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地球温暖化の影響でしょうか。最近の自然災害の大きさには驚かされます。中国の四川省大地震は広範な地域に大勢の犠牲者を出しました。ミャンマーを襲ったサイクロン「ナルギス」による犠牲者の数が、しだいに明らかになってきました。過去最大級の被害になりそうです。

中国ではようやく海外に援助を要請、日本のスタッフが先日中国入りしましたが、瓦礫の下の被災者を救うには少し遅いようです。ミャンマーでは、未だに情報統制が敷かれていて、正しい被害情報を公表していません。この国際情報化の時代に両国の対応は疑問です。

バングラデシュでは、昨年11月ベンガル湾で発生したサイクロン「シドル(Sidr)」による死者の数は1万人にのぼりました。被災者数は約700万人です。バングラデシュの人口はだいたい1億4千万人ですから、バングラデシュ人のほぼ20人に1人が被災したということになります。

今年の4月29日、サイクロン「ナルギス(Nargis)」が発生しました。発生してから、バングラデシュの新聞には毎日ナルギスの進路について記事が載り、またサイクロンが来る!というのでちょっとした住民のパニックもありました。

バングラデシュではナルギスが近づく可能性の高い地域に、必要に応じて避難誘導ができるよう、地方行政にも指示が出ていました。国内で活動するNGOもいざという場合に備えて警戒していました。まだ十分とはいえないけれど、悲惨な災害の経験を何度も乗り越え、バングラデシュの防災体制は整っていました。

しかし、お隣のミャンマーではそうはいかなかったようです。おそらく避難誘導もろくにないまま、人々は寝耳に水の状態で被害に遭ったのでしょう。たしかに通常、ベンガル湾で発生するサイクロンは、偏東風の影響で東進する事は無く、多くがバングラデシュに、次いでカルカッタ付近やインド半島東岸に上陸しています。この油断が今回の大災害をもたらしました。

当初、ミャンマーの軍事政権では被災の状況を報道せず、緊急救援のための海外の援助を受け入れませんでした。そればかりか自国民を救済するより、目前だった国民投票を優先したのです。こうしている間にもたくさんの人が死んでいきました。

ミャンマーを直撃したサイクロン「ナルギス」の被害について、国連人道問題調整事務所は11日、「行方不明者は22万人に上る」との推計を発表しました。死者数は6万3000〜10万人、救援が必要な被災者は122万〜192万人と推計しています。これは1970年に最大55万人が死亡したとされるバングラデシュでの被害に次いで、20世紀以降では過去最悪級のサイクロン被害になりそうです。

このような状況下で、ミャンマー軍事政権は同日、国営テレビを通じて、死者2万8458人、不明者3万3416人と発表。国連の推計と大きな食い違いがあります。

国際情報化の時代に、大きな災害を隠すことは不可能です。困った時には、相互に助け合う必要があります。それとも諸外国に見せたくないものが国にあるのでしょうか?

これからも巨大化した自然災害が起きる可能性があります。

過去最大級の被害「ボーラ・サイクロン」


ベンガル湾の沿海部は熱帯性サイクロンに対して特に脆弱であり、この地域で10万人以上の死者を出したサイクロンは少なくとも6個ある。1970年のボーラ・サイクロンはこの中でけして最強ではない。1991年のバングラデシュ・サイクロンはこの地域に上陸した時点で遥かに強力だった。

にも関わらず、1970年のサイクロンは記録上史上最大の犠牲者を出した熱帯性サイクロンであり、近代以降の歴史上でも最悪の自然災害の一つである。正確な死者数は最早知りようも無いが、およそ30万〜50万人に上ると推定されている。

これと比較しうる規模の犠牲者を出した災害としては1976年の唐山地震と2004年のインド洋大地震があるが、これら三つの災害の犠牲者数は何れも不確かであるため、どれが最悪のものだったかはけして判らない。

このサイクロンによる被害が余りに激甚だったことが直接的な契機の一つとなって、当時のパキスタンは内戦状態に陥り、翌年バングラデシュが独立してできた。
(出典:Wikipedia)

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ミャンマー:サイクロン被災地を封印 情報流出防ぐ?


ミャンマー軍事政権はサイクロン被災地への市民や外国人の立ち入りを制限し、被災地の「封印」を図っている。救援の遅れで苦しむ被災者の現状が、国内外に伝わることを防ぐ狙いとみられる。

ミャンマーからの情報によると、軍事政権は、最大都市ヤンゴンから被災地に向かう道路に検問所を設け、通過車両を1台ずつチェック。外国人が乗っていると、強制的に引き返させている。

被災地に入る援助関係者には事前に「特別許可」を取得するよう求めているが、国連関係者によると、わずかしか発行されていない。一般市民が食糧など救援物資を直接持ち込むことも禁止し、政権の翼賛団体に寄付するよう求めている。

その一方で国営メディアは被災地の様子は伝えず、兵士がテントを設営する姿や山積みにされた食糧などの映像だけを報じ、救援活動の「順調ぶり」を演出している。(毎日新聞 2008年5月15日)

参考HP NGO シャプラニール
 → http://www.shaplaneer.org/fujiokablog/cat42/

 

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