科学大好き!アイラブサイエンス!このブログでは、最新科学の?をくわしく調べ、誰にでもわかりやすい情報提供に努めます。
今年3月はじめに約30年ぶりに生存が確認されたオキナワトゲネズミ。沖縄本島北部の「やんばるの森」に住み、絶滅危惧種に指定されている。5匹捕獲されしっぽの先から細胞のサンプルを取ってからすぐ密林に放たれた。

その後、細胞は南の島から北の大地、北海道に送られた。北海道大学創成科学共同研究機構で分析された。その結果「Y染色体があった」。このネズミの雄から「Y染色体」が発見されたのも、約30年ぶりのことであった。

哺乳類はXY染色体で雌雄が決まる。Y染色体を持つ方が雄になることが知られている。これは我々ヒトも同じである。ところがトゲネズミのなかまは雄なのにY染色体を持たない場合が多い。これはドゲネズミが進化の「最先端」を走っている生物だからと考えられている。

現に沖縄のとなりの徳之島にすむ、「トクノシマトゲネズミ」や奄美大島にすむ「アマミトゲネズミ」には、Y染色体がないことがわかっている。染色体の数はオキナワトゲネズミが44本。トクシマトゲネズミが45本。アマミトゲネズミ25本。どうやら祖先のトゲネズミが南から北へ移る過程でY染色体がなくなったと考えられる。

哺乳類で雄になるのを決定しているのはY染色体上のSRYと呼ばれる遺伝子。Y染色体のないトクノシマトゲネズミではSRY遺伝子がないのに、雄になっており、これがなぜかわかっていない。おそらく性を決定する遺伝子がどこか別の染色体にあると予想されている。( 参考 5月5日 朝日新聞 )


Y染色体とは?


Y染色体(わいせんしょくたい)は性染色体の一つ。一般的に動物の性にはオスとメスがあり、オスの性染色体がヘテロ接合である場合、オス特有の性染色体をY染色体と呼ぶ。Y染色体はX染色体から多数の組替えを経て派生したものであると考えられている。

ヒトのY染色体
ヒトのY染色体は男性のみが持つ染色体である。そのサイズはおよそ25メガbpであり、うち、チミンが30.35%、アデニンが29.92%、グアニンが19.91%、シトシンが19.82%と、かなり偏っている。これをATリッチである、という。アンプリコン配列と呼ばれる繰り返し配列が非常に多いため、Y染色体の配列を決定するのは困難を極めた。この配列を含む領域のことは、キナクリンという蛍光染色料でよく染まるのでキナクリン染色領域といったり、有効な遺伝子が存在しないので遺伝子砂漠と呼ばれている。

ちなみにY染色体上の遺伝子数は78、X染色体上の遺伝子数は1,098である。(この数値については資料によって異なることがある。出典:Wikipedia )
 

Y染色体からみた日本人 (岩波科学ライブラリー)
中堀 豊
岩波書店

このアイテムの詳細を見る
ヒトの分子遺伝学 第3版

メディカル・サイエンス・インターナショナル

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ブログ検索 ブログランキングへ ランキング ←One Click please