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マラリアは、熱帯・亜熱帯地域に広く分布する重要な感染症で世界100ケ国余りの国々で流行しています。WHO(The World Health Report)の推計では、全世界で1年間に3億〜5億人もの患者がいて、150万人〜270万人の死者があると報告されています。また、そのうちの90%はアフリカ熱帯地方であると報告されています。

日本でも1935年頃までは年間数万人の患者が発生していましたが、媒介する蚊の撲滅などの結果、現在では海外で感染する、いわゆる輸入マラリア感染患者のみの発生であり、毎年100名〜150名が報告されています。

日本では感染者数が少ないために医者の認識が低く、風邪などと誤診されやすく、そのため、治療が遅れ死亡するケ−スもいくつか報告されています。そして最近では地球温暖化のため、再度流行することが懸念されています。

マラリアはハマダラカ属の蚊に吸血されることによって感染します。マラリア原虫を持つ蚊に吸血され、人の体内でマラリア原虫が侵入してから発症するまでの期間(潜伏期)は熱帯熱マラリアで12日前後、四日熱マラリアは30日、三日熱マラリアと卵型マラリアでは14日程度と報告されています。

第一の予防方法としては、蚊による刺咬を防ぐことが第一ですので防虫スプレ−(ポンプ式のもの、ガス式は機内への持ち込みが制限されることがあります)や蚊取線香も多少は有効ですし、肌を露出しない服装(薄手の物はだめ)も効果があります。

感染を防ぐワクチンのような予防接種はなく、感染しても発病しないための予防内服薬が何種類かありますが、薬剤に耐性のあるマラリア(耐性マラリア)の存在が大きな問題となっており、予防薬の服用に際しては現地のマラリア汚染状況などによって決める必要があります。

日本のマラリアはマラリア原虫を媒介とする蚊を撲滅することで、なくなりましたが、世界中の蚊を撲滅することは不可能です。いったいどうやって撲滅すればよいのでしょうか?

沖縄のゴーヤやキュウリなどの害虫ウリミバエ不妊虫放飼(ふにんちゅうほうし)という方法で絶滅させました。この方法は、害虫駆除の方法の一つで、人工的に不妊化した害虫を大量に放すことで、害虫の繁殖を妨げる方法です。特定害虫の根絶を目的に行われます。

しかし、この方法には条件があります。1つは人工的に大量に飼育することが可能であること。2つ目は、その害虫が隔離された場所にいるか、あるいは移動性が低いこと。放飼をしていない地域との個体の行き来があれば、当然うまく行かないわけです。

3つ目は成虫が被害を出さないこと。幼虫が害を与えるが、成虫になれば被害を出さないような害虫が対象でなければなりません。一時的とはいえ、害虫の個体数が倍増するような事態が生じるからです。

今回、自治医大医学部(栃木県下野市)、産業医科大(北九州市)や理化学研究所(埼玉県和光市)の共同研究チームは、マラリアの病原体の受精に不可欠なたんぱく質を特定しました。

これは、マラリア原虫のオスの生殖細胞だけが持っているタンパク質で「GCS1」といいます。オスにこれがない場合「受精」ができず、原虫は増えません。この性質を利用すると近い将来、マラリアを撲滅できるかもしれません。

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マラリア受精に不可欠なたんぱく質特定、ワクチン開発に期待


自治医大医学部(栃木県下野市)は10日、産業医科大(北九州市)や理化学研究所(埼玉県和光市)などと共同で、マラリアの病原体の受精に不可欠なたんぱく質を特定したと発表した。

マラリアは、感染者の血液を吸った蚊を媒介して伝染し、現在でもアフリカなどを中心に、年間3億人の患者を出している。

自治医大の平井誠助教(分子寄生虫学)によると、研究グループは、感染したネズミが持つ病原体「マラリア原虫」の生殖細胞を調べ、雄側にだけ「GCS1」と呼ばれるたんぱく質が存在することを発見。GCS1を取り除いた原虫を観察した結果、ネズミの体内では成長するものの、その血液を吸った蚊の体内では、成長や受精が完全に停止していたことが判明した。

平井助教は「今回の発見によってワクチンが開発され、現在使われている抗マラリア薬と併用すれば、マラリア撲滅は加速度的に達成できる可能性がある」としている。(2008年4月10日22時06分  読売新聞)

 

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