燃料電池というと何を燃料にしているのだろうか?

 現在、燃料電池と組み合わされたコージェネレーションが注目されている。燃料電池で発電する時に発生する熱を給湯に使う仕組みである。発電効率35〜65パーセント、総合効率で80パーセントが可能である。排ガスもなく、騒音や振動も少ない。

 コージェネレーション、またはコジェネレーション(cogeneration)とは、内燃機関、外燃機関等の排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出し、総合エネルギー効率を高める、新しいエネルギー供給システムのひとつである。 略してコージェネ、コジェネとも呼ばれる。



 燃料電池の燃料は水素である。水の電気分解と逆の方法で、水素と酸素が結びつくときの電気エネルギーを利用する。しかし、水素はどこから供給するのだろう?

 水(H2O)から水素が取り出すことができれば、二酸化炭素を発生することもなく理想的なのだが、現状でその技術はない。水を電気分解すれば水素は発生するが、これでは電気分解のために電気が必要になってしまい、元も子もない。

 水素は単独では自然界に存在しないので、何か別のものから取り出す必要がある。では何から水素を取り出すのだろうか?

 正解は天然ガス、都市ガス、LPGや、灯油、メタノール、ナフサ、ガソリンなどである。

これらの燃料から「改質」という方法で水素を取り出すことができる。例えば水蒸気改質法は広く実用化されており、触媒を充填した反応器の中で、天然ガスと水蒸気を反応させる過程で、水素を取り出すことができる。

この方法では天然ガス中に炭素が含まれるので、不純物として二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)が発生する。一酸化炭素(CO)は燃料電池の化学反応に悪影響があるので、水を加えた変性反応や、酸素を加える浄化反応などで、二酸化炭素(CO2)に換える。

 他に、部分酸化法、自己熱改質法などの方法もある。

 今回メタノールを使った「世界最小」の燃料電池をシャープが開発した。わずか10ccのメタノールで、携帯などのワンセグ放送を4〜7時間見ることができ、出力は従来型の7倍になる。 素晴らしい技術である。


 燃料電池の利点
 
高い発電効率: 従来の発電では、発電のために投入されたエネルギーは、熱エネルギーや、運動エネルギーに変換され、発電用タービンを回し、電気エネルギーを取り出しています。この熱エネルギーから運動エネルギーへ、そして電気エネルギーへと変換される部分で伝達ロスが発生します。

燃料電池では、発電のために投入されるエネルギーを、そのまま電気エネルギーに変換するため、エネルギーの変換ロスが小さくなり、発電効率が高くなります。

 高い省エネルギー性: 大規模な発電所は、電気を消費する場所(都市、住宅圏)から遠く離れた環境に位置しています。そのため、発電に伴って発生する熱エネルギーを活用できず、排熱として捨てられています。

 燃料電池は、家庭に設置可能なサイズであることから、電気を必要とするそれぞれの家庭で発電を行い、発電により発生する熱エネルギーを、蓄熱槽に溜め、給湯や暖房に利用することが可能になり、投入されたエネルギーの約7割を利用できる省エネ性を持っています。

 高い環境性: 燃料電池は燃料を燃やさずに発電を行うため、窒素酸化物(NOX)などの有害なガスはほとんど排出せず、大規模発電に比べ、二酸化炭素(CO2)排出も減らすことが出来ます。総合的な環境への負荷評価を行った場合、大規模発電所における発電に対し、高い環境性を有しています。

 さらに、機械的な摺動部分が少ないことから、運転による振動や、騒音が少なくなります。
 燃料の供給源が多様: 燃料電池の燃料は、水素ですので、都市ガス、LPGや、灯油、メタノール、ナフサなど、さまざまなものから抽出する事が可能で、既存の燃料供給のため整備されたインフラを、活かすことができます。

 また、生ゴミなどから生成するバイオガスなどからも水素を作ることが可能となり、化石燃料に影響されない、多様な供給源があります。(出典:Panasonic 家庭用燃料電池 )


 「世界最小」燃料電池、シャープが開発
 
シャープは15日、小型で高出力な燃料電池の試作機を公開した。電子辞書につなげばメタノール10ccでワンセグ放送を4〜7時間見ることができ、大きさは18立方センチとマッチ箱程度。同じ能力を持つリチウムイオン電池に比べ、体積は約2割小さく約6割軽いため、携帯電話などにも組み込める。出力は従来型の7倍。同じ出力なら、世界最小に出来る。

 燃料電池はメタノールに含まれる水素と空気中の酸素を反応させて電気を取り出す。試作機は電気を作る「セル」と呼ばれる短冊形の部品を井げたのように積み上げ、セルを空気に触れやすくし、出力を高めた。

 従来の燃料電池は同能力の充電池より大型で、NECなどの試作機は携帯電話に外付けするタイプだった。シャープは安全性を高め、数年後の実用化を目指す。 ( asahi.com 2008年05月17日 )


参考HP Panasonic 家庭燃料電池 → http://panasonic.co.jp/appliance/FC/index.htm

燃料電池コージェネレーションシステム (CMCテクニカルライブラリー)
平田 賢
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天然ガスコージェネレーション排熱利用設計マニュアル
柏木 孝夫
日本工業出版株式会社

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