
「コブクロ」というと、「桜」や「君という名の翼」などの歌で知られる小渕健太郎と黒田俊介2人のフォークデュオである。今でこそ、レコード大賞を受賞して有名になったが、昔はこの名を聞くと何のことかわからなかった。
今でも「コブクロ」と聞くと、ブタやウシなどの内臓を焼いて食べる「ホルモン焼き」を思い出す。「コブクロ」とは子宮のことである。
子宮とは、哺乳類のメスの生殖器の一つで、妊娠時、体内で子供(胎児)を育てるときには胎児の入れ物になる器官。卵(らん)が卵巣でつくられ、卵管を通って運ばれるうち、精子と受精すると、受精卵は子宮の内側の壁に付着し(着床)、出産までの期間、そこで成長する。
卵が授精しなかった場合、この子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに子宮口、膣を経由して体外に排出されるのが月経である。
先日、慶応大学医学部の研究により、女性の月経血に幹細胞が豊富に含まれることがわかった。これは子宮内膜に幹細胞が多数含まれているからで、特に心臓の組織になりやすい性質のあることがわかった。その効率は何と骨髄幹細胞の100倍もあった。
生命誕生の場である「子宮」に、さまざまな身体の組織になる幹細胞ができるのは、理解できる。最近、生まれつき子宮のない人に代理母が出産するケースがあったが、将来は人工子宮ができ、体外受精、体外妊娠により誕生する人類が出現するかもしれない。
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女性の経血から心筋細胞…骨髄細胞より100倍効率良く
心臓病治療などに使える可能性がある心筋細胞を、女性の経血から効率良く作ることに、慶応大と国立成育医療センターなどのグループが成功した。
骨髄細胞より約100倍も効率が高く、採取に痛みと危険を伴わない利点がある。
慶大の三好俊一郎講師らは、女性9人から経血の提供を受け、約1か月培養して、再生能力を持つ幹細胞だけを分離。これらを心筋梗塞(こうそく)にしたラットの心臓に移植すると、移植した細胞が心筋に変化し症状が改善した。
また、シャーレの中でラットの心筋細胞と一緒に2週間培養すると、20%の細胞がシート状の心筋細胞に変化して拍動を始めた。人の骨髄細胞だと、0・2〜0・3%にとどまった。
経血には子宮内膜の組織が混ざっていて、この中に幹細胞が多数含まれているらしい。三好講師は「特に心臓の組織になりやすい性質があるようだ。心臓病の治療や、心臓の治療薬の副作用を調べるのに使える可能性がある」と話している。
(2008年4月19日18時56分 読売新聞)
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