マラリアで3度のノーベル賞
1907年ノーベル生理学・医学賞は「マラリア」の研究をした、フランスのアルフォンス・ラヴランに贈られた。「マラリア」は以前にノーベル賞の対象になったはずでは?と思った人は素晴らしい。かなりの物知りである。
そう、1902年にイギリスのロナルド・ロスが、マラリアの研究で受賞している。彼が受賞したのは、1898年、ハマダラカによってマラリア原虫が運ばれることを発見したことであった。
今回のアルフォンス・ラヴランは1880年、マラリアの原因である、マラリア原虫を発見したことで受賞している。実は、アルフォンス・ラヴランの原虫の発見の方が先で、ノーベル賞の受賞は前後している。そして、驚いたことにもう一回、1927年マラリアの研究でノーベル賞が贈られることになるが、それについては後日述べたい。
アルフォンス・ラヴランがマラリアを研究したのは、1878年から1883年まで軍の赴任先であったアルジェリアでマラリアが流行していたから。ラヴランが研究を始めた当時は、マラリアの原因は沼地の悪い空気であると言われていた。一方、マラリア患者の血液を光学顕微鏡で観察すると透明な袋に包まれた黒い粒が赤血球内部に見えることは知られていた。
1880年、ラヴランはこの粒が原生動物であることを発見する。同一のマラリア患者から連続的に採血し、原生動物が血球内で成長する様子を記録、最終的には胞子を形成することを見出した。胞子が赤血球を破って血液中に放出される時期と患者の体温が急速に上昇する時期が一致することも発見した。マラリアの原因を発見したことで、第7回ノーベル生理学・医学賞を受賞した。
それにしても、野口英世の黄熱病の研究もそうだが、ラヴランにしても、ロスにしても病気が流行している所に赴き、その病気の研究をするとは何という人たちであろうか。病気の流行している所には99%の人は行きたいとは思わないだろう。頭の下がる思いである。(参考HP Wikipedia・2007.8.11サイエンスジャーナル)
マラリアとは何か?
マラリア(麻剌利亜、独語:Malaria、仏語:Paludisme)は、熱帯から亜熱帯に広く分布する原虫感染症。高熱や頭痛、吐き気などの症状を呈する。悪性の場合は意識障害や腎不全などを起こし死亡する。
日本で古くはオコリと呼ばれていたのもマラリアの一種で、ハマダラカに媒介されたマラリア原虫が体内で増殖し、突然の寒気ののち高熱を発するという症状を1日〜数日おきに繰り返す。
熱帯、亜熱帯地域の70ヶ国以上に分布している。全世界で年間3〜5億人、累計で約8億人の患者、100〜150万人の死者があると報告されている。もっとも影響が甚大な地域はサハラ砂漠以南のアフリカ諸国である。
病原体
マラリア原虫を媒介するハマダラカ病原体は単細胞生物であるマラリア原虫(Plasmodium spp.)。ハマダラカ(Anopheles spp.)によって媒介される。
マラリア原虫はアピコンプレクサ門 胞子虫綱 コクシジウム目に属する。微細構造および分子系統解析からアルベオラータという系統に属する。ここには他に渦鞭毛藻類が知られ、近年マラリア原虫からも葉緑体の痕跡が発見された。
そのため、その全てが寄生生物であるアピコンプレクサ類も祖先は渦鞭毛藻類と同じ光合成生物であったと考えられている。ヒトの病原体となるものは熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、卵形マラリア原虫(P. ovale)の四種。特に熱帯熱マラリア原虫によるマラリアは症状が重い。まれにサルマラリア原虫に感染することもある。
マラリア原虫は脊椎動物で無性生殖を、昆虫で有性生殖を行う。したがって、ヒトは終宿主ではなく中間宿主である。ハマダラカで有性生殖を行なって増殖した原虫は、唾液腺に集まる性質を持つ。このため、この蚊に吸血される際に大量の原虫が体内に送り込まれることになる。(出典:Wikipedia)
アルフォンス・ラヴランとは?
シャルル・ルイ・アルフォンス・ラヴラン(Charles Louis Alphonse Laveran、1845年6月18日-1922年5月18日)はフランスの病理学者。1907年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
フランスのパリで生まれる。父親は陸軍の外科医であり、父の後を継ぐことになった。パリで学んだ後、ストラスブルク医科大学で医学を修め、1867年に卒業。普仏戦争開戦のため、陸軍の外科医となった。アルジェリア植民地など、各地の軍の駐屯地を歴任する。1896年退役。パリのパスツール研究所に入所。マラリア原虫を発見した功績により、1907年にノーベル生理学・医学賞を受賞する。賞金は熱帯医学研究室開設(パスツール研究所)に投じた。1908年には外来性病理学協会を設立する。パリで没した。
ラヴランがマラリアを研究対象としたのは、1978年から1983年まで軍の赴任先であったアルジェリアでマラリアが流行していたからである。そこで彼はマラリアの原因はマラリア原虫という原生動物であることをつきとめた。
このほか、内臓リーシュマニア症の原因となるドノバン リーシュマニア Leishmania donovani、ツェツェバエによって感染するアフリカ睡眠病(トリパノソーマ症)などを研究していた。(出典:Wikipedia)
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