中国製餃子に農薬混入

 中国製ギョウザの中に農薬が混入した事件や硫化水素による自殺で近所の人が多数避難した事件の記憶もそのままに、また農薬で多くの被害が出る事故が起きた。そして今回もまた自殺者の巻き添えである。

 熊本市の熊本赤十字病院救命救急センターで5月21日午後11時ごろ、農薬のクロロピクリンを飲んで自殺を図り搬送された熊本県合志市の農業の男性(34)が診察中に嘔吐(おうと)し、農薬が気化した塩素系の有毒ガスが発生した。患者や職員ら54人が治療を受けたという。

 世の中には様々な化学物質がある。クロロピクリンというのは何だろうか?



 調べてみると、クロロピクリンは塩化ピクリンともいい、土壌消毒に使うものらしい。畑の土は一度野菜を作ると、虫がやってきて土中にたくさんの卵を産む。また風で運ばれた雑草の種子など様々なものが混ざっている。

 そこで収穫後は消毒をするが、天日で消毒することもあるが、化学物質で殺菌消毒すると手っ取り早い。そのときに使う農薬である。通常はビニールで覆いガスが広がらないようにする。

 第一次世界大戦中にはホスゲンとともに使用された窒息性毒ガスである。その毒性はホスゲンに比して低い。また目に対しても強烈な刺激作用を持ち、催涙ガス的な作用があることでも知られている。


 クロルピクリン(塩化ピクリン)とはなにか?

 塩化ピクリン(えんか—)・IUPAC名トリクロロニトロメタンは化学式 Cl3CNO2 で表される、炭素と塩素と窒素と酸素からなる化合物。

 当初は毒ガスとして開発されたが、1918年に燻蒸剤(農薬の一種)として有用であることが判明した。燻蒸剤としての主な目的は蓄えられた穀物の処理にあった。また、殺菌・殺虫剤(商品名:クロルピクリンなど)として土壌燻蒸剤として利用されることもある。

 窒息性毒ガスとしても比較的有名であり、第一次世界大戦中にはホスゲンとともに使用されたがその毒性はホスゲンに比して低かった。また目に対しても強烈な刺激作用を持ち、催涙ガス的な作用があることでも知られている。

 常温ではいくぶん粘性のある無色の液体である。蒸気は空気より重く、その相対蒸気密度は 5.7 である。衝撃または熱を加えることにより爆発する可能性があること、光や熱などで分解して塩化水素や窒素酸化物など有毒な気体を生じることから、取り扱いには注意を要する。(出典:Wikipedia)


 ホスゲンとは?

 ホスゲン (phosgene) とは、炭素と酸素と塩素の化合物。二塩化カルボニルなどとも呼ばれる。分子式は COCl2 で、ホルムアルデヒドの水素原子を塩素原子で置き換えた構造を持つ。毒性の高い気体である。

<p> 化学工業分野で重要な化合物であり、一酸化炭素と塩素から多孔質の炭素を触媒として合成される。ポリカーボネート、ポリウレタンなどの合成樹脂の原料となる。

 水があると加水分解し、二酸化炭素と塩化水素を生じる。

 COCl2 + H2O → CO2 + 2 HCl

第一次世界大戦では化学兵器として使用された。1994年9月20日オウム真理教信者による、ホスゲン事件が起きている。(出典:Wikipedia)

 

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 嘔吐物から有毒ガス 患者ら54人中毒

 熊本市の熊本赤十字病院救命救急センターで5月21日午後11時ごろ、農薬のクロロピクリンを飲んで自殺を図り搬送された熊本県合志市の農業の男性(34)が診察中に嘔吐(おうと)し、農薬が気化した塩素系の有毒ガスが発生した。患者や職員ら54人が治療を受け、うち入院予定だった女性患者(72)が肺炎の症状を悪化させ重症。男性は死亡した。

 54人の内訳は、救急外来の患者らが23人、病院の職員が31人。重症となった女性以外にも、男性の母親ら9人が息苦しさなどを訴え、同病院に入院したり、別の病院に運ばれた。

 医師が男性の胃の内容物を約1リットル吸引したところ嘔吐し、気化したクロロピクリンがセンター内に充満したとみられる。同病院は医師や職員らを緊急に呼び出し、救護に当たった。病院は男性がクロロピクリンを飲んだ可能性があることを把握していたが、専門知識を持った医師らがおらず、防毒マスクを付けるなどの措置を取らずに治療。病院側は会見で「同様の被害が出ないよう、今後対応を検討したい」と述べた。

 内藤裕史・筑波大名誉教授(中毒学) クロロピクリンは催涙ガスにも使われる、気化しやすい農薬で、目やのどに刺激を与えるほか、大量に吸うと肺に水がたまって息ができなくなり、死に至る。農薬として使う際は有毒ガスが周囲に広がらないよう、土中に注入して数日間は地表をビニールで覆う必要がある。今回のケースでは、男性の体がビニールのようにクロロピクリンを閉じ込めていたが、嘔吐したことで気化が急速に進み、被害が広がったのではないか。 (SponitchiAnnex 2008年05月23日)



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