写真のしくみ

 世の中便利になったものだ。つい数年前までは自宅でカラー写真をプリントできるなんて夢にも思わなかった。写真はフィルムで写し、写真屋さんに現像、プリントをお願いするものであった。

 白黒写真なら現像したことがある。しくみは単純だ。フィルムや印画紙には銀塩(銀化合物)が使われており、これに光が当たると化学変化して、色が黒っぽく変わる。フィルムは光が多く当たった所ほど真っ黒になった。だからフィルムを見ると、実際の風景とは白黒が逆に反転して記録されている。

 フィルムから印画紙に焼き付けるときは、フィルムに光を通す。すると、フィルムで黒い部分は印画紙には真っ白に、逆にフィルムで透明なところは印画紙に真っ黒に記録される。こうして外の風景を反転して記録したフィルムは、焼き付けの時さらに反転してもとの風景が印画紙によみがえる。

 では、カラー写真はどんな仕組みでつくられているのだろう?

 現在は自宅のインクジェットプリンターで、デジカメの記録した写真を、ボタン一つで印刷。誰にでも、きれいな写真をつくることができる。

 仕組みは簡単だ。赤、青、黄色(色の三原色)と黒の4つの色を使って、カラー写真をつくっている。インクを付け替えた経験のある人ならば誰でも知っていることである。もちろん、インクを細かいたくさんの点で印刷するテクノロジーはすごい。

 ところで、昔の写真屋さんはカラーフィルムからどうやって、美しい写真をつくっていたのだろうか?

 カラーフィルムを見たことがある人ならばわかるが、やっぱりそこには実際の風景が反転して記録されていることがわかる。だがよく見ると光の量だけではなく、色自体も反転していることに気がつく。

カラー写真のフイルムの中には3つの粒子がある。
 1つは青い光を吸収して反応が起こり青の補色の黄色を乱反射する色素ができる。
 2つ目は緑の光を吸収して反応が起こり緑の補色の赤を乱反射する色素ができる。
 3つ目は赤の光を吸収して反応が起こり赤の補色の青を乱反射する色素ができる。これが色の反転である。
 さて印画紙にも同じ3つの粒子があるので、焼き付けるときに再度反転が起き、実際の風景と同じ、美しいカラー写真ができるというわけだ。

 カラー写真の歴史 光の三原色を使った、カラー写真の記録、再現の方法を最初に考え出したのは1869年、イギリスのマクスウエルである。彼は青紫、緑、赤、すなわち色光の三原色(加法混色)を重ね合わせていろいろな色を作る実験をした。
 つまり、私たちの目と脳で行われている色の識別を証明したのだ。青紫、緑、赤それぞれのフィルターを付けて撮影した写真を3枚重ねて投影することでカラー写真を実現した。しかし、紙などに焼くことはなく、投影してみるだけのカラー写真であった。   

 色の三原色を使ったカラー写真は1869年、フランスのオーロンがシアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)の色材の三原色(減法混色)によるカラー写真の原理を発表した。しかし、当時入手できる材料として適切なものがなかったためにすぐに実行には移されなかった。彼は、これに先立つ1868年にカラー印刷法も考案している。

 ガブリエル・リップマンはルクセンブルクの物理学者である。 1891年にリップマン式天然色写真(リップマンのカラー写真)を発明した。

 これは光の干渉によって光の色を再現させるものであり、現在利用されている赤・緑・青の視覚に基づいた光の三原色ごとに記録する一般的なカラー写真とは異なっていた。物理学的に一定の周波数帯域全体の光を記録する。

 しかし、像が鮮明にできないことや、高価なことからこの方式のカラー写真が普及することはなかった。普及こそしなかったもののカラー写真としては初めての試みであったため、1908年にノーベル物理学賞を受賞した。(出典:Wikipedia)
 補色とは何か?
 
補色(ほしょく)とは色相環 (color circle)で正反対に位置する関係の色の組み合わせのこと。2つの色を一定の割合で混色して、光の場合は白、絵の具の場合は灰色になるとき、一方の色を他方の色に対していう語。余色、対照色、反対色ともいう。
 ただし反対色は補色が相対する色をじかに指すのに対し、若干色の範囲が広い。赤と緑、紫と黄色など、一番コントラストの強い組み合わせの色のことでもある。

 補色どうしの色の組み合わせは互いの色を引き立てあう相乗効果もあり、補色調和といわれる。(出典:Wikipedia)
 

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