剖学)らは、ラットの飼育箱の底に1センチ強の深さに水を張り、5日間観察した。ラットは体が水にぬれるのをとても嫌う性質があり、立ったまま数分うとうとする程度しか眠れなくなる。徹夜で働く人間と、ほぼ同じ状態だ。
このような状態のラットの脳下垂体を調べると、5日目に細胞が死滅し始め、下垂体の中葉と呼ばれる部分がスポンジ状になっていた。
下垂体中葉には、脳の神経核A14という部分から神経伝達物質ドーパミンが供給されている。疲労がつのるにつれて、A14のドーパミン生産能力が減り、下垂体の死滅細胞が増えていた。
実験後、飼育箱から水を抜くと、ラットはすぐに睡眠をとり、半日後には活動を再開した。しかし、下垂体が元の状態に戻るには数日間かかった。早めの休養が重要であることを示している。 ( 2008年02月15日 asahi.com )
脳下垂体とは?
脳下垂体とは下垂体(かすいたい)ともいう。脳下垂体は、脊椎動物の体に存在する器官のひとつで、多くのホルモンを分泌する内分泌器官。脳に接して、脳の直下(腹側)に存在し、脳の一部がのびてぶら下がっているように見えることからこの名がある。
脳下垂体はどこにあるのか?
脳下垂体は、およそ首から上のいわゆる頭蓋骨のほぼ中心にある。別の言い方をすれば、眉間の奥7cm前後のところにある。
脳下垂体のすぐ中上には左右の視神経とその交叉部がある。また、脳下垂体の左右には海綿静脈洞という太い静脈があり、その中を内頸動脈という太い動脈や眼球を動かす神経などが走っている。
正常な脳下垂体は 「女性の小指の先端」くらいの大きさで、重さは1gもない。 これはさらに前葉と後葉の2部に分かれており、前者が大きな容積を占めている。
脳下垂体のはたらきは?
一ロでいうと、全身のホルモン(内分泌)の中枢。
前葉、後葉ともに多くの支配ホルモンを分泌していますが、そのうち特に重要なものをあげる。
前葉のホルモン
・成長ホルモン 小児期から思春期にかけて、手足や内臓の成長を促します。
・プロラクチン 分娩後に乳汁を分泌させる働きをする。月経を止める。
・甲状腺刺激ホルモン 甲状腺に命令して、ホルモンを分泌させる働き。
・副腎皮質刺激ホルモン 副腎に命令して、ホルモンを分泌させる働き。男女とも生涯必要。
・性腺刺激ホルモン これには2種類あり、それぞれ卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモンという。
後葉のホルモン
・抗利尿ホルモン 腎臓に働きかけて尿量を少なくする働きをします。男女とも生涯必要です。
・子宮収縮ホルモン オキシトシンともいう。分娩時に子宮を収縮させます。
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一晩で 甲状腺刺激ホルモン TSH が 14から23に。深夜勤10H、チルド室(0〜5度C)労働やった後。体温も35度〜代。昼間は眠れないのに、10H深夜勤を 連続で勤務指定されてます。