英国の競泳用水着メーカー「スピード(speedo)」社。スピード(speedo)社は、米航空宇宙局(NASA)と共同開発で最新の競泳水着「レーザー・レーサー(LZR Racer)」を開発した。

 水着生地にポリウレタンの極薄の板を挿入、体を締め付けることにより水の抵抗を減らすということに成功。さらに生地そのものも、今まで以上に撥水性(水をはじく)に優れた素材の開発に成功した。

 そしてこの水着を使用した選手が今年になって次々と世界新記録を樹立。何と19個の世界記録のうち18個が「スピード(speedo)」社の「レーザー・レーサー(LZR Racer)」。

 日本での「スピード(speedo)」の販売ライセンス契約は2007年松まで大手スポーツメーカー「ミズノ」が権利を有していた。ところが2008年からは「グッドウイン」が権利を有することになった。

そして、北京オリンピックの競泳競技で日本が契約したのは「ミズノ」「アシックス」「デサント」の三社のみ。

 この中には「スピード」社のライセンス契約を有している「グッドウイン」は含まれていない。したがって、北京オリンピックにのぞむ日本の競泳選手は「スピード(speedo)」社の「レーザー・レーサー(LZR Racer)」を着用することができず問題となっている。


 サメやイルカの皮膚から学んだテクノロジー

 「スピード(speedo)」社というと、サメの肌にヒントを得た「ファストスキン」シリーズを開発。このときも素晴らしい記録が出て話題になった。また、イルカの肌にヒントを得て、表面に「ストライプ」を施した水着をイアンソープ選手が着用し、オリンピックで多数の金メダルを取った。

 現在、国際水泳連盟の規則改正により、素材を含め水着表面に高速化のための加工を施すことが禁じられたため、「ファストスキン」シリーズや「ストライプ」シリーズは2007年シーズンをもって、製造・販売が打ち切られている。

 残念ながら現在は使用できないようでだが、「サメ」や「イルカ」などの生物から学ぶことはたくさんあり、さまざまな研究がされている。このように生物から学んだテクノロジーを「ネイチチャーテクノロジー」という。


 ハスの葉やカタツムリの殻から学ぶテクノロジー

 ハスの葉やサトイモの葉は大きいと傘の代わりになる。トトロの映画のように誰でも子供の頃、雨の中をハスの葉などを傘代わりにして歩いた経験があるのではないだろうか? < /p>

 ハスの葉はよく水をはじき、水は玉になってこぼれ落ちた。これを調べてみると表面にたくさんの突起物があることがわかった。これをヒントに撥水加工技術が誕生した。

また、カタツムリの殻はいつも汚れが無くきれいだ。これも表面に汚れや油をはじく構造があり、この研究することで、油汚れを防ぐコーティング技術の開発が進められている。


 フクロウの羽根から学んだ騒音対策

 新幹線の500系。営業最高速度は300km/hを実現した。極端に先頭部が尖った形状は、最も空気抵抗を受けない形状にしたものだ。これは、高速化に伴う騒音への対策にもなっている。もう一つ問題だったのがパンタグラフ。騒音低減のため、伝統的な菱形の構造を廃し「翼型パンタグラフ」を開発した。

 これ以外に音もなく滑空するフクロウの羽根を参考にした騒音対策がある。フクロウの羽根が音をたてないのは羽根の表面にあるギザギザ。翼形パンタグラフの支柱にはギザギザの溝をつけて騒音をみごとに抑えている。

 自然界の仕組みや構造をモデルにした「ネイチャーテクノロジー」次はどんな発見があるだろう?


参考HP NHKアインシュタインの眼

 → http://www.nhk.or.jp/einstein/program/index.html
NHKサイエンスZERO「生物に学べ」
 → http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp157.html
 
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