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近年、法的な規制もあり、においのしない建材や接着剤・塗料も開発・発売されてはいるが、大阪大学の新研究棟で、シックハウス症候群の問題が発覚した。  

シックハウス症候群は、建築用語・または症候のひとつ。化学物質などが原因で、新築の住居などにいると起こる、倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などの症状があらわれる体調不良の呼び名である。

くわしい汚染源としては、家屋など建物の建設や家具製造の際に利用される接着剤や塗料などに含まれる有機溶剤や、木材を昆虫やシロアリといった生物からの食害から守る防腐剤、またはそれに類する揮発性有機化合物 があるとされ、国内では1990年代より対策が進められてきた。また、化学物質だけではなく、カビや微生物による空気汚染も原因となりうる。



厚生労働省
は、シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会を設置し、住宅内の空気質調査を元に住宅内に多く見られた物質を中心として、物質の人体に対する影響を考慮して13種類の揮発性有機化合物について、濃度指針値を示している。

厚生労働省による濃度指針値のある物質
ホルムアルデヒド・アセトアルデヒド・トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン
パラジクロロベンゼン・クロルピリホス・テトラデカン・フタル酸ジ-n-ブチル・フタル酸ジ-2-エチルヘキシル・ダイアジノン・フェノブカルブ

近年の住宅が特に、冷暖房効率を向上させるため、気密性に優れている事から換気が不十分になりやすかったとされ、また昭和30年前後から始まった高度経済成長期の住宅建材の大量需要に併せて木目を紙に印刷して木材のように見せるプリント合板に代表される新建材等が盛んに現代建築に用いられた事が原因で、1990年代より室内空気の汚染が問題視されるようになってきた。

原因物質を減らすためには、充分な換気や建築材料等の制限が必要である。近年では、法的な規制もあり、原因物質を含まない建材や接着剤・塗料も開発・発売され、建築業界でも積極的にこれらの製品を取り入れている。また、換気設備が設置されている場合にはそれを運転しておくことが望ましい。 また、カビや微生物による発症も考えられるため、注意が必要である。日常生活で使われる殺虫剤や香料等が原因となる場合もある。

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大阪大学:新設の研究棟を閉鎖 シックハウス症候群診断で
大阪大学は21日、豊中キャンパス(大阪府豊中市)に新設した「文系総合研究棟」を、25日から全面立ち入り禁止とすることを決めた。今月から本格利用を始めたばかりだが、棟内で働く職員ら2人がシックハウス症候群と診断され、気分不良を訴える学生も相次いだため。大学側は「想定外の事態だ」と困惑している。

阪大によると、研究棟は、学生増への対応などのために新設され、今年1月末に完成した。7階建て延べ約6500平方メートルで、高等司法研究科、法学研究科、保健センターなどの事務室や教員室、学生の自習室や講義室などがある。
3月中旬ごろ、高等司法研究科の女性職員ら2人が「部屋に入ると違和感がある」などと体調不良を訴えた。

阪大は棟内の空気を分析し、健康被害をもたらすおそれがある揮発性有機化合物の濃度を測ったが、値が低かったため、そのまま様子を見た。

しかし症状はおさまらず、今月中旬には2人とも病院でシックハウス症候群と診断された。さらに今月から授業に使い始めると、学生数人も頭痛や鼻水などを訴えた。
このため阪大は「学生の安全を優先したい」として18日、学生に電子メールを送るなどし、棟内にはできる限り立ち入らないよう呼び掛けた。やむなく入る場合は、空調での換気を24時間行い、窓を開放するように注意した。

さらに21日には、25日からの正式な立ち入り禁止を決めた。予定されていた授業は他の建物に分散して行い、教員室は他の建物に移すなどしている。立ち入り禁止の期間は未定で、阪大は「原因が判明して除去できるまで建物を閉鎖する」と話している。(毎日新聞 2008年4月22日 2時30分)

 

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