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化学物質「ビスフェノールA」とはなんだろう?

「ビスフェノールA (bisphenol A)」 は2つのフェノール部位を持つ芳香族化合物です。しばしば BPA と略称されています。

BPAは「環境ホルモン」として有名になりました。BPAは「ポリカーボネート」という、プラスチックの材料の一つですが、食器などに使われた場合は、これがごく少量溶出し、人体に取り込まれていきます。プラスチックはほとんど溶けませんが、ごくわずかでも人体の中では重要な影響が出るといわれています。

人体中にある「ホルモン」と呼ばれる物質は、ごくわずかの量で体に大きな影響を与えます。人間の一生の間に産生される全ホルモン量は、わずかティースプーン1杯ほどだといわれており、それほどの微量でもからだには重要なはたらきをします。例えば成長ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモンなどが重要なはたらきをしているのは周知のことでしょう。

このように人間の生活環境にあって「ホルモン」と同じ働きをする化学物質「環境ホルモン」が注目されているのは、1997年、米国で出版された「奪われし未来」などの書物がきっかけになっています。「奪われし未来」では、プラスチックの一つ、ポリカーボネート樹脂から溶出したBPAが実験細胞に「女性ホルモン」作用を示したというエピソードが取り上げられました。

BPAに「女性ホルモン様の作用」のあることは、すでに1936年にDodds によって報告されていました。BPAがまるで人体の「内分泌(ホルモン)」のような働きをするために、学問的には「内分泌かく乱物質」という用語が使われます。

しかしBPAの女性ホルモンとしての働きは、動物を用いたスクリーニング試験では、実際の女性ホルモンであるエストラジオールと同濃度で比べてみると、わずか1万分の1以下の働きしかありません。

この、影響力の低さから、最近では「日常の濃度では健康影響が明確でない」とされていました。

しかし今回、再度BPAの危険性について注意を呼びかけるニュースが流れました。米国政府は、プラスチック製の食器などから溶け出す化学物質ビスフェノールA(BPA)について、「現在の摂取量が、胎児や子供に対し、神経系や行動、乳腺への影響、女子の早熟を引き起こす懸念がある」とする報告書を公表したのです。
また、カナダの保健当局はBPAを有害物質に指定する方針を公表しました。

今後も、ビスフェノールA (BPA)について、注目していかねばなりません。

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化学物質ビスフェノールA、子供に影響の懸念…米が報告書案


米政府は15日、プラスチック製の食器などから溶け出す化学物質ビスフェノールA(BPA)について、「現在の摂取量が、胎児や子供に対し、神経系や行動、乳腺への影響、女子の早熟を引き起こす懸念がある」とする報告書案を公表した。

また、カナダの新聞「グローブ・アンド・メール」紙は同日、カナダの保健当局がBPAを有害物質に指定する方針だと報じた。

BPAは女性ホルモンに似ており、日本では1990年代にいわゆる「環境ホルモン」の代表物質として問題化したが、最近は「日常の濃度では健康影響が明確でない」とされている。北米で今後、「有害」との評価が定着すれば、日本にも波紋が広がりそうだ。

 報告書案の「懸念」は、発達期の動物を低濃度のBPAにさらした実験に基づいた。「まだ証拠は限られている」としながらも、「人間も動物実験と似た濃度に接しており、影響を無視できない」としている。(2008年4月16日 読売新聞)

ビスフェノールAとは何か?


ビスフェノールA (bisphenol A) は2つのフェノール部位を持つ芳香族化合物である。しばしば BPA と略称される。2当量のフェノールと1当量のアセトンの反応によって合成される。

歴史・用途
1891年にロシアの化学者ディアニン (A. P. Dianin) によって初めて合成された。1930年代には合成エストロゲン(女性ホルモン)の1つとして研究されていたが、当時ジエチルスチルベストロールがエストロゲンとして強い活性を持つことが明らかにされたため、ビスフェノールAが合成エストロゲンとして使われることはなかった。

樹脂原料としての利用
現在ではポリカーボネート製のプラスチックを製造する際のモノマーや、エポキシ樹脂の原料として利用されている。抗酸化剤、あるいは重合禁止剤としてポリ塩化ビニルの可塑剤に添加される。

ポリカーボネートの用途はサングラスやCDから水・食品の容器まで多くの日用品にわたり、壊れにくいため哺乳瓶にも使われている。歯科治療用の歯の詰め物や、缶詰の内側を被覆するエポキシ樹脂の中にも含まれている。

健康影響に関する研究
ポリカーボネートやエポキシ樹脂のようなビスフェノールAを原料とする種類の合成樹脂では、強力な洗剤で洗浄した場合や酸・高温の液体に接触させた場合にビスフェノールA成分が溶け出すことが知られている。アメリカ合衆国での調査では、ヒトからかなりの確率で検出された。

内分泌攪乱化学物質としての懸念
ビスフェノールAを摂取するとエストロゲン受容体が活性化されて、エストロゲン自体に類似した生理作用を表す。1930年代に卵巣を除去したマウスにこの物質を投与する実験が行われ、作用が初めて証明された。更に他の動物やヒトのがん細胞での実験により、内分泌攪乱化学物質として作用するための最少量は 2–5 ppb とされている。よって精子数の減少や男性不妊などの原因になるとされている。

許容摂取量に関する研究
フォム・サール (F. vom Saal) とヒューズ (Claude Hughes) の論文(2004年)によると、合成樹脂の製造業者らが行った検証(11件)ではこのような危険性が認められなかったのに対し、他機関の研究では104例中の約9割で上記の症状が出るという結果となった。よって製造業者らが試験結果を改ざんし、実際の結果に反してビスフェノールAは安全であると主張していることになる。

アメリカ・プラスチック協会によって資金を提供されているハーバード・リスク分析センターによる以前の報告では、危険性を証明するにはまだ根拠が乏しく、定量的に証明できていないとされていた。ヒューズはハーバード・リスク分析センターの委員を務めていたが、彼は上記の論文の中で、その見解は時代遅れのものである、なぜなら2001年から出版されている低用量のビスフェノールAに関する多くの論文のうちわずかしか考慮していないからだ、と述べている。

2006年、フォム・サールとウェルションス (Wade V. Welshons) は、製造業者の資金提供によって行われた少数の研究が低用量のビスフェノールAの効果を見落としていた原因について、詳細な分析を報告した。また、アメリカ政府機関によって開設された委員会による再調査によると、それらの論文の1つは実際にはビスフェノールAについての影響を発見していたにも関わらず、この結果を否定する内容になっていた。

一部の研究では陽性対照を使っておらず、他の研究との比較によって陰性対照が汚染されていた可能性も示された。さらに、エストロゲンに反応しにくい種類のラットを使用した研究もいくつか存在した。

その後の研究の経過
アメリカ化学工業毒性研究所は、フォン・サールらによる「低容量仮説」を慎重に検証し、彼らの実験結果が再現しないと発表した。またハーバード大学リスク分析センターでも低容量仮説を含めた研究結果を集めて詳細に検討し、ビスフェノールAはヒトの健康に影響がないことを報告している。

現在ではビスフェノールAは、他の「環境ホルモン」疑惑を受けた化合物と同様、通常の摂取条件ではヒトに対して大きな影響を及ぼすものではないという考えが強まっている。ただし生態系への影響、胎児や乳幼児への影響に関してはまだ研究が進行中である。(出典:Wikipedia)
 

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